九州から高品質のビールを届けたい!~九州クラフトビール協会の取り組み
6月末に城山ホテル鹿児島にて、九州クラフトビール協会(以下、KCBA)の醸造研修会が開催された。
KCBAは九州のクラフトビールの品質向上を目的に、2017年2月に発足。
九州でクラフトビールを造る17社が加盟し、年に1回の審査会と2回の研修会を行っている。
これまで、宮崎ひでじビールでの衛生管理の手法研修や、門司港ビールでの新プラントの見学、キリンビール福岡工場での製麦工程の見学等を行ってきた。
この日は、①城山ホテル鹿児島内にある城山ブルワリーの仕込み見学、②国税局の担当者をお招きしての軽減税率についての講話、③オフフレーバー講習、④意見交換会が行われた。
本年10月からの消費増税にあたり国税局の担当者より、軽減税率制度の品目・区分記帳、さらにはイベント開催時に提供される屋台のフード類は軽減税率に当たるのかなど、事業者にとって必要な情報が具体的に示された。
オフフレーバー研修では、雑菌などで汚染されたビールの香りを再現した23種類のサンプルを用い、ビールが汚染されると味や臭いにどのような変化が起こるのかを体験。
熊本国税局担当者からその原因や対策について説明があり、各テーブルではブルワーさんたちからも意見が出された。
このようなオフフレーバー研修を定期的に行うことで、自分の感覚の確認やブラッシュアップが期待されている。
今回は基準値の約3倍で行われたが、今後は徐々に基準値の倍率を下げより些細なフレーバーも嗅ぎ分けられるよう研鑽を行っていく方針だ。
「オフフレーバーは、なかなか嗅ぐ機会や勉強する機会がない。貴重な経験をさせてもらっている」と、城山ブルワリー醸造長の倉掛智之さん。
意見交換会やその後の懇親会では、目指す“キレ”の出し方から、最近の消費者の動向まで、幅広く活発な意見が交わされた。
「普段はひとりで醸造しているので、他のブルワーさんたちの意見を聞けるのは刺激になるし勉強になる」と鹿児島県種子島にあるLocal Breweryからはなの伊藤理人さん
こうした研修会の積み重ねにより、今年2019年6月には全国地ビール醸造者協議会が行う「JBA 全国地ビール品質審査会2019」において、KCBAの一員である「門司港地ビール工房」のヴァイツェンが最も優れたビール「最優秀賞」に選ばれた。
この審査会は成分分析の他、専門家による味や香りの官能検査により賞が決まる。
2017年から毎年開催し3回目となる今年は、全国の47社が110点を出品した。
KCBA会長を務める、宮崎ひでじビール代表の永野時彦さんは、
「九州全体さらには日本全国の醸造技術や管理技術が上がることが、消費者の皆様が安心してクラフトビールを召し上がっていただくことにつながる。このような研修会を続け、常に高品質のものを届けられるようにしたい」と話している。
KCBAではこのような取り組みを通じ、消費者が安定・安心しておいしいビールを飲めるように、官民が協力して品質向上に努めている。
全国に愛飲者が増え、日本のクラフトビールが文化として発展するように、これからもKCBAを応援したい。
【九州クラフトビール協会参加ブルワリー】
◆やまぐち鳴滝高原ブルワリー 山口地ビール(特別枠・山口県)
◆門司港地ビール工房(福岡県)
◆ホテルオークラブルワリー(福岡県)
◆杉能舎麦酒工房(福岡県)
◆八女ブルワリー(福岡県)
◆ゆふいんビール(大分県)
◆くじゅう高原ビール Beer Oh!(大分県)
◆熊本クラフトビール(熊本県)
◆不知火浪漫麦酒(熊本県)
◆宮崎ひでじビール(宮崎県)
◆霧島ビール(宮崎県)
◆B.M.B Brewery(宮崎県)
◆日南麦酒(宮崎県)
◆城山ブルワリー(鹿児島県)
◆桷志田ブルワリー(鹿児島県)
◆Local Breweryからはな(鹿児島県)
◆花渡川ビアハウス(鹿児島県)
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