ビール会社のお仕事を知る 【サッポロビール株式会社 人事部の取り組み】
- 新年度もあっという間に1ヶ月が過ぎました。みなさんの会社にも新入社員が入って来られましたか? そろそろ新入社員研修も終わり、配属先が決まり慣れない仕事に一生懸命取り組まれている時期でしょうか。そんななか「ビール会社ってブルワーさんの仕事はイメージつくけど、他の部署の方はどんな仕事をしているのだろう?」とふと疑問に思いました。ならば実際に取材をしてみようということで、サッポロビール株式会社(以下、サッポロビール)に行ってきました。
主体性と協働姿勢を養う研修プログラム
今回、取材させていただいたのは、人事部のキャリア形成支援グループ。春先の重要なお仕事として、新入社員研修があります。会社の新戦力となる若い世代に社会人として、企業人としての能力を身につけてもらうための大事な研修です。サッポロビールでは、どんなことを意識しているのでしょう。
「意識していることは2つあります。まず主体性、協働姿勢を大事にしています。そのために研修の運営や風紀・コミュニケーションなど『全員に係を担当』してもらいます。これは昨年から取り入れているのですが、自ら考えて行動すること、周りと協力して物事に取り組む力を身につけてほしいという思いから行っています。もう1つが一昨年から行っている試飲会(※1)です。ビール会社らしく、自分たちの商品を学んだこと通じて、アピールしてみる機会をつくりたいと考え、開催しています。研修で学んだことを整理して、自分の言葉で想いを込めて語ることで、その楽しさと難しさを感じて欲しいという思いも込めています」。
※1 社員向けの試飲会。一般公開はされていない。
良いアイデアを生み、仲間とつくり上げていくためには主体性と協働姿勢は欠かせないと話すのは岩佐拓幸課長代理。以前はすべて担当部署で企画運営していたそうですが、「受け身に回ってしまって、自ら考えて行動するという意識が育ちにくかった」といいます。
良い商品を生み出し、会社としても信用を得るために試行錯誤を重ね、役割を与え、主体性や協働姿勢を養えるプログラムを作成し、取り組まれています。
しかし、社員向けの試飲会とはいえ、入社したばかりで自社の製品に精通した人たちにプレゼンを行うことは大変ではないのだろうか。
「社員は商品知識に長けていますから実際にお客さんに対応するよりも難しいと思います。でも、そこから自分に何が足りないのかを考えてもらい、次へのステップにつなげてもらいたいと思います」。
積極的にトライ&エラーできる環境があり、経験値が積める環境はとても素敵です。
ビールを愛する3人の新戦力に直撃取材!
今年は、現地採用の方を含めると78名が入社。その方たちのなかから大谷木達也さん(中四国本部営業)、井口航輔さん(クラフト事業部)、大畠麻由さん(技術部門)の3人にお話を伺いました。
Q1 若い世代における「ビール離れ」が言われているなかで、ビール会社に関心をもったのは何故ですか?
●大谷木達也さん
「私がビール会社に興味をもったのは、ビールが好きだったのが1番の理由です。仕事をするにあたり、自分の好きなもの。興味のあるもの。そうしたものを仕事にしたいと思ったからです」。
●井口航輔さん
「20歳の時に吉祥寺にある『いせや』さんで、『サッポロラガービール(通称、赤星)』に出会い、その味が忘れられなく、それ以来ずっと『黒ラベル』『ヱビスビール』『赤星』とサッポロビールのブランドが大好きで飲み続けてきました。その思いだけで、この会社を受けました」。
●大畠麻由さん
「私は父と母がすごくビールが大好きで、夕食のときにいつも楽しそうに飲んでいる姿がとても印象的でした。楽しい場での『乾杯のはじめの1杯』ですとか『とりあえず』といえるお酒はビール以外にないと思いました。そうしたビールをつくりたいと思い、志望しました。
Q2 ビールに対するイメージはどんなものでしょうか?
●大谷木達也さん
「自分が『社会人になった』と実感できる飲みものだと思います」。
●井口航輔さん
「ビールは色々スタイルがありますが、そのなかでも私はピルスナーを思い浮かべています。乾杯のときにジョッキ同士を『カン』と合わせたときの泡が溢れだす素敵な光景はビールにしかできないと思っています。それとフェスにしてもビール以外にできるお酒はなく、『オンリーワン』のものだと思っています」。
●大畠麻由さん
「2つ思うところがあります。1つは味で、苦味だったり、香りだったり。すごく食事に合って食が進むイメージがあります。もう1つがモノという点で、コミュニケーションツールとして魅力的な飲み物だと感じています」。
明るく、楽しく、前向きな姿勢で良い環境をつくる
次年度の研修は、前年の夏前から始動。新入社員の意識も重要と話すが、指導する側も改善点を話し合い、さらに良い研修内容を提供していけるよう早い段階から取り組むといいます。こうした姿勢に、縁あって一緒に働くことになる仲間を大事に育てていこうという気持ちを感じました。
サッポロビールでは新人研修を通じてどんなこと伝えたいのでしょうか。
「新入職員のみなさんに伝えていることは、3つあります。1つ目が『与えられることを当たり前と思わない』です。今、自分がいること、商品を扱えること。そういうことすべてが会社の人、家族といったいろいろな人たちがいて成り立っているので、その一瞬を大事にしてほしいと思います。2つ目は『自分で考えて行動』してほしいです。指示を待つのではなく、質は高くなくてもいいと思いので、まずは自ら考えて一歩踏み出してほしいです。その違いはとても大きいです。質はこれからの仕事を通じてどんどん高くなっていきますから。3つ目がこの会社に入って良かったと前向きな気持ちで過ごしてもらいたい。これは人事部長の石川孝がいっていることですが、『明るく、楽しく、前向きに(ATM)』という姿勢でいてほしいですね。こうした姿勢でいると自分も同僚も会社もみんなが良い状態でいられるのかなと思います」。
『お客様の生活を、より楽しく豊かに』と言っている会社の社員が楽しくない社員ばかりだとその価値はつくり出せませんから。しっかりと仕事に取り組むなかで、遊び心ももちながらATMに仕事をしていってほしいです」と新入職員にエールを送ります。
決してお客様の前に立つ表立ったお仕事ではありませんが、キャリア形成支援グループのお仕事は、美味しいビールをつくり、提案していく人財(※2)を育成していくために重要な役割であると感じました。1から伝えていくことはとても時間もエネルギーもかかり、根気がいります。それでも自分たちの理念を丁寧に伝えていくからこそ人財が育つのだと思います。これだけしっかりとした研修があるのは、就職を希望する方にとっても安心感がありますね。
※2 取材先のご希望によりこのように表現しています。
サッポロビール採用についてはこちら(http://www.sapporobeer.jp/recruit/index.html)を参照ください。
最後に若い世代にこんなにもビールを愛してくれている人たちがいることは嬉しかったですし、心強かったです。将来のビール界を牽引していく彼らの活躍を楽しみにしましょう!
【追記】H30.5.7 一部表現の変更と大畠様のお名前に誤りがありましたので、修正をいたしました。
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。