[イベント,ブルワー]2019.9.21

被災地に寄付を!台風被害の鋸南麦酒のビールを飲んでエールを送ろう!

ビールに愛された皆さまへ!
先日の台風15号の東京湾~千葉県上陸においては、各地で大災害レベルの被害があり、現在でも復旧が進んでいない地域もあります。この度、被災された方々には、心よりお見舞い申し上げます。
この台風による災害の全容はまだ明らかになっていません。建物の損壊などに加え、人の健康被害、誰がどこでどれだけ困っているのか、まだまだ分かっていないのです。休みを取って元気に現地に入ってボランティア活動ができる方もいるかもしれませんが、いろいろな制約もありお金も時間も労力もそんなに割けない、なかなか気持ちを行動に移すことができないという方も多いかと思います。

 

鋸南町、鋸南麦酒とのコンタクト

神奈川県川崎市に居を構える東海道BEER川崎宿工場の主人(オーナー)岩澤克政氏は、商用で千葉県安房郡鋸南町を訪れる機会がたびたびあり、月に一度ぐらいは現地に足を運んでいました。そして、「お目当てのおいしいケーキ屋さんの並び」にある鋸南麦酒にもたびたび訪れており、工場長の岡村拓寛氏とは既知の仲だったのです。
社長が、同業他社のビールを自社のブルワーやスタッフのために持ち帰ること、数回。そんなご縁もあり、今回の被災の直後に、東海道BEER川崎宿工場 醸造技師の田上達史氏は、それまで直接的な面識のなかった鋸南麦酒のブルワー、岡村氏に連絡を取りました。実はその頃、鋸南麦酒では、鋸南町地域の4日間の停電により、思うように品質管理のできなかった在庫については廃棄することを決めていたのです。それを知った田上氏が「寄付金を集めるために譲ってもらいたい」と申し出て、今回のプロジェクトにつながったのでした。

左から田上氏、岡村氏、岩澤氏 (画像提供:東海道BEER川崎宿工場)

実際に訪れて、被害を噛みしめる

9月19日、「東京湾を挟んだお隣」の鋸南町へ訪れた岩澤氏と田上氏。そこで見たものは、明るい青空の下に広がるのどかな街の風景の中に目立つ、家々を覆うブルーシートの波。道の端にはがれきが積み上げられ、被災地であることには変わりないものの、パニック映画のようなすさんだ状態ではなく、人々はこれからの生活のために先に向かって進もうとしているのでした。

川の向こうに住宅地が広がり、屋根にブルーシートが掛けられている。(画像提供:東海道BEER川崎宿工場 田上氏)

撤去にまだ時間のかかりそうながれきが積みあがっている。(画像提供:東海道BEER川崎宿工場 田上氏)

鋸南麦酒もまた、これからまた新しいビールの仕込みのために動き出しています。

劣化したビールを売ることはできない

鋸南麦酒での停電期間は4日間。その間、台風一過後の気温の上昇により、冷やしておくべきビールの温度は19度にまで上がりました。「これを自分のビールとしては販売できない」というのが工場長の岡村氏の気持ちでした。忸怩たる思いがあったと思いますし、しっかりした品質のビールを作っていくというブルワーとしてのプライドが感じられます。
そんな中、東海道BEER川崎宿工場の田上氏が「寄付金を集め、この被災地を知ってもらうために使わせてもらえないか」というオファーを出したのです。

寄付しよう!鋸南麦酒のボトルビールを差し上げます

鋸南麦酒のボトルビール5銘柄。ラベルのデザインは鋸山からのぞく巨人デーデッポ。(画像提供:東海道BEER川崎宿工場)

ラベルの銘柄名のすぐ下(2行目)に(2019年 台風15号 被災ver.)とあります。

販売、ではありません。寄付です。売上はありません。寄付ですから。
現在、東海道BEER川崎宿工場では、鋸南麦酒と鋸南町を応援する寄付金を集めています。500円につき1本、鋸南麦酒のボトルビールがついてきます。何度も言いますが、売っているわけではありません。寄付金はすべて鋸南麦酒へ渡され、そのうち100円が鋸南町へいくことになっています。(ビールは要らない、寄付だけ!というのも歓迎です)

私がそのお話を聞きに行った9月20日の夕方にも、「田上さんの書き込みを見ました」と5本分、3本分と寄付をしてボトルを持ち帰る方々がいました。
現在、280本のボトルビールが川崎に渡ってきています。鋸南麦酒に残された在庫も、現地で次々とボトリングされています。ボトルの裏ラベルには「2019年台風15号 被災ver.」と記載されています。このボトル自体が被災地から人の手にわたり、思いを伝えていくでしょう。この活動は、まさに今始まったばかりです。

銘柄のご紹介


Golden Ale (きょなんゴールデンエール)
American Pale Ale(アメリカンペールエール)
White Ale Narcisse(ホワイトエールナルシス)
Tokyo Bay Porter(トーキョーベイポーター)
Sunset English Bitter(サンセットイングリッシュビター)

恥かしながらいずれの銘柄も、今回初めて口にしました。温度管理ができなかった期間があり、劣化して味の変質等が起きているとのことなのですが、「え?おいしいけど?」と思わず驚きの声を上げてしまいました。
それぞれの銘柄には、地元で作られたフルーツなどの農作物、鋸南町で自家焙煎されたコーヒーなどが使われており、鋸南麦酒が地元への愛着・愛情をたっぷり含ませてビール造りを続けてきたことが伝わってきます。元の味わいがどんなものだったのか知らないのですが、お金を払って飲むのに相応しいビールばかりでした。

ぜひご協力をお願いします
呑兵衛がビールを飲むだけで人助けができるのですから、これはわずかばかりでもいいから一肌脱ぐしかありませんよ!

是非、この輪を多くの方に知っていただき、拡げてもらいたいです。鋸南麦酒は今も交通事情や通信状況が悪く、なかなか直接連絡が取れない状態です。「うちの店や会社・団体でも、鋸南麦酒や鋸南町への応援のためにこの寄付活動に参加したい」という方は、窓口となっている東海道BEER川崎宿工場の醸造技師・田上氏に連絡を取ってみてください。

鋸南麦酒支援お問い合わせ先
東海道BEER川崎宿工場 田上達史
mail    tanoue@tokaido.beer
TEL 080-3001-0125
HP https://tokaido.beer/
facebook https://www.facebook.com/tokaidobeer.kawasaki/

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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

MJ

ビアジャーナリスト/Youtube JBJA Channelプロデューサー

ビールと昆虫とリコーダーと天然石が大好きです。JBJAではイベントサポートやBJAチューターも楽しんで取り組んでおります。人に寄り添う記事作成を心がけ、JBJA公式動画サイトJBJAchannelではMCを担当しております。
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