【ビールのある風景in岩手⑫】~大自然の中で醸す天然水醸造のビール~ 発売開始されたばかりの暁ブルワリー八幡平ファクトリーのビールを求めて…
岩手県北西部に位置する八幡平市(人口約2万4000人)。国立公園八幡平、岩手山、安比高原などの山々が連なり、冷涼な気候で、豊かな自然と水に恵まれ、美しい四季折々の景観が楽しめる地域です。
中でもここ数年で有名になったのが「八幡平ドラゴンアイ」。5月の下旬から6月の上旬にかけての限られた時期、岩手県と秋田県にまたがる八幡平の頂上付近にある鏡沼の雪解けの様子が、まるで龍の眼のように見えることから名付けられました。その年の積雪量や雪解け状況、天候状況などで時期も見え方も変わる、八幡平の大自然が生み出す神秘の絶景です。(実は私もまだ写真でしか見たことがないので、来年こそは現地でこの目で見たいと思っています。)
この観光的シンボルの「ドラゴンアイ」と名付けられたクラフトビールの醸造が、暁ブルワリー八幡平ファクトリーで今年9月にスタート。今月15日から現地で缶ビールの販売が開始されたので、さっそく買い求めに行ってきました。
暁ブルワリー八幡平ファクトリーを開業した太極舎は、数年前から既に東京都世田谷区の暁ブルワリーでクラフトビールの醸造を行っています。
そのクラフトビールが飲める店舗も、東京駅地下1階黒塀横丁の「バーバー東京」、銀座駅から徒歩2分の「暁タップス銀座」、そして炉端とビールを楽しめる「暁タップス芝大門ロバタ」とあり、特に首都圏の方にはすでにおなじみになっているのではないでしょうか。
缶ビール発売開始の3日後の平日、暁ブルワリー八幡平ファクトリーに車で向かいました。八幡平温泉郷の一角にあり、県庁所在地の盛岡市から北北西に車で走ると1時間ほどで到着します。
周囲には、自然豊かな光景が広がっています。
営業休止中だったレジャー施設の八幡平トラウトガーデンを改修したということで、地元の方には遠足などで訪れたことのあるお馴染みの場所のようですが、私の車のナビでは住所でも名称でも場所が特定出来ずに少し迷いました。その場合は、醸造所の奥にある岩手県内水面水産技術センターを目指すと簡単にたどり着けると思います。
まず目に入ってきたのは、外からでも醸造設備が設置されているのが確認出来るメインの建物です。
この建物の周囲には工事関係者の方の姿もまだあり、別棟の「更衣室」の表示が残されたままの建物も、これから手を付けるようです。
ビールの販売は、今のところ醸造所敷地内のキッチンカーで行われていましたが、いずれ建物の中に移るのではないかと思います。
平日の昼間にもかかわらず、あまり途切れることなくビールを買い求めに来ている方を見かけました。近くにはリゾートホテルなども点在しているので、地元の方に加えて、宿泊のお客さんが立ち寄られていたのかもしれません。
ポスターにも「八幡平ドラゴンアイ」の写真が使われていました。
ビール醸造に使われている麦芽は有機無農薬麦芽。また、この醸造所では、「人に 自然に やさしく」をコンセプトに、地元の松尾八幡平地熱発電所のグリーン電力を99%使用したり、醸造あとの麦芽を近隣の動物の飼料や農作物の肥料へと再利用もしています。
現在、販売しているビールは、「ドラゴンアイ・スカイ」「ドラゴンアイ・マグマ」「ドラゴンアイ・サン」の3種類。初仕込みの「ドラゴンアイ・スカイ」は、プレミアム缶での販売でした。
いずれの缶にも「有機農産物加工酒類」の表示があり、1缶350ミリリットル入りです。
下部の写真左から
・ドラゴンアイ・スカイ(オーガニックピルスナー) アルコール度数4.5% 385円(税込)
・ドラゴンアイ・サン(オーガニックゴールデンエール) アルコール度数4.5% 418円(税込)
・ドラゴンアイ・マグマ(オーガニックIPL) アルコール度数5.5% 418円(税込)
(今後、ペールエールの「ドラゴンアイ・スノー」も販売される予定です。)
ドラゴンアイ・スカイは、飲み口が爽やかで普段クラフトビールを飲みなれていなくても親しみを感じる味。ドラゴンアイ・マグマは、ホップの香りと苦みが際立っており、ドラゴンアイ・サンは口に含んだ時に深みを感じるバランスの取れた味わいです。
全体的に、炭酸が控えめで優しい印象のビールでした。
現在この3種類のビールは、一部東京の店舗でも取り扱いがあるようですが、基本的には暁ブルワリー八幡平ファクトリーでの販売に限られています。
でも、「岩手の、しかも八幡平まではとても行けない!」という方へも朗報が。年内には小売店でも缶ビールの販売が予定されているそうです。お住いの近くでも見かけることもあるかもしれません。
でも、可能ならば自然豊かな現地の様子を知ったうえでビールを味わってもらいたいな…と思います。車がなく公共交通機関利用でも、盛岡駅からバスで約1時間半で現地近くに到着します。
将来的には、醸造所に飲食施設などを設けて樽生を飲めるようにする計画もあるとのことで、これからの発展もとても楽しみな暁ブルワリー八幡平ファクトリーです。
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