【シリーズ☆鳥取のビール事情】鳥取でまさかの樽生ドイツビールが飲める機会を逃さなかったのでレポート
「並ぶ場所が違うのではないか?」
僕はそう鳥取県民たちに問い詰めたいと思ったのである。小一時間。
去る5月、スタバが鳥取にオープンした。大挙して押し寄せた県民なんと1000人超。スタバが美味しいのも、物珍しいのもわかる。でも、今や島根や岡山など近県でも飲めるのだ。それに比べると、ドイツビール2種を同時に樽から飲める機会なんて中国地方、いや日本全体でもそうそうない!そんなわけで、僕は夜更けに出かけたのである。大山Gビール直営のレストラン、ガンバリウスへ。
18周年を迎えたビアホフ ガンバリウスでは現在、アニバーサリーフェアの一環でドイツフェアを開催している。目玉は「ヴァイエンステファン ヘフヴァイス」と「シュレンケルラ ラオホ メルツェン」の樽生。多彩なドイツ料理も用意している。店内では随所にドイツの国旗が装飾され、僕の中に潜むゲルマン魂が揺さぶられるのを感じた(日本人だが)。
メニューを見て、まずは「ヴァイエンステファン ヘフヴァイス」からオーダー。今回、通常のドラフトタワーカウンターの横に特設のドイツビールカウンターが設置されていた。スワン型の氷冷サーバーで提供しているようだ。専用グラスと専用コースターで飲めるのは、本当にありがたい。僕の中に潜むゲルマ(以下略)
運ばれてきた一杯を飲んで、衝撃を受けた。酸味と甘み、酵母の豊かな香りが混然一体となって絶妙な味わい深さを生んでいるのだが、後味が非常にすっきりしているのである。グラスには「SEIT1040」(SEITは英語でいうSINCE)の文字。1000年単位の積み重ね…。そりゃ、美味いはずだと一人納得した。実は夕食後に訪れていたのだけど、せっかくの機会なのでドイツ料理もいただくことに。
チョイスしたのは、ヴァイスブルスト(白ソーセージ)とプレッツェル。湯船に仲良く浸かるヴァイスブルストはヴァイツェンとの相性ばっちり。プレッツェルは鳥取産小麦を使っており、香ばしくて美味だった。他にもレバーケーゼ、カリーブルストやアイスバイン(風)などが堪能できる。こちらはまたの機会としよう。ヴァイエンステファンが空いたので、お次は「シュレンケルラ ラオホ メルツェン」である。
こちら、ラオホというスタイル。ラオホは「燻製」という意味で、ブナの木を燃やした煙で燻した「燻製モルト」を使っている。国内のいくつかのブルワリーでも醸造されているスタイルだが、本場の樽生を一口飲んで圧倒された。「あ、国内のラオホって日本人の口に合わせて造られてたんだ」と思わざるをえなかった。日本のラオホはベーコンのようなスモーキーフレーバーだけど、この「シュレンケルラ ラオホ メルツェン」は漢方薬のような、いや、もっと具体的に言うと正露丸のような強いフレイバーなのだ。が、これがめちゃくちゃ美味いのである。今、文字を打ちながら「あー、飲みたい!」と淡い禁断症状を覚えるくらい、僕は虜になってしまった。ある意味、危険な一杯であることをお伝えしたい。
さて、2杯を空け、催したので地階のお手洗いへ。そこでは、ちょっとした催しが。
昨秋、大山Gビールの社長と醸造長が渡欧し、主にドイツを視察した際の記録写真が飾られているのだ。ドイツの美しい街並み、酒場、郷土料理とビール…。羨ましい限りだった。
ドイツの郷土料理、味わい深い本場の樽生、視察記録展が同時に楽しめるドイツフェアは7月12日(日)まで。鳥取の方はもちろん、中国地方在住のビール好きの方は訪問の価値ありです。スタバもいいですが、ぜひともガンバリウスへ。あー、ほんとまたラオホ飲みたい…。
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