[コラム,ブルワー]2020.5.21

ISANA BREWING 2周年記念インタビュー 周年イベント企画絶賛受付中!

2018年4月の酒税法改正時に大きく増えた小規模醸造所。改正後は、一旦新しく立ち上がる醸造所はなくなるかと予想していたが、その後も増え続けて2020年2月19日の時点で423となっている(※1)。

ブルワリーレポートでは、これまで多くの醸造所を紹介してきた。今回、紹介する「ISANA BREWING(以下、ISANA)」もその1つ。2020年5月20日で開業から丸2年を迎えた(※2)。これまで様々な企画でビールファンを楽しませてくれているISANAは、今何を思い、何を見据えているのか。千田恭弘代表兼醸造責任者にお話を聞くことにした。

★前回のブルワリーレポートはこちらから

苦い飲み物が生みだすFactory & Laboratoryの場【ブルワリーレポート ISANA BREWING編】

※1 日本ビアジャーナリスト協会調べ

※2 2018年5月20日に店舗営業開始。醸造免許(発泡酒)の交付は2018年8月16

2本柱でビールの幅広さを知ってほしい

-:今日はよろしくお願いします。はじめにこの2年を振り返っていただきたいと思います。

千田代表:自分で会社を興して、好きなことで仕事をしていくことが楽しくもあり、大変でもありました。

-:ブリューパブを始めて良かったことは何でしょう。

千田代表:クラフトビールを通じて、醸造家、ビールファン、このお店で出会った方たち。多くの人とつながりができたことです。ビールという共通点が1つあるだけでつながりが広がりました。

-:確かにビールが好きという共通点があることで、年齢、性別、職種関係なくいろいろな人たちとつながることができます。そのビールについてもお聞きします。2年間でたくさんのビールを造ってきた感想を教えてください。

千田代表:自分が想像していたよりも美味しいビールができてホッとしたのを覚えています。そこから自分で学んだり、アドバイスを受けたりして経験を重ねて、どのビールも安定した品質を提供できるようになってきたと思います。

-:商品として販売するわけですから品質の良いビールを造り続けることはプレッシャーも大きいと思います。

千田代表:ビールを造ることは苦にならないです。スタッフを確保する方が苦労しましたよ。

ブリューパブの外観。JR青梅線 昭島駅南口より徒歩3分。線路を挟んで反対側にはショッピングモールもあるので、買い物をした後に休憩するのもいい【2018年10月撮影】

-そうなんですね。この2年でビールの特徴は変わりましたか。

千田代表:う~ん、大きくは変わっていないですね。ISANAのビールはオールドスタイルとオリジナリティの2つの柱があります。オールドスタイルの象徴としてイギリスの古いスタイルである「オーディナリィビター」をファーストバッチからつくり続けています。

-:これはどんな思いから造り続けているのですか?

千田代表:日本ではビールは金色の液体に白い泡と炭酸が効いていて喉ごしを楽しむイメージがまだまだ強い。でも海外に目を向けてみると色も味もバラエティ豊かです。クラフトビールに馴染みがない人に泡がなくても、炭酸が弱くても美味しいビールがあることを知ってほしくて造っています。

-:なるほど。もう1つの柱、オリジナリティについてどのような考えがあるのでしょうか。

千田代表:オリジナリティを打ち出すため、他のブルワリーがチャレンジしないビールを造っています。出汁を使ったり、米麹を使った吟醸ヴァイツェンビールだったり。変化に富んだビールが特徴です。ただし、オリジナリティあるビールを造るためには、基本的なスタイルがちゃんと造れることが前提にあります。基本があったうえで面白い試みをしています。

-:オリジナリティというと純窒素のナイトロビールもISANAの代名詞だと思います。

千田代表:きっかけは、BrewDog Roppongiで飲んだ『JET BLACK HEART』のナイトロビールに感動したことでした。ナイトロビールの多くは、二酸化炭素との混合窒素でナイトロ化していると聞いてガス屋さんに相談したら純窒素もあることを教えてもらって。他がやっていないので「やってみよう」と思って始めました。

-:これまで数多くのビールをナイトロ化して提供してきました。

千田代表:ナイトロって黒ビールが定番のイメージですが、黒ビールではない…例えばハイアルコールビールでも美味しいんですよ。気体を変えるだけで味わいや口当たりがすごく変わります。皆さんの反応を見てナイトロ化にすることで同じビールでも付加価値が与えられることもわかりました。

-:箕面ビールの「W-IPA」ナイトロバージョンもすごく美味しい。クリーミーな口当たりの中から感じられる麦芽とアルコール由来の甘味がクセになります。以前、ナイトロとハイアルコールの相性がいいという話から松江ビアへるんの「おろち」をナイトロ化したイベントをさせてもらいました。

千田代表:そうですよ。あのイベント(※3)をきっかけにナイトロ専用タップを2から4に増設したんですもん(笑)。

-:今年は予約受付して直ぐに満席。人気のイベントになりました。来年も楽しみにしている人は多いと思います。

※3 2019年と2020年の1月上旬に松江ビアへるんの季節限定ビール「おろち」を通常版とナイトロ版、両方を飲み比べできるコラボレーションイベントを開催している。同ブルワリーの矢野学代表取締役社長も理系出身で実験大好きということもあり、今年は「おろち」以外にも「ペールエール」「ヴァイツェン」もナイトロ化して好評を得た。

2020年1月8日に開催されたNitoroおろちイベントの様子。右から松江ビアへるん矢野学代表取締役社長、ISANA BREWING斎藤穂乃香アシスタントブルワー、千田恭弘代表。

他業種とコラボレーションすることで、クラフトビールの認知度を広めていく

-:面白い試みとして他業種とも積極的にコラボレーションされています。どんなところを意識してやっていますか。

千田代表:普通にビールを造る場合でもストーリー性をもたせることを意識しています。コラボレーションの場合は、お相手のお客様の目にも触れて周知が広がります。例えば酒造様と一緒にやるとしたら日本酒の好きな人がクラフトビールという言葉を知る機会になります。クラフトビールやISANAのことを知らない方に対して、いかに興味を示してもらうかが重要だと思います。

-:逆にビールファンは、お相手のことを知るいい機会になります。最近では、仕込みで出た麦芽粕を麺に練り込んだラーメンなど幅広いジャンルで連携されています。

千田代表:クラフトビールは、いろいろな業種や人と組むことができる柔軟なツールです。そうしたところは面白いです。

出張料理人であり当協会ビアジャーナリストでもあるPhantom Zebraとのコラボレーション「Zebra Udon Dashi Ale」の仕込み場面。【画像提供/ISANA BREWING】

-:いろいろな取り組みをされているので認知度も高くなったのではないですか?

千田代表:そうですね。遠方からも来てくれる人が増えました。イベントを通じて昭島まで来てくれる人もいます。

-:お客さんが増えたといえば、昨年からランチも始められました。

千田代表:2019年の5月から始めて、半年間くらいで定着してきた感じです。ランチビールのおかげで、週末はオープンから来店される方が増えました。ランチ効果で今年の2月と3月は前年よりも売り上げが上がりました。

-:それは凄いですね。そもそも平日にランチ営業を始めようと思ったのは何故ですか?

千田代表:最大の理由は雇用を増やしたかったからです。お店のことがわかるスタッフが増えれば、週末のイベントで自分がお店を空けても営業が可能になります。

-:なるほど。お店を任せられるスタッフがいればイベントにも積極的に出店ができますね。今は新型コロナウイルスの影響でイベントは中止になっています。コロナ禍で取り組まれていることはありますか?

千田代表:期限付酒類販売業免許を取得してビールのテイクアウトもできるようになりました。その他にはガレットのテイクアウトもしています。これまで気になっていたけど来店まで至らなかったお客様の利用が増えました。ビールもテイクアウトできることを伝えると一緒に購入してくれます。グロウラーをもって来店される方もいます。

テイクアウトで始めたアメリカンロールガレット。ドライブなどお出かけの時にも重宝しそう。新型コロナ終息後も継続してほしい。【画像提供/ISANA BREWING】

いろいろやりたいことがある! その1歩として缶ビールを発売します

-:今は新型コロナウイルスの影響もあり、先の見通しを計画しづらい状況です。このような中ですが、この先について考えていることはありますか。

千田代表: 2年間やってきてスタッフを確保することは苦労しました。無理をして身体を壊してしまっては元も子もないので、頑張りすぎないように気をつけています。今年はビール以外のことも含めて情報を仕入れたり、勉強したりインプットに時間を割いていきたいと考えています。自分が店舗から離れても問題がないようにスタッフの増員の検討やオペレーションの簡易化を進めていかないといけません。

-:千田代表の時間をつくることはISANAのグレードアップになりますからね。

千田代表:でもなんだかんだ忙しくなってしまっていますけど(笑)。それでもこの1年は、スタッフにお願いできるようになってきたんですよ。

-:他には何かありますか?

千田代表:ちょっと変わったビールを集めたイベントをしてみたいです。いろいろ企画を考えているのでSNSをチェックしておいてください。

-:本当にアイデア豊富です。

千田代表:それと缶ビールを発売します。機械を導入して秋ごろを目標に動いています。本来は醸造所を拡大してから缶ビールを導入しようと考えていましたが、この状況下なので順番を逆にしました。

-:これはビックニュースですね! 缶ビールの流通が始まったら遠くに住んでいる人にもISANAのことを知ってもらいやすくなりますね。

千田代表:遠方の方にはまず缶で飲んでもらって、興味をもったら昭島まできていただいて店舗でしか味わえないナイトロビール飲んでほしいです。

-:確かに。ナイトロビールはぜひ体験してほしい。3年目も期待しています。本日はありがとうございました。

今回のインタビューは、オンラインで行いました。

◆ISANA BREWING 2周年記念ON LINEイベント!イサナチャレンジ!

ISANAでは、オンラインで開催される2周年イベントの企画参加を受付中です。誰でも参加可能なので、ぜひ挑戦してみてください。以下に詳細をお伝えします。

【イベント内容】

5つのイサナチャレンジに挑戦! そして、抽選で景品が当たる!! 1つのチャレンジだけの応募でもコース賞GETのチャンス! 項目ごとの賞品もあるので、ぜひイサナ賞を狙ってください!!

※ご応募はお一人様1回まで&当選はお一人様1景品。賞品は基本、通常営業開始後に店舗受渡しとなります。

◇イサナ賞:チャレンジごとに景品プレゼント

金賞:NEWイサナブルーイングロゴTシャツ(商品化中です!)

銀賞:1パイントテイクアウト無料権&ロゴステッカー

銅賞:コーヒー1杯無料チケット&ロゴステッカー

◇コース賞:5つあるチャレンジのうち、応募項目数ごとに景品をプレゼント

1つ応募コース…ロゴステッカー/抽選で10名様

3つ応募コース…1パイントテイクアウト無料権/抽選で5名様

5つ応募コース…グロウラー/抽選で1名様

◇イサナチャレンジ

・チャレンジA「イサナクイズ」

以下の文中の〇に当てはまるカタカナ3文字を答えよ。

イサナブルーイングの“イサナ”は日本の古い言葉で〇〇〇を意味する。

・チャレンジB「こんなイサナブルーイングはイヤだ」

最高の面白ネタをください!!

・チャレンジC「吾輩は発酵タンクである。名前は、まだない。」

道路側からNo.1 No.2 No.3 それぞれの発酵タンクにネーミングを!!

・チャレンジD「イサナ川柳」

川柳の中にイサナを入れて! 5・7・5!

・チャレンジE「イサナブルーイングフォトコンテスト2020」

渾身の1枚を添付してください。写真のタイトルと共に!

イサナチャレンジ!応募フォーム!

【応募宛先】 reserve@isana-brewing.com

【件名】イサナチャレンジ

①お名前

②発表時のペンネーム(希望あれば)

③E-mail

④電話番号

以下をコピペしてメールで送ってください! チャレンジしない項目は空欄で構いません!

【A】イサナクイズ

〇〇〇 →

【B】こんなイサナブルーイングはイヤだ】 ※お一人様ネタ1つ

【C】吾輩は発酵タンクである。名前は、まだない。

No.1 …

No.2 …

No.3 …

【D】イサナ川柳 ※お一人1句

【E】イサナブルーイングフォトコンテスト2020

作品名:

※画像データは2MB以下にして別途添付してください。お一人1枚まで。

【自由記入欄】コメント等なんでもOK!

チャレンジは誰でもOK(上にあるフォームの通り応募した方に限ります)。応募期間は、2020年5月25日(月)までとなります。ただ飲んで祝うだけではなく、考えながら楽しむというところがISANAらしいです。景品もいろいろありますので、「我こそは」という方、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

★2020年5月30(土)に2周年記念オンラインイベント開催

当日は、イサナチャレンジの結果発表をはじめ、色々なコンテンツを用意。詳細はこちらからご覧ください。

◆ISANA BREWING Data

住所:〒196-0015 東京都昭島市昭和町2-7-15 エクセレンス昭島 1F-B

電話:050-5327-9884 (お客様専用)

ISANA BREWING Webサイト

ISANA BREWING Facebook

営業時間:平日11:30~14:30(火曜はランチ休), 17:30~22:00 土日祝 11:30~22:00(L.Oは閉店30分前)

休業日:水曜日、祝翌日。醸造・外部イベントのため不定休あり。詳細はFacebook投稿をご確認ください。

※2020年5月21日現在、テイクアウト営業のみ。詳細はFacebookでご確認ください。

JBJAでは、新型コロナウイルスにより苦境に立たされているビール業界を応援するプロジェクトを立ち上げました。近隣のブルワリー、店舗がありましたらご支援よろしくお願いします。

《あのビアバー・ビアパブ」を救おう!》JBJA支援ページ

【随時リスト更新中!】全国の通販可能ブルワリー&持帰り可能ビアパブ

※2020.5.21 2周年記念イベントを追記しました。

ISANA BREWINGナイトロビールブルワリーレポート千田恭弘氏

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

こぐねえ(木暮 亮)

ビールコンシェルジュ

『日本にも美味しいビールがたくさんある!』をモットーに応援活動を行っている。実際に現地へ足を運び、ビールの味だけではなく、ブルワーのビールへの想いを聴き、伝えている。飲んだ日本のビールは4000種類以上(もう数え切れません)。また、ビールイベントにてブルワリーのサポート活動にも積極的に参加し、ジャーナリストの立場以外からもビール業界を応援している。

当HPにて、「ブルワリーレポート」「うちの逸品いかがですか?」「Beerに惹かれたものたち」「ビール誕生秘話」「飲める!買える!酒屋さんを巡って」などを連載中。

●音声配信アプリstand.fmで、ビールに恋するRadioを配信中
PodcastSpotifyでも聞けます。

【メディア出演】
<TV>
●テレビ朝日「日本人の3割しか知らないこと くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」
●テレビ神奈川「News Link」
<ラジオ>
●TBSラジオ「鈴木聖奈LIFE LAB~○○のおじ様たち~」
●JAPAN FM NETWORK系列「OH!HAPPY MORNING」
<雑誌>
●週刊プレイボーイ(2019年2月11日号、2020年12月28日号、2022年12月12日号、2023年10月9日号) ●DIME(2019年4月号)●GetNavi(2020年2月号) ●週刊朝日(2020年6月12日増大号)●食楽(2020 SUMMER No,116)●週刊大衆(2021年4月19日号、2021年7月12日号、2022年6月20日号)●BRUTUS(944号 2021年8月15日号)●東京人(no.463 2023年3月号)●BRUTUS特別編集 増補改訂版 クラフトビールを語らおう!
<Web>
SUUMOジャーナル ●みんなのランキング ●この秋新しい恋をスタートしたいあなたに贈る!ビール恋愛心理学 ●初心者にも!プロがおすすめする絶品クラフトビール&ビアグラス ●プロの逸品 ●SORACHIの集い
【ビール講座】
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妊娠中・授乳期の飲酒はやめましょう。