[コラム]2020.10.23

『泥酔懺悔』を読んで、酔う楽しさと恐ろしさを再認識

『泥酔懺悔』(筑摩書房、2016年)は、12人の女性作家による、飲酒をテーマとしたエッセイのアンソロジーです。中身以前に、インパクトのある書名を見て「ドキッ」としてしまう方も多いのではないでしょうか?

表紙イメージ(画像引用元:筑摩書房webサイト

 

懺悔するのは作家だけではなく……

強烈な書名からは、各作家の武勇伝が並んでいるのかと想像してしまいますが、意外なことに、下戸の作家による話や、おとなしく飲む話も多く収載されています。

「無理」朝倉かすみ
「下戸の悩み」中島たい子
「初めての飲み会」瀧波ユカリ
「十八の夜の話」平松洋子
「ザル女という噂」室井滋
「酒瓶にも警告ラベルを!?」中野翠
「名女優」西加奈子
「ひとりでお酒を飲む理由」山崎ナオコーラ
「下戸一族VS飲酒派」三浦しをん
「白に白に白」大道珠貴
「損だけど」角田光代
「好きでもきらいでもない」藤野可織

しかし、油断は禁物。下戸の作家によるエッセイを読んでいると、むしろ読者である私たちのほうが「懺悔」したくなってきたりします。

例えば、中島たい子氏の「下戸の悩み」には、普通に話していた相手が、急に前後不覚になる瞬間が再現されています。

「まあ、自分でも苦労して書いた小説なんで、思い入れがあって」
「読んだよ。なかなか良かったよ。ちょっと驚いたけど、新境地だね。次回作もこっちの方向で行くの?」
「自身も悩んでるところで。ぜひ、忌憚のないご意見を聞かせていただければ」
「とてちれちん」
とてちれ? と、鈍い下戸は相手の顔をまじまじと見ることになる。そしてこの人は酔っているのだ、とようやく気づいて、真剣に話していた自分に赤面するのだ。

うわぁ、これは……。
こんな事態を冷静に記録されてしまっていると、もはや懺悔するしかありませんね……。

 

実は、JBJAChannelにもチラッと登場

ところで「どこかで最近、この本の表紙を見たような気がする」という方はいらっしゃいませんか?

実はこの本、2020年9月6日まで開催されていた高輪ゲートウェイフェストの「J-WAVE NIHONMONO LOUNGE」内にあったセレクトショップでも販売されていました。
JBJAのYouTubeチャンネル「JBJAChannel」の、このラウンジを紹介した動画にも、ちょっとだけ映り込んでいますよ。まだご覧になっていない方や、記憶にないとおっしゃる方は、ぜひ、以下の記事をご確認ください。

関連記事:「J-WAVE NIHONMONO LOUNGEで飲むエビスビールがおいしすぎる!2020年9月6日(日)まで!」

 

『泥酔懺悔』。酔う楽しさと恐ろしさを再認識できる一冊です。
秋の夜長に、ビール片手に読んでみてはいかがでしょうか。

 

<書籍概要>
『泥酔懺悔』
著者:朝倉かすみ、中島たい子、瀧波ユカリ、平松洋子、室井滋、中野翠、西加奈子、山崎ナオコーラ、三浦しをん、大道珠貴、角田光代、藤野可織
発売日:2016年9月7日
価格:本体640円+税
判型・ページ数:文庫判・208ページ
出版社:筑摩書房
Amazon商品ページ

 

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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

大橋万紀(おおはしまき)

ビアジャーナリスト

1982年大阪市生まれ、神戸市在住。関西のビールシーンを盛り上げるべく活動中。
大阪府立大学大学院修了、博士(工学)。専門は有機化学。
キリンビールが2007年に実施した、歴史的ビール復元プロジェクトの「復元ビール味覚評価会」にたまたま参加。ビールの奥深さ・幅広さに圧倒され、ビール好きとしての第一歩を踏み出す。
2012年、新婚旅行で訪れたドイツ・ミュンヘンのビアガーデンで飲んだビールの爽快さに感激。以降、ビール愛にあふれた生活が始まる。
目下の悩みの種は、自宅の冷蔵庫がビールで占有されていっていること。レアなビールを開栓するきっかけと勇気、そして一緒に味わってくれる仲間を募集中。

OsakaMetroの沿線紹介サイト「オオサカマニア」にて、クラフトビールのページを監修(2021年9月10日公開)。
また、同サイトのスピンオフイベント〈オオサカマニア×東急ハンズ(江坂店)「クラフトビール」〉も監修(2022年9月10〜25日開催)。

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