美味しければOK! いろいろ試してペアリングを楽しもう
ビールと料理をより美味しくする組み合わせ、ペアリング。正直、あまり得意ではありません。「もっと理解できたら素敵な時間を過ごせるのになぁ」と思っています。ならば「あの男に聞いてみよう」とペアリングを得意とするビアジャーナリスト佐藤翔平氏の元を訪ねました。
美味しければ正解! いろいろ試して楽しもう
「表現はきれいではないかもしれませんが、『浮気』です」
ペアリングについて聞くと思わぬ言葉が返ってきました。「ワインで主に使われるマリアージュという言葉は、ワインと料理を合わせたときに相乗効果が生まれることを前提に使われています。ビールはカジュアルな飲み物であることを前提で考えると、いろいろと組み合わせていいものと思っています。絶対にこのビールには、この料理が合わなくてはいけないというものはなくて良いと考えています。『いろいろな組み合わせができる』。それがペアリングではないでしょうか」とペアリングには合わせる自由があるといいます。
基礎理論として3つの「B&C」の法則(※1)がありますが、「結局は自分が美味しいと思った方が良いですよね。その正解に近づくための理論です。それ通りじゃないとダメとか、自分の味覚がずれているとか縛られなくていいと思います」と自分が美味しく感じ、楽しい時間を過ごせるようにすることが大事だと話します。
「普通に食べ飲みするときに最終的に『美味しいものをいただきたい』が目的ですから」と話を聞いていて、とても腑に落ちました。「いろいろ試してみよう!」とワクワクしてきました。
※1 ①Bithplace(誕生地)/Country(発祥国) その土地で愛されてきたビールと料理を合わせる ②Burnt(焦げ)/Color(色)ビールと料理の色を合わせる ③Balance(つり合い)/Combination(組み合わせ)味の相関関係で合わせる 【藤原ヒロユキ流ペアリングメゾット 藤原ヒロユキのBEER HAND BOOKより】
ビールありきで、料理を選ぶ!
では、ペアリングを楽しむポイントはあるのでしょうか。佐藤流を聞いてみました。「私はお店に入ったときに『今日はこのお店に来たから○○系のビールを飲もう』とは考えません。そのとき飲みたいビールを頼んで、これだったら何を合わせようかなという感じですね」と料理ありきではなく、飲みたいものに対して、どれを合わせてみるかという視点で選んでみると教えてくれました。
「もし迷ったら、「本能に聞く」のが一番です。それまでの経験や本人の嗜好性などを誰よりもよく知っていますから」とのこと。
ペアリングを意識して楽しみたいときは、「合わせる選択肢が多い方がより楽しいと思います。逆にIPAしか飲みたくないときや種類が多くて迷ってしまうときは、あえて少ないお店を選ぶのもいいと思います」とアドバイスします。
ビールは調味料としてとらえる!
「ヒントは料理だと思っています。親子丼を例にすると、どういう材料を使って、どの調味料をどのくらい使えば美味しくなるって、なんとなくイメージがあるのではないでしょうか。ビールも1つの調味料や材料だと思えばわかりやすくなると考えています。親子丼をつくってみたときに、『甘味が足りないなぁ』と感じたら甘味のあるビールを足してみると面白いと思いますし、たまねぎを使うので、炒めたたまねぎとより合いそうなのは『エールビールだよなぁ』という感じで試してみると良いと思います。日本酒だって、料理酒として使いますよね?」とヒントを教えてくれました。
「料理にしても生まれ育った地域によって、味付けも異なります。『この料理にはこのビールを合わせる』と決めつけるのではなく、自分の好きな味にどう近づけるかを考えると楽しくなります」
ビールも1つの調味料! 自分が美味しく感じるのには「何をプラスしていけばいいのか」と考えるとわかりやすいですね。
さらに「銘柄の特徴を知っておくとさらに合わせやすくなります」。確かに同じスタイルでも味わいは違うので、特徴を捉えていた方が料理を選びやすいですね。
マリアージュとは?
「感情的にいうならペアリングは『安心して食べられる組み合わせ』。マリアージュになると『感動する組み合わせ』。前者は想像内のもので、後者は想像外でしょうか。マリアージュはよく「第3のフレーバー」が現れると表現されます。料理を咀嚼したところにビールを流すと、その味わいの奥から料理の味や香りが戻ってくる。それがビールのそれと合わさって、単体同士では味わえない味わいが生まれる。普段音楽を聴くときのように各パートでなく、その「曲」全体に感動し聴けている状態がマリアージュだと考えています」とペアリングは「調和」、マリアージュは「融合」と別の味わいが生み出されるといいます。
「考えながら飲み合わせる」とペアリングは難しいイメージを抱いていましたが、「自分が美味しいと思う組み合わせでいい」、「ビールを1つの調味料として考え、自分がどんな味を欲しているのかを考えながら料理を合わせる」というポイントを聞き、気軽に試してみようと思いました。クリスマスやお正月も近く、いろいろな料理と合わせてみるいい時期だと思います。今年の年末年始はペアリングで楽しいビアタイムを送ってみてはいかがでしょうか。
◆取材協力 池袋の風
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