ベルギービールの分類について
先日行われた「ベルギービール・ウィークエンド東京」でも、45種類のベルギービールが10種類のタイプ別に分類、色分けされていました。
実はベルギーでも明確な分類の基準はありません。
「ゴールデン・エール」と言ってもおそらく通じないでしょう。
ビアカフェに入れば、それぞれの店の取扱銘柄が独自の基準で分類されています。
したがって分類すること自体が無意味だという考え方もあります。
また、さまざまなタイプのベルギービールはどれをとっても個性的で同じものは無く、銘柄の数だけ分類があるということもできます。
しかし、酒屋さんやバーなどで、また「ベルギービール・ウィークエンド東京」のようなイベントで初めてベルギービールを選んだりする場合、また、さらに深めるために別の銘柄を探したりする場合、ある程度の分類があれば目的のものにたどり着く近道になるはず。
その分類方法には、団体によって、著書によって、またそれぞれの切り口によってもさまざまなものがあり、一概にどれが優れている、ということは言えません。
石黒謙吾さんとの共著『ベルギービール大全』では、日本でも比較的定着していると思われる、ベルギービールを世界に広めた伝道師、マイケル・ジャクソンの分類方法を参考に、味、製法、地域性、歴史的背景などを考慮に入れて、もっともわかりやすいと思われる10タイプに分類しています。
野生酵母で自然発酵させる「ランビック・ビール」、
小麦特有のフルーティーな酸味が特徴の「ホワイトビール」、
主に東フランドル地方で醸造される茶褐色の「ブラウン・ビール」、
巨大なオーク樽に入れて熟成させる「レッド・ビール」、
農家が冬の間に仕込んで、夏に飲むために貯蔵しておいた「セゾン・ビール」、
世界7ヵ所の修道院にだけ存在するベルギービールの最高峰「トラピスト・ビール」、
トラピスト・ビールに似たタイプで修道院にまつわるビール「アビイ・ビール」、
アルコール度数が高く、美しい黄金色でフルーティーな味わいの「ゴールデン・エール」、
日本で飲まれる一般的なビールと同じタイプの「ピルスナー・ビール」、
それぞれ造られる地域の風土と深く関わった、個性的な「スペシャル・ビール」、
以上の10タイプ。
今後コラムでも、ベルギービールについてはこの10タイプの分類を基準に書いていきたいと思います。
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。