[ビアバー]2019.5.13

縁がつながる 五差路のブルーパブ【Riot Beer(祖師ヶ谷大蔵)】

世田谷区砧の閑静な住宅街にたたずむ、小さなブルーパブ「Riot Beer」。2018年4月のオープンから1周年を迎えた、筆者のご近所パブの魅力をご紹介します!

祖師ヶ谷大蔵駅から徒歩6分の小さなブルーパブ

左:特徴的な五差路の角にあるRiot Beer/右:駅から店までの地図

新宿から各駅停車で13駅、祖師ヶ谷大蔵の改札を出て、左右(南北)に長く続く商店街を左(南)側に直進します。信号を渡ってそのまま200mほど歩き、左手に手作りハムとソーセージの店「エッセン」が見えたら、その角を曲がって再び直進。「JA東京中央」の建物が見えてくる五差路に差し掛かると、手前右手に現れるのが「Riot Beer」です。

正面カウンター。10のボールタップが並ぶ。

白熱電球の温かな光が灯る店内は、正面と手前右はカウンター席、そして入口の左手は小さなテーブル席になっています。正面カウンターの右端にレジがあり、キャッシュオン形式でビールを注文するシステム。オリジナルビールを中心に最大10タップが繋がっています。ちょうどよい音量でかかるBGMとシンプルで柔らかい雰囲気は、仲間と一緒に訪ねるにも、ひとりでゆるりとビールを楽しむにも心地よい空間です。

写真の右側に見えるガラス戸の向こうが醸造スペース。約200Lの糖化鍋と煮沸鍋、100Lの発酵用冷蔵庫4基というごくごく小規模の設備と醸造の様子は、去年、田口篤史BJが当ページで紹介しているので、こちらも併せてお読みください。

田口篤史BJの記事はこちら↓
「祖師ヶ谷大蔵 RIOT BEER 公開醸造イベントを満喫!」

記憶に残るクリアなビールたち

左:オーナーでヘッドブルワーの江幡貴人氏(左)とブルワーの山田泰一氏/ 右:オーナーの上地風吾氏(右)と日曜スタッフの中村伸一氏。

Riot Beerは江幡貴人氏、上地風吾氏、水落光利氏の三人の共同オーナーによるブルーパブです。そのうち江幡氏がヘッドブルワーとしてオリジナルビールのすべてのレシピを担当し、上地氏がプロデューサーとしてビールのネーミングやイメージデザイン・グッズ制作などを行っています。

三人は、ビールの醸造セミナー「相澤塾」の4期卒業生。酒税法改正の直前が受講期だったため、「改正前に発泡酒免許を取得して、自分の店を持ちたい!」という明確な意志を持った同期生が多かったそうです。そんななか、入塾直後に意気投合した彼らは、共同オーナーとしてブルーパブを立ち上げる計画を着々と進め、2018年4月5日のオープンに至りました。

さらに、同じく相澤塾4期生で、“ビールおじさん”という独自の肩書でビールに関するさまざまな活動をしている山田泰一氏が醸造支援をしています。

ビールそれぞれに、イメージ画像が作られており、Facebookの日々の告知などに使用されています。

・Brussels’ Cowboys/Belgian Saison
・Cherub Rock/Belgian blond
・Daydream Skippers/Cream Ale
・Dookie/American Golden Ale
・Hey Boy Hey Girl /IPA
・Lovers Rock/Session White IPA
・Moped Lads/Belgian Strong Ale
・Old Firm/Scottish Light Ale
・Roxanne/English Ale
・Ruby Tuesday/Sour IPA
・Salvation/IPA
・Stay Dread/IPA
・Youth Together/IPA(アルファベット順・新規銘柄は随時更新)

こちらが、これまでに醸造された主なビール/ビアスタイルです。名前を見て「おおっ!?」と思われた方は、きっと音楽好きなはず! Riot Beerのビール名は、上地氏が好きなUKロックの曲名やフレーズなどから付けられています。江幡氏が造るイギリスやベルギースタイルのビールの味わいとうまく調和しています。

ビアLoverの皆さんにぜひ飲んでいただきたいビールは、「Brussels’ Cowboys(ブリュッセルズ・カウボーイズ)」と「Cherub Rock(ケルブロック)」です。前者はシャンパン酵母を二次発酵に使用した、爽やかな酸味とキレが感じられる優しいセゾン。後者は、蜂蜜を思わせる、酵母由来の甘いアロマとフレーバーが特徴的なベルジャンブロンドです。どちらもモルトの風味を大切に造られたクリアな味わいでありながらも不思議と記憶に残り、何杯でも飲みたくなる逸品です。ビールにはブルワーの人柄が出るといいますが、このビールたちからは誠実で優しい江幡氏の人柄が垣間見えます。

ただしRiot Beerには常設ビールがなく、この2つも常に繋がっているとは限りませんので、公式Facebookに挙がった最新情報を事前にチェックしてくださいね。

ビールのつながり、地元のつながり

左:さかみちマルシェ/右:Nicky Live

クラフトビールの世界では、業界仲間との“つながり”が活動の場を広げることも多いですよね。Riot Beerにも、「自分の店を持つ」という同じ志を貫いた相澤塾仲間をはじめとした、多くのつながりがあります。また、訪れる人の大半が“地元ビアLover”の同店では、常連客がきっかけとなって近隣の飲食店とつながり、イベントに発展するケースも。

オープンから1年の間に、ビールの縁・地元の縁がきっかけとなって、ジャンルの異なるさまざまなイベントが行われました。

継続的に開催されているのが「さかみちマルシェ」と「Nicky Gee Live」。前者は、新潟から取り寄せた越後もちぶたのベーコンや手作り味噌などの新鮮食材を店頭で販売するマルシェで、後者は近隣在住のミュージシャン・Nicky Gee氏によるアコースティックライブです。

さかみちマルシェは、もともと板橋のブルーパブ「クランクビール さかみちタップルーム」で行われていたマルシェで、現在もクランクビールとRiot Beerの2か所で開催されています。

一方のNicky Gee Liveも、お隣・狛江市のブルーパブ「和泉ブルワリー」で行われたことがきっかけ。現在も和泉ブルワリーとRiot Beerの2か所で開催されています。

麦芽カスを栄養にして、すくすく育ったふきのとう。ふき味噌にしていただきました♪

ほかにも、飲食店やビアバーのオリジナルビールのOEM(受託製造)やコラボイベントが行われるなど、ビールのつながり・地元のつながりが着々と広がりを見せています。

個人的にとても興味をそそられているのは、醸造の際に必ず出る麦芽カスをすべて引き取り、畑の肥料として利用している常連の方がいらっしゃること! 栄養たっぷりの麦芽カスで育った野菜は、驚くほど丸々と肥えるようで、筆者自身もサツマイモやふきのとうをおすそ分けしていただいたことがあります。大きいだけでなく、とても美味! そしてとてもエコですよね。こういったWin-Winの関係を築けるのも、地元密着型ブルーパブの素晴らしいところだと思います。

店内の様子。窓の外は五差路。

Riot Beerの「Riot」は「暴動」を意味する英単語ですが、スラングでは「めちゃくちゃ面白い!」といったニュアンスで使われます。気さくなオーナーたちの人柄と、放射状に広がりを見せる“五差路”がもたらすパワーで、今後もますます面白い展開があることを期待してやみません。

近隣の方も、遠方の方も、このアットホームな空間を楽しんでみませんか?

●Riot Beerの今後の出張予定
6月1日、2日 「岐阜ビール祭り」
6月1日、2日 「チトビア」

●店舗データ
Riot Beer
東京都世田谷区砧5丁目11−10
水曜・木曜・金曜15:00-21:00
土曜・日曜・祝日13:00-18:00
公式サイト
公式Facebook
Instagram
※臨時休業や営業時間の変更の可能性もあります。
訪れる際は、事前にご確認をお願いします。

RIOT BEER世田谷区岐阜ビール祭り

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

くまざわ ななこ

ビアジャーナリスト/ビアライター

ビールとカレーと小田急線をこよなく愛するライター/エディター。数多くのインタビュー経験を活かして、ビールに携わる人たちの思いを伝えようと邁進中。最近、健康のために始めた「ランニング&ビール」イベントにはまっている。

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