「オード・ベールセル醸造所」ブリューマスター「ヘルト・クリスチアンス」氏とランビックビールを味わう
2018年6月9日、「フィルデジュール -au Fil des Jours-」にて「ランビック!Oud beerselブリューマスターご来店」イベントが開催されました。ベルギー「Brouwerij Oud beersel(以下、オード・ベールセル醸造所)」のブリューマスターである、「Gert Christiaens(以下、ヘルト・クリスチアンス)」氏が来店し、お話を聞きながら、ランビックビールを楽しめるイベントでした。筆者は、このイベントに参加しましたので、レポート致します。
※「Oud beersel」は「アウド・ベールセル」、「オゥド・ベールセル」などの読み方もありますが、当記事上では「オード・ベールセル」と表記しております。
目次
オード・ベールセル醸造所とヘルト・クリスチアンス氏
乾杯の前に「オード・ベールセル醸造所」や「ヘルト・クリスチアンス」氏についてのお話がありました。その内容を紹介致します。
伝統的なランビック醸造所 オード・ベールセル醸造所の閉鎖
「オード・ベールセル醸造所」は1882年創業、ヴァンデルヴェルデン一族が経営する伝統的なランビック醸造所でした。しかし、跡継ぎがいないこと、醸造設備がEUの保健衛生調査を通らないなど諸問題があり、2002年に操業を停止し、閉鎖しました。
オード・ベールセル醸造所のビールとの出逢い、ヘルト・クリスチアンス氏の決意
「ヘルト・クリスチアンス」氏はビアバーで、「オード・ベールセル醸造所」のビールを飲み、とても美味しく感じました。しかし、次に訪れて同じビールを飲もうとしたところ、無くなっていました。そのお店で出す、「オード・ベールセル醸造所」の最後のビールだったそうです。ショックを受けた「ヘルト・クリスチアンス」氏は、醸造所に連絡し、何とかならないかと掛け合いました。当時は他の仕事をしていましたが、週末に醸造所を手伝ってでも助けたいという気持ちだったそうです。しかし、醸造設備などの問題もあり、醸造所の再開は出来ませんでした。その後、醸造所自体の買い取りの話があり、「ヘルト・クリスチアンス」氏がご自身で再建すると決意を固めました。「ヘルト・クリスチアンス」氏は、ベルギーのGent(ヘント)にある醸造学校で2年間勉強しつつ、先代の「Henri Vanderverden(アンリ・ヴァンデルヴェルデン)」氏より、自然発酵の知識やオーク樽の扱いなどを学びました。
オード・ベールセル醸造所の再興へ
2005年、「オード・ベールセル醸造所」は操業を再開しました。しかし、フラッグシップである「Oude Geuze」をつくるには問題が生じました。ベースのオード・ランビックをつくるのに最低でも3年かかります。資金の都合もあり、3年も待つことはできません。そのため、6~8週間ほどで出荷できるエールタイプのビールをつくり、販売することで資金を稼ぐことにしました。その銘柄が「Bersalis Tripel」です。製造はデリリウム・トレメンスなどの銘柄で有名な「Brouwerij Huyghe(ヒューグ醸造所)」に、委託しています。
オード・ベールセル醸造所のビール
ランビックビールについては、現在「Boon Brouwerij(ブーン醸造所)」で、オード・ベールセル仕様の麦汁の仕込みまで行っています。その後、タンクで「オード・ベールセル醸造所」に運び、発酵以降の工程を行います。「オード・ベールセル醸造所」にて、ランビックビールの麦汁の仕込みからすべての工程を行うには、4~5年程かかる見込みとのことです。
現在は、資金ぶりも良くなり、定番の「Oude Geuze」「Oude Kriek」以外にも、シャンパーニュ製法のビールや変わった樽を使って熟成したビールなど、ビール・ラインナップも増えてきております。
オード・ベールセル醸造所のランビックビールを味わう
「ヘルト・クリスチアンス」氏との乾杯!「オード・ベールセル醸造所」のランビックビールを楽しむ時間です。イベント時は店内壁面に、「オード・ベールセル醸造所」について、スライドショーで放映されておりました。素敵なスライドを見ながら、「Oude Lambiek」など「オード・ベールセル醸造所」のランビックビールを堪能しました。
ヘルト・クリスチアンス氏との交流
イベント中、「ヘルト・クリスチアンス」氏は各テーブルを巡っておりました。人柄も良く、情熱的な「ヘルト・クリスチアンス」氏、それぞれのテーブルで人だかりができています。「オード・ベールセル醸造所」のビールづくり、ベルギーのランビックブレンダーに関する質問への応答などに、丁寧に対応されておりました。例えば、「オード・ベールセル醸造所」のマークについては、ベールセル城の3つの塔が元となっており、「オード・ベールセル醸造所」の熟成に用いる樽には、このマークを刻印していると伺いました。
「ヘルト・クリスチアンス」氏はファンサービスも旺盛です。写真撮影はもちろん、サインなどにも応えておりました。オード・ベールセル醸造所の「BZART」3銘柄を撮影時に、「ヘルト・クリスチアンス」氏も入っていただき、お茶目で素敵な写真が取れました。
ヘルト・クリスチアンス氏と一緒に味わうランビックビール
イベントで提供された「オード・ベールセル醸造所」のランビックビールをご紹介します。イベント参加者は、これらのビールを「ヘルト・クリスチアンス」氏と一緒に味わいました。
■樽ビール
・「Oude Lambiek」
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノのフードル(樽)により、15ヶ月発酵・熟成させたランビックビール。
・「Acid Crush」
シトラ、モザイク、エキノックスをダブルドライホッピングしたIPAと、オード・ベールセルのランビックをブレンドしたビール。
■ボトルビール
・「Oude Geuze Vandervelden」
トスカーナの赤ワイン樽で1年ねかせたものと、3年熟成のランビックのブレンド。
・「Oude Geuze BarrelSeclection OudePijpen 2017」
ポートワインの樽で発酵・熟成したランビックのブレンド。
・「Bzart Lambiek Millesime2013」
12か月熟成のランビックをシャンパーニュスタイルで2次発酵させ、2年熟成したもの。
・「Bzart KriekenLambiek Millesime 2013」
生のモレロチェリーを使用し、シャンパーニュスタイルで2次発酵させ、2年熟成したもの。
・「Bzart Lambiek Millesime 2012」
12か月熟成のランビックをシャンパーニュスタイルで2次発酵させ、3年熟成したもの。
オード・ベールセル醸造所のランビックビールへの期待
「オード・ベールセル醸造所」およびブリューマスター「ヘルト・クリスチアンス氏」を身近に感じられ、ランビックビールの魅力を楽しめるイベントでした。「ヘルト・クリスチアンス」氏、およびイベントを開催した「フィルデジュール -au Fil des Jours-」をはじめとする関係者の皆様、素敵な時間をありがとうございました。「オード・ベールセル醸造所」にて、麦汁の仕込みから、すべての工程を行いつくられたランビックビールが、飲める日を楽しみにしています。
この記事が素敵なビールとの出逢いに役立てれば幸いです。
■Oud beersel(オード・ベールセル醸造所)
https://www.facebook.com/oudbeersel/
■フィルデジュール -au Fil des Jours-
Opening Hours
Lunch & Café Time:
Mon. – Fri.11:30 – 15:00
Dinner Time:
Mon. – Thu.17:00 – 23:00
Fri.17:00 – 24:00
Open from Mon. to Fri.(土日祝休)
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。