[イベント]2011.8.1

「サンクトガーレン 一日店舗」オープンでの気づき

去る6月10日、渋谷のセンター街を抜けた先にある小さな場所で、たった1日だけオープンしたビアバーがあった。「サンクトガーレン一日店舗」。神奈川県厚木市に工場を持ち、『湘南ゴールド』や『インペリアルチョコレートスタウト』などクオリティの高いクラフトビールでファンを魅了する、マイクロブルワリーの実店舗だ。

■激レアで熱狂的な夕べ

椅子とテーブルの18名で満卓な店舗内に、ピーク時は30名ほどの人数がひしめき合っていたという熱狂ぶり。その日の様子を、同社広報の中川美希さんはこう振り返る。「オープンしてから24時近くまで常に満席でした。ムンムンな熱気だったんですが、防音の観点からも窓が開けられなくて、酸素が足りなーい! って(笑)」

熱狂的な夕べだったのは、何も金曜日の18時から25時までというゴールデンタイムだったからというだけではない。日本の最老舗でありながら、これまで一度も実店舗を持ったことがなかったブルワリーが、1日だけ実店舗をオープンするという激レアな状況が、この熱気に拍車をかけた。

当日提供された銘柄は以下の10種類:
・ゴールデンエール  
・アンバーエール
・ブラウンポーター  
・ペールエール
・YOKOHAMA XPA 
・スイートバニラスタウト
・黒糖スイートスタウト 
・湘南ゴールド
・パイナップルエール  
・B-IPA

店内はクローズまで大盛況


ビールを注ぐ社長の岩本伸久さん


■造り手と飲み手をつなぐリアル店舗の大切さ

リアル店舗を持たないサンクトガーレンは、ファンからいつも「店舗は持たないの」と言われ続けていた。そんな中、前述の中川さんがTwitterで知り合った人が、飲食店舗を「一日店長」にレンタルする「無銘食堂」のオーナーだったという縁が、初めてのリアル店舗につながった。

「何よりうれしかったのが、お客様の反応を直に見られたこと」と中川さん。「初めて『湘南ゴールド』を飲んだ人が、『ビールで泡まで美味しいのは初めて』と言ってくれて」。

おひとりさまがカウンターで飲んでいると、サンクトガーレンのビールを介して客同士のつながりができていくのを何度も見た。うれしくて、社に戻ってからTweetすると、そこからまたネットでのつながりも波及していった。「私たちが造ったビールが、人と人とをつなげる扉になったのだと思うとすごくうれしかった」。

一日とはいえ、リアル店舗を運営してみて得られた気づきもたくさんある。ビールの味わいの説明に難しさを感じたのもそのひとつだ。例えば、初めてクラフトビールを飲む人に、口頭で「アンバーエール」と「ペールエール」の違いをどう説明したらいいものか、悩んでしまったという。

「その上、普通のビアバーはフードも提供してオペレーションをつつがなく回すわけでしょう。飲んでもらうための工夫や心配りをして、私たちのビールをお客様にお渡ししてくれる提供側って本当にすごい。スタッフ一同、改めて感謝しています」

造る側も、提供する側もプロフェッショナルの仕事をこなして初めて、美味しいビールが飲み手へと運ばれる。一日店舗で気づきを得たサンクトガーレンは、より素晴らしいビールを私たちへ届けてくれるに違いない。■

サンクトガーレン一日店舗

サンクトガーレン

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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