家庭のビール学(1) グラス洗浄問題
「グラスは専用スポンジは洗うべし」。ビール業界ではよく聞くセリフである。
家庭においても、グラス専用スポンジを用意している方も見受けられる。
しかしながら、家の事情で専用スポンジを用意できるとは限らない。
そこで今回は、普段使っているスポンジを使い、綺麗なグラスにできないかの検証を行った。
〇目標
そもそも「綺麗なグラス」とはどういうものか。
グラスが綺麗に洗えている基準として、下記2つがある。
- ビールを注いだ時、グラスの内側に気泡が付いていない
- ビールを飲んだ後、レーシング(飲んだ後にできる、わっか状の泡の跡)ができている
専用スポンジを使わずにグラスを洗おうとした時、スポンジについた油などの汚れがグラスに付着してしまう恐れがある。
そこで、今回は「すすぎ」に着目した。
普段使用しているスポンジを使い、すすぎを一工夫するだけで汚れが落とせれば、気軽に綺麗なグラスを作ることができる。
今回の目標は「グラス専用スポンジ以外のスポンジを使い、すすぎだけで綺麗なグラスを作る」とした。
〇準備
グラスは普段家で使用しているものを用意した。なおこのグラスは、ビール以外にもお茶など飲む際にも使用している
グラス洗浄は市販洗剤、市販スポンジを使用した。
左が新品のスポンジ、右が今回使用したスポンジである。。
3〜4ヶ月使用しているため、汚れも目立ち、ヘタっているのがわかる。
ビールは大手のピルスナーとし、注ぐ直前まで冷蔵庫で十分冷やしたものを用意した。なお、ビールは3度注ぎとした。
〇検証
1.通常洗浄(自然乾燥)
まず、グラスを洗浄し、水道水ですすぎ、自然乾燥したものにビールを注いだ。
グラスの内側は乾燥した状態となっている。
こちらが注いだ後である。
グラス内部に気泡がついている。このような気泡は汚れに泡が付着している状態である。
また、飲んだ後にレーシングできなかった。
これらの要因は、
- スポンジの油がグラスに移ってしまった
- 自然乾燥させたため水垢ができてしまった
- 自然乾燥時にホコリがついてしまった
と考えられる。
2.水道水すすぎ
次に、グラスを洗浄し、水道水ですすいだ後に、自然乾燥させずにビールを注いだ。
ビアバーでは、ビールを注ぐ直前にグラスをすすいだり、浄水にグラスを漬けたりし、グラス内を濡れた状態で、ビールを注いでいるお店を見かける。それと同じような状況を作り出すのが狙いだ。
こちらが注いだ後である。先ほどと異なり、グラス内部に気泡ができなかった。
飲んだ後に少しではあるが、レーシングができている。
3.お湯すすぎ
次に、グラスを洗浄し、水道水ですすいだ後、更に約80度のお湯でグラスをすすぐ。グラスは手で持っても熱さを感じなくなるまで自然冷却し、その後ビールを注いだ。
業務用の食器洗浄機では、おおよそ80度のお湯ですすいでいるという。そのため、80度のお湯でグラスをすすいだ。
なお、熱湯はグラス破損の恐れがあったため、今回実施していない。
こちらが注いだ後である。先ほどと同様、グラス内部に気泡ができなかった。
飲んだ後に少しではあるが、レーシングができている。
4.クッキングペーパーで内側を拭き上げたのち、水道水すすぎ
最後に、グラスを洗浄し、水道水ですすいだ後、クッキングペーパーでグラスの内側を拭き上げる。その後水道水で内側をすすぎ、ビールを注いだ。
クッキングペーパーで油や汚れを取り、クッキングペーパーの繊維を水で流すのが狙いだ。
こちらが注いだ後のグラスである。先ほどと異なり、グラス内部に気泡ができなかった。
飲んだ後にも少しではあるが、レーシングができている。
〇まとめ
今回の検証結果では、
- 自然乾燥させたものにビールを注ぐと、グラスの内側に気泡がついたり、レーシングができなかったりする。
- 使用直前にグラスをすすぐことで、気泡の発生を抑えたり、多少レーシングができたりする。
- 水道水、お湯、拭き上げ後すすぎの3種類で、大きな差は見受けられなかった。
上記3点がわかった。また、グラスの内側を濡らすことで、気泡の発生の抑制、レーシングの発生を促進できると考えられる。
これはビールを注ぐ直前にグラスをすすぐことで、水アカの除去、ホコリの除去が見込めるためである。
〇結論
・ビールを注ぐ直前にグラスをすすぐことで、気泡の抑制、レーシングの促進が見込める
自宅でビールをグラスに注いで飲む際、そのグラスを一度水道水ですすぐと良いかもしれない。
今後、より綺麗なグラス作りを目指し、手軽にできる方法がないかを検証していく。
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