魅惑のトラピストビール
トラピストビールは、祈りと労働を神への奉仕と考えたトラピスト修道会が造るビールだ。
国際トラピスト会修道士協会によって基準を満たした商品にのみ、ロゴが印刷されたラベルの使用が許可されている。
2015年12月現在、トラピスト会のロゴとトラピストビールの名称を使用できるものはいくつあるかご存じであろうか。
Orvalオルヴァル/オルヴァル修道院/ベルギー
Chimayシメイ/スクールモン修道院/ベルギー
Rochefortロシュフォール/サン・レミ修道院/ベルギー
Westmalleウエストマール/ウエストマール修道院/ベルギー
Westvleterenウエストフレテレン/シント・シクスタス修道院/ベルギー
Achelアヘル/ベネジクトゥス修道院/ベルギー
La Trappeラ・トラッペ/コニングスホーヴェン修道院/オランダ
それから新たに4つが加わった。
Gregorius・Benno・Nivard/シュティフト・ エンゲルスツェル修道院/オーストリア/2012年
Spencerスペンサー/セントジョゼフ修道院/USA/ 2013年
Zundertズンデルト/ズンデルト修道院/オランダ/2014年
Tre Fontane トレフォンターネ/トレフォンターネ修道院/イタリア/2014年
これで、ベルギー6、オランダ2、オーストリア1、USA1、イタリア1 の合計11ヵ所となった。
フランスのMont des Catsモンデカもトラピストを名乗っているが、現在修道院で醸造されておらず、シメイで造られたビールを瓶詰している。自前ではないので認証マークはついていない。
スペンサー以下、3つの醸造所は日本には輸入されておらず入手が困難だが、
その他のものはネットや酒販店で入手できる。
右からモンデカ、ズンデルト、トレフォンターネ、スペンサー
トラピストビールは瓶詰後に発酵・熟成が行われるものが多い。
そのため、瓶のサイズや製造からの日数、年数により同じ銘柄でも味が異なってくるのが魅力のひとつだ。
各醸造所で個性的なビールを醸造しているが、アルコール度数が比較的高い傾向がある。
固形物を口にすることができなかったキリスト教の断食期間に、栄養補給の目的で飲まれていた「液体のパン」に影響を受けているからだろう。
専用のグラスは概ね聖杯型のデザインである。
クリスマスは、例え教会に行かなくとも聖なるビールを手に、おいしく飲める健康な心身に感謝したい。
/////////////////////////////////////////////////
補足:
トラピストビールを名乗ることができるのは以下の要件を満たしたものだけ。
1.ビールはトラピスト会修道院の手により生産するか、直接指導の元に行うものとする。また修道院敷地内の設備によって醸造されなければならない。
2.醸造所、醸造銘柄の選択や商品展開は修道院内のコミュニティーにより決定されなければならない。
3.ビール製造は収益事業ではなく、利益は修道院の運営や援助に使うものでなくてはならない。
International TRAPPIST Association(国際トラピスト協会)
http://www.trappist.be/en/pages/trappist-beers
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。