【ビアライゼ】ドイツのケルンで、ケルシュを楽しもう!
ビアライゼ、それは美味しいビールを求めて、日本や世界各地をめぐる旅。ビアライゼの楽しみ方の1つとして、ブルワリーやブリューパブ巡りがあります。筆者はビールを求め、ドイツやベルギーなど欧州をよく旅しています。2019年の初めにドイツを旅した際、訪れた都市の1つ、Köln(ケルン)にて、Kölsch(ケルシュ)をたっぷり楽しみました。その魅力をお伝えします。
目次
ドイツの都市Köln(ケルン)
ケルンは、ドイツ西部Nordrhein-Westfalen(ノルトライン=ヴェストファーレン)州にある都市。ケルンの名称は旧く、一世紀頃のローマ植民都市コロニア・アグリッピネンシスより、コロニアが語源と言われています。現在は、約1,000万人の人口を擁するドイツ屈指の大都市です。ケルン中心部にはライン川が流れ、水運に恵まれています。そして、鉄道や道路を含めた交通の要所でもあります。ケルン中央駅近くには、ケルン大聖堂をはじめとした観光名所が多数あり、ドイツ西部の観光都市としても有名です。
Kölsch(ケルシュ)
ケルシュ協約
ケルシュを名乗ることが出来るのは、「ケルシュ協約」に調印しているケルン近郊の醸造所のビールのみです。「ケルシュ協約」は、ケルシュの品質と伝統を守ることを目的として、1986年にケルシュの醸造家達が調印し、締結されました。この協約には16の条項(掟)があり、原産地や醸造に関する規定だけでなく、注ぐグラスの形状なども定められています。このグラスは、シュタンゲ(Stange)と呼ばれ、細い円柱状をしており、サイズも200mlという小さいものです。
参考:ケルン醸造所協会(Kölner Brauerei Verband E.V.)より、ケルシュ協約(Kölsch-Konvention)の16条項(掟) ※ドイツ語表記
ケルシュの特徴
ケルシュは、上面発酵の酵母を、下面発酵の低い温度帯で醸造するビールです。外観は、透明感ある淡い黄金色、きめ細かい泡立ち。フルーティで華やかな香り。口に含むと、その風味が広がります。苦味は非常に弱く、銘柄によっては甘味や弱い酸味を感じます。後味はすっきりしており、喉越しはとても軽く、飲みやすいビールです。そのため、苦いビールが苦手な方でも、美味しく味わうことが出来るでしょう。
ケルンで、ケルシュを楽しもう
飲むケルシュの銘柄・お店を決めよう
ケルシュは、ケルンのいたるところで飲むことが出来ます。お店での樽生の提供はもちろん、ボトルや缶でも販売されています。せっかくケルンで飲むのなら、お店で飲みましょう。ケルシュを手軽に味わうのであれば、交通アクセスも良く、観光スポットでもある、ケルン中央駅およびケルン大聖堂付近で、お店を探すことをおススメします。醸造所(元醸造所含む)、醸造所の直営店や老舗のビアレストランなど多数あるので、事前に調べておくとスムーズにお店を決められます。なお、どの醸造所のケルシュを飲めるかは、入口や看板付近など目立つところに掲載されており、それをもとに判断することも出来ます。
ご参考までに、代表的なケルシュの銘柄として、下記があります。
・Gaffel Kölsch(ガッフェル・ケルシュ)
・Dom Kölsch(ドーム・ケルシュ)
・Früh Kölsch(フリュー・ケルシュ)
・Sion Kölsch(ジオン・ケルシュ)
・Peters Kölsch(ペーター・ケルシュ)
・Päffgen Kölsch(ペフゲン・ケルシュ)
・Sünner Kölsch(ズュナー・ケルシュ)
・Reissdorf Kölsch(ライスドルフ・ケルシュ)
・Malzmühle Kölsch(マルツミューレ・ケルシュ)
・Schreckenskammer Kölsch(シュレッケンスカンマー・ケルシュ)
など
ケルシュを味わおう
1.入店
入店の際は、Guten Tag(グーテン・ターク=こんにちは)、Guten Abend(グーテン アーベント=こんばんは)、もしくは「Hallo(ハロー)」と挨拶します。入口付近にスタンディング席、奥にテーブル席がある店が多く、食事もあわせて楽しむのなら、テーブル席を推奨します。予約がある場合、店員に伝えて席へ案内してもらいます。予約がない場合、店員に一声かけましょう。店によって、「店員による案内」、もしくは「空いている席に座っていいよ」と言われ、自分で席を探して座る場合があります。
2.ケルシュをオーダーする
ケルンのビールと言えば、基本的にケルシュ。店員に「ビールを下さい(ドイツ語でBier bitte、発音はビアー ビッテ)」と言えば、ケルシュが来ます。この際、親指を立てて(ケルシュを1杯欲しいことを伝える)、オーダーすると良いでしょう。円柱状のグラスであるシュタンゲ(Stange)に注がれたケルシュは、クランツ(Kranz)と言う取っ手付きの円形のお盆で運ばれ、提供されます。ケルシュが来ましたら、さっそく味わいましょう。
3.ケルシュをおかわりする
シュタンゲが空になれば、新しいケルシュが提供されます。まるで、「わんこそば」の様に、延々とケルシュが提供される仕組みです。なお、店によっては「おかわりで良いか」を、確認してくれる場合があります。ケルシュ提供の際、コースターにペンで線が書かれます。この線の数が、ケルシュを飲んだ杯数を表します。
4.ケルシュを味わうのを終える
ケルシュを飲み終える場合は、シュタンゲの上にコースターを置きます。すると、店員が来て、コースターに書かれている線の数(飲んだ杯数)を元に、金額を計算をしてくれます。
5.支払い~店を出る。
基本的に、テーブルでの支払いです。金額は、コースターに直接書かれるか、レシートなどで伝えられます。提示された内容を確認し、店員に支払いを済ませましょう。その際は、サービスに応じて、チップを渡すと喜ばれます。そして、店を出るとき、Tschüss(チュース=カジュアルなさよなら)と挨拶しましょう。
ケルンで、ケルシュを飲む醍醐味
日本に輸入されているケルシュの銘柄もあるので、国内でケルシュを飲むことは出来ます。また、ケルシュ風ビールを醸造する国内のブルワリーもあります。しかし、ケルシュ発祥の地で、その伝統を守っている文化に触れ、フレッシュな状態のケルシュを飲むことが出来るのは、ドイツのケルンのみです。筆者は、この醍醐味は現地で飲むからこそ味わえるもの、だと考えます。そのため、ドイツを旅する際は、ケルンで、ケルシュを楽しむことをおススメします。
この記事が素敵なビールとの出逢いに役立てれば幸いです。
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。