デンマーク発ベルギー産セッションIPA―ビアレポート(121)
夏が苦手な私です。
代謝がいいせいか、汗を大量にかきます(冷や汗も含まれます)。冬でもそれなりに汗をかくのですが、夏の汗の量はハンパではありません。しっかり麦茶と麦酒で水分補給を心がけています。
今回紹介するのはミッケラー「ディセプション・セッションIPA」。
セッションIPAはアルコール度数も低く、ゴクゴク飲めるので暑い夏にはぴったり……なのは間違いないのですが、そんな陳腐化した表現を使わせまいという天の意志か、関東ではまだ梅雨が明けません。が、ジメジメした季節にはすっきりした味わいのビールを……とこれまた陳腐化した表現で話を進めたいと思います。
さて、ミッケラーは言わずと知れたファントムブルワリーで、他社の醸造設備を借りてビールを醸造しています。ミッケラーに限らずコントラクトブルワリーという言い方もされますが、醸造設備への初期投資が不要だったり、醸造するスタイルによってそれを得意とする醸造所に変えることができたり、といったことがメリットでしょうか。
その一方で、日本ではまだあまり普及していませんが、自社ブランドのビールを造らず、OEM専門でビールを造っている醸造所もあります。ミッケラーのビールは、その大部分がベルギーにあるOEM専門の醸造所によるものです。
その醸造所は、ベルギーのゲント近郊にある「De ‘Proef’ brouwerij」。「proef」とは、「試験」「実験」「研究」という意味で、その名の通り醸造するだけでなく醸造の研究も行っているようです。醸造量は10〜140ヘクトリットル(1〜14キロリットル)という比較的少量から対応しています。
ミッケラーの公式サイトには、
He(=Mikkel 筆者注) brews most of his infamous drops at de Proef Brouwerij in Belgium, which is owned by the very skilled brewer, Dirk Naudts, and his wife Saskia.
とありますが、mostとはどれくらいなのか、ざっと調べてみました(以下、数字はすべて2016年7月20日現在)。ミッケラー公式サイトのWEBSHOPに掲載されているビール全108本のうち、De ‘Proef’ brouwerijで造られているビール(「Brewed at D’Proef in Belgium」と表記されていたもの)は83本。「Brewed by Mikkeller」と表記されていたものは18本。その他の醸造所名が表記されていたものは7本。
「Brewed by Mikkeller」がどこで造られているのかは不明ですが、数字上はざっと8割ほどがDe ‘Proef’ brouwerijで造られていることになります。「ディセプション・セッションIPA」も「Brewed at D’Proef in Belgium」です。
グラスからは軽いモルト感のあるアロマに、柑橘系の香りも感じられます。口に含むとマンゴーやオレンジのようなトロピカルフレーバー。飲み込んだ後にもグレープフルーツの白い皮を思わせる苦味が持続し、フィニッシュはドライな印象です。
以上、陳腐化した表現満載でお送りしました。
【BEER DATA】
ディセプション・セッションIPA
生産地:ベルギー
醸造所:ミッケラー
スタイル:セッションIPA
アルコール度数:5%
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。