No.37 『Mont des Cats』いかがですか?
現在、トラピストビールを醸造しているのは何ヶ所か、皆様は知っていますか?
※製造修道院 / ブランド名の順
●Achel / Achel
○Scourmont / Chimay
●Koningshoeven / La Trappe
○Orval / Orval
●Saint-Remy / Rochefort
○St.Sixtus / Westvleteren
●Onze-Lieve-Vrouw Van het Heilig Hart / Westmalle
○Stift Engelszell / Gregorius, Benno, Nivard
●Maria Toevlucht / Zundert
○St.Joseph’s / Spencer
●Tre Fontane / Tre Fontane
の11ヶ所。そして今回ご紹介するビールを含めれば「12」となります。
『Mont des Cats(モンデカ)』いかがでしょうか?
「含めれば」というのは、この「Mont
des Cats」はちょっとグレーなニュアンスなのです。
そもそもトラピストビールとは、トラピスト会修道院で造られており
①修道院の敷地内で醸造されていること
②醸造に関する権限が修道士にあること
③ビール販売の収益を修道院の運営管理に使い、余剰分は慈善事業につかうこと
の3つを満たすものがこれに当たります。その証として六角形の“Authentic trappist product”のマークが付けられています。
以前はMont des Cats修道院内で醸造していましたが、現在はやむ終えずそれを中止。ChimayブランドのScourmont修道院で作ったものを瓶詰め・販売しています。そのため認証マークは付きませんがラベルには3ヶ国語で「トラピストビール」の文字、国際トラピスト修道会にもちゃんと加盟しています。
詳しい理由等はこちらから。
【International Trappist Association(国際トラピスト修道会)】
http://www.trappist.be/en/pages/trappist-beers
何にせよ、修道士によって作られていることには変わりなく、その情景を想像しながら飲めば格別の味わいです。
注げばマスカットや青りんごのようなエステル香がストロング。ほのかな酸味ある香りも混じり、白ワインのような気品さを感じつつ、カラメルやチョコのようなモルトも確認できます。
霞みある明るいブラウン色からせり上がるホイップのような泡。含めば甘味を伴うモルト風味がミディアムに、ホップの苦味がバランスを取っています。
アルコーリック&エステリックながらも、ビターな余韻と軽い喉ごし。優美な香りとそれに合わせた飲了感、濃色ビールの厚みの効いた味わいのギャップが面白いです。
今後酒販店で見かけた際に、ラベルに認証マークがあったなら「おぉ!!」。何らかの動きがあったということになりますね。
-Beer profile-
商品名 : Mont des Cats
生産国 : ベルギー
醸造元 : Abbey of Scourmont
アルコール度数 : 8.0%
原材料 : 麦芽・ホップ
輸入者及び取引先 : えぞ麦酒(株)
【参考文献】
改訂新版 日本ビール検定公式テキスト(日本ビール文化研究会)
【Back Number】
No.36『Liefmans Kriek Brut 2015』いかがでしょうか?
https://www.jbja.jp/archives/11544
お読み頂いた皆様に感謝を込めて。
佐藤翔平
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。