家呑みが主流になったとき、英国の麗しきビア文化は…。
朝日新聞のWebサイト『asahi.com』で、マクギネス真美さんによる英国・ロンドン関連のコラムが連載されている。ロンドン五輪に向けてロンドンを紹介する内容で、そのひとつとしてパブをテーマにしたものがあった。ロンドンのおすすめパブや、パブでの過ごし方、作法などをくわしく紹介した、なかなか楽しい内容だ。
それを読んでいたら、今年の9月にカーラジオから流れてきた、こんな話題を思い出した。英国のデーリー・テレグラフ紙が「英国人は近い将来、パブよりも自宅でビールを飲む比率の方が高くなるだろう」と報じた、という内容だ(日本ではAFP通信でそのことを紹介していた)。
これは、英国ビールパブ協会が発表した統計に基づいた記事になっている。それによると、2010年
消費者に買い求められたビールはパブやクラブ、バーで50.9%、残りの49.1%が販売店経由であるという。日本人の私たちから見ればパブで飲む率が高いような印象を受けるが、1970年代の英国ではなんと9割以上のビールがパブなどの店舗で飲まれていた。
原因のひとつとして、スーパーで廉価なビールが出回ったことが影響している、と報じられている。英国ビールパブ協会は、「パブでの消費量の低下はスーパーのせい」「この比率は近い将来逆転するだろう」と述べている。
個人的には、「ラウンド」と呼ばれる、ビールをおごる順番をまわすブリティッシュパブで生まれた習慣が大好きだ。家飲みが主流になってしまったとしたら、こういった英国パブでの習慣はやがて衰退してしまうのだろうか? ビールがスーパーで安く入手できるのは消費者のひとりとしては確かにうれしいが、パブは英国人にとっての社交場という役割も負っているからこそ、現在の数字を英国ビールパブ協会はより重く受け止めているのかもしれない。■
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。