「World Beer Awards 2011」の結果を見て
イギリスのビアコンペティション「World Beer Awards 2011」の結果が発表された。
日本から、鎌倉ビール、富士桜高原麦酒、田沢湖ビール、サンクトガーレン、プレストンエール、大山Gビールがそれぞれの部門でWorld Best Beerとして、世界1位に輝いた。
また、「Asia’s Best」の部門では、この6社に加え、湘南ビール、箕面ビール、横浜ビール、がそれぞれの部門で1位に選出されている。
素晴らしい結果である。
先々週に紹介した「ベイブルーイング鈴木真也氏のフェイスブックを読んで」のなかで鈴木氏が感じていた”世界との差”は、これらのメーカーにしてみれば「縮まったというよりも、もはや肩を並べた、もしくは頂点に立った」と言っても良いのかもしれない。
日本クラフトビールは確実に進化している。
しかし、先々週や先週のコラムに多くの反響があったことも事実である。
日本のクラフトビールがこれだけのポテンシャルを持ちながら、一般的にさらに大きなムーブメントやマーケットにならない”何かモヤモヤした”原因は何なのか?
私はその1つの原因は、ビールに対する”酒税”だと思っている。
結論から言えば、日本のビール税は高すぎる! ということだ。
先日、ビール講座の試飲用に日本のクラフトビールを発注したところ、「在庫が足りないので、他の物を選び直して欲しい」という連絡があった。
「同じスタイルで海外の銘柄ならば在庫がある」ということだったので、内心「高くなりそうだなぁ…」と思いつつ値段を聞いたら、海外ビールのほうが安くて驚いた。
このようなことは、飲食店のビールセレクションを手伝った際にも経験した。
海外のビールに関税や船代をプラスしても、日本のビールよりも安くなることがあるのだ。
もちろん、そこには輸入業社の努力があることは言うまでもないが、この”価格の逆転現象”の一因は、日本の”高いビール税”である。
さらに、原料と副原料の定義(不可解きわまりない定義だ。発泡酒やその他の雑酒と呼ばれるものの中には非常に優れたものが多々ある)により、麦芽率の低い発泡酒やその他の雑酒というカテゴリーが出来、一般消費者に戸惑いを与えていることも問題である。
副原料と呼ばれる物の中には麦芽よりコストがかかるものもあるが、それらを使ってもなお、安い価格で販売できるのも酒税のマジックに他ならない。
酒税というものは難しい問題を孕んでいるため、偏った視野で語ることは控えたい。
しかし、あきらかに”諸外国のと差”があることと、国内においても”他のお酒に比べてビールの税金が著しく高い”のは事実だ。
*参考資料
「ウィキペディア:酒税」
「ビール酒造組合ホームページ」
とは言え、現実問題として私達は、この”高いビール税”の国で”ビール好き”として生きている。どうすればいいのか?
私達が出来ることはまず、国産ビールをイッパイ飲んで応援しようということだ。
もちろん、海外ビールもイッパイ飲もう。数多くの海外ビールが日本にいながらにして飲めることは幸せだ。
とにかく、ビールをどんどん飲んでいこうではないか。
消費者はビール文化の大きな柱である。
ビール文化向上は、造る、売る、飲むの3本柱が盛り上がってこそである。
柱が3本あれば、三脚が出来て安定する。
さらに”伝える”という柱を添えれば四脚が揃い、テーブルが出来上がる。
テーブルには天板が出来る。
天板があれば、上に大きな”文化”というものが置けるということだ。
伝える側としてのJBJAもがんばらねばと思う。
文末になったが改めて、WBA受賞各社の皆様にお祝いと感謝の言葉を贈りたい。
おめでとうございます。そしてありがとう。今後も美味しいビールを飲ませてください。
ブルワーが美味しいビールを造ってくれるからこそ、伝える、売る、飲むの柱が成り立つわけだ。
ビール文化向上の主柱は素晴らしいブルワーの造る素晴らしいビールに他ならない。
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