アメリカのブルワーズ・アソシエーションを通じて世界のブルワーとRe-Fermenting Japanの輪が繋がった。
3/26、アメリカのブルワーズ・アソシエーション(以下BA)のフォーラムに、BA会員であるトシ・石井(石井敏之)氏 <注:1> が「復活日本 再醗酵 Re-Fermenting Japan ! 」に関するメッセージを発し、世界のブルワー達に救済を求めた。
BAのフォーラムはアメリカだけでなく世界中のビール関係者にも配布されているため、諸外国で反響をよんでいる。
石井氏がフォーラムで提案したことは以下の4点である。
1)被災ブルワリーの復興に向けた機械、設備、醸造機器、タンクの補修、再建、復興に関する情報提供をお願いしたい。
2)被災ブルワリーの復興に向けた各国からのエンジニアあっせん・紹介をお願いしたい。
3)青木、藤原が東京でおこなう“復活イベントへ”のビール提供をお願いしたい。
4)San Francisco開催CBC(Craft Brewers Conference)において、被害に遭われた日本人に向けて1分間の黙とうをお願いしたい。
私は、石井氏の発信の主旨に賛同し、「NPO日本の地ビールを支援する会」の青木辰男氏とともにこそれをサポートしようと考えている。
私は、日本のビール業界は、醸造所がビールを造る→酒販店・飲食店がビールを売る→ビールファンがビールを飲む→醸造所がビールを造る→酒販店・飲食店がビールを売る→ビールファンがビールを飲む→といったサイクルがグルグルと回ってこそ再醗酵すると考えている。
そしてその一つ目のボタンが「醸造所がビールを造る」に他ならない。
1)と2)は復興・再醗酵のための足がかりと考えられる。
いま、醸造所(規模にかかわらず)やそれを支援する人達、さらにはその醸造所のファンの方、「困っていること」があればJBJAサイトの右上<お問い合せ>から御連絡をいただきたい。
BA並びに石井氏を通じて世界のブルワーからリカバリー、トラブルシュートの情報を聞くことが出来る。
世界から情報を返してもらえるラインはすでに繋がっているのだ。
(日本語でOKです。必要があれば翻訳のお手伝いをする準備もあります)
なお、石井氏はフォーラムに発信した内容の中で、「Re-Fermenting Japan ! の活動では直接的な義援金は必要としていない。義援金は各国の赤十字を通じて日本赤十字に届くようにお願いしたい」と宣言している。
その理由は、今の段階で各国から義援金をいただいても結局は日本赤十字など公的機関に持っていくことになるわけであり、それならば「直接、各国の赤十字に振り込んでいただきたい」と提案された次第である。
当初は、義援金をお願いし、いただいたお金を被災した各ブルワリーなどに分配するという方法も考えられた。
しかし、どこにいくら割り振るかを勝手に決めることは傲慢だと言われても仕方ない。
いくら公平を期したと考えても、偏りがあると感じる人が出てくるだろう。
今後、具体的にどこかのブルワリーなどに対して、資金的なバックアップが必要なら、それがわかった時点で改めて「***醸造所復興基金」を立ち上げればいいと考えられている。
そのほうが、義援金を出した人の気持ちもダイレクトに反映されるに違いない。
今この段階で、出口のわからない義援金を集め、赤十字など公的機関に持っていかないことは着服行為であり詐欺行為である。
また「義援金」という名目で集めたお金を、特定の団体が好き勝手に分配するのは、義援金を出してくれた人達への裏切り行為といえる。
残念なことに、すでにそのような方法でグレーな義援金集めを始めている団体があるので、注意が必要だと考えられる。
そのような理由から現段階では「義援金はお断りする」という宣言になっている。
これは非常に真っ当で正義感のある考え方だと私は思う。
<注:1>
石井敏之氏
アメリカ、カリフォルニア州サンディエゴのストーン醸造所でビール醸造を習得し、日本のヤッホーブルーイングでよなよなエールやリアルエールといったビールを造った人物である。
独立後は、イギリス、チェコ、ノルウェーといった醸造所から客員ブルワーとして招待され数々のコラボ・ビールを発表している。
また、世界的なビア・フェスティバル、ビア・カンファレンス、ビアコンペのジャッジなどに多数参加していて、「Toshi」の名で知られる世界的醸造家である。
現在はアメリカ領グァムで自分自身の醸造所ISHI BREWINGを立ち上げ、オーナーブルワーとして活躍中だ。日本では、彼の置きみやげとも言えるアウグスビール・トシズIPAを飲むことが出来る。
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