テイスティングレポ:オレの町のフルーティーなビール「Darguner Weißbier(ダルグナーヴァイツェン)」
ドイツの人に「どのビールが一番おいしい?」と質問すると、決まって同じ答えが返ってきます。
そんな素晴らしいビール、どの醸造所だと思いますか??
正解は
「オレの町のビールが一番うまいに決まっている」ですって。
ドイツにはどんな小さな町でも、決まって広場と教会と醸造所があります。
醸造所付属のレストランやビアガーデンは、地域の人が集まって憩うコミュニケーションの場。
自分の育った町のビールが一番。
これって、好きなのはビールとビールを介して生まれる故郷のコミュニティそのものなんでしょうね。
さて、ドイツには沢山の“故郷”があり、沢山のビールがあります。
今回テイスティングしたのは、ダルグンという故郷の「Darguner Weißbier ダルグナーヴァイツェン」。
日本へは横浜にある富士貿易株式会社が3月から輸入をしています。
ドイツ語ではWeißbier(ヴァイスビア)なのですが、日本ではあえてよく知られているヴァイツェンと商品名が付けられています。
ドイツ北東部メクレンブルク=フォアポンメルン州にあるダルグンという人口4,500人ほどの小さな町のビールで、多くのドイツビールにあるように、町の名前が付けられています。
ダルグンが誇る”オレの町のビール”です。
デンマークにも近いダルグンでは、1172年からデンマークの僧侶たちによりビール造りが行われてきました。
緑と湖に輝く町には、廃墟となった修道院や城が点在し、まるでおとぎ話に出てきそうな雰囲気。
あまり耳慣れない醸造所ですが、ドイツ農業協会(DLG)の「ドイツ連邦栄誉賞」も受賞しているドイツでもトップクラスの醸造所です。
ヴァイツェンとはドイツ語で「小麦」の意。
小麦麦芽を50%以上使用し、上面発酵により醸造した南ドイツ発祥のビールです。
ダルグナーのヴァイツェンは、無濾過のため酵母とたんぱく質が缶の底に残っています。
ですがら、美味しくいただくためのヴァイツェン特有の注ぎ方があります。
後ほど手順を紹介するとして、早速テイスティングしてみます。
こんもりと盛り上がるクリーミーな泡。
グラスから広がるパッションフルーツやバナナ、オレンジなどのトロピカルフルーツを連想させる甘い香り。
ひと口すすると、期待を裏切らない濃厚な味わいが口いっぱいに広がります。
フルーティーな甘さのあとから現れるクローヴのようなスパイシーさ。
炭酸ガスの刺激によって甘味はすーっと消え去り爽やかな印象ですが、フルーティーな余韻がいつまでも舌の上に残ります。
苦みはほとんど感じられず、ジューシーかつ軽やかな味わい。
ラガービールしか飲んでこなかった方は驚かれることでしょう。
今年ビールデビューしたばかりの若者や、苦いのが不得手という女性にも飲んでもらいたいビールです。
Darguner Weißbier(ダルグナーヴァイツェン)
生産国:ドイツ
醸造所:Darguner Brauerei
原材料:麦芽、ホップ、水
アルコール度数:5.1%
~ヴァイツェンをおいしく飲むためのスペシャルな注ぎ方~
・ボトル・缶を卓上に優しく転がし底に溜まった酵母を均一にならす。
・10秒ほど待ってから開栓し、グラスを水平近くまで傾け、ビールを小さい落差で4/5ほど注く。
・残り1/4はボトルを左右にスイングさせ下に溜まった酵母をさらに混ぜ、グラスに注ぐ。
・乾杯!! グラス上部ではなく底部分を打ち合わせる。
私は香りをより感じやすくなるチューリップグラスを使用していますが、
可能であればくびれのあるヴァイツェン専用グラスがおすすめです。
ヴァイツェン特有の白く濁ったグラデーションと豊かな泡を最後まで楽しむことができます。
缶に口を付けて直接飲むのは絶対にNG!
注いだ時にちょうどいいように炭酸が強めになっているので、直接口を当てるとピリピリという印象になります。
何より、ビールの香りを楽しむことができませんから。
普段使いのグラスでもプラカップでも、なければマグカップでも構いませんから、カップに移してからお楽しみくださいね。
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