【飯能】【CARVAAN】「文化」を「体験」する、本格ブルワリーレストラン!!
「私達が提供するのは空間そのもの。非日常を体験していただく事にあります。」
「CARVAAN BREWERY & RESTAURANT」レストランマネージャーの「田中 聡美」さんはそう語る。ここで得られる体験は、まさにこの一言に集約されているのだ。
西武鉄道池袋線・飯能駅から歩いて15分。池袋から1時間弱のちょっとした小旅行気分で取材に出かけたが、帰ってくる頃には海外渡航から戻った時のような満足感で満たされていたのは言うまでもない。
目次
■ まさに「異国」。徹底した雰囲気づくりに引き込まれる
日々の喧騒から隔離され、鳥の鳴き声が響き渡る中にひっそり佇む。「CARVAAN BREWERY & RESTAURANT」がそびえたつのは、なんと渓流の岸壁の上である。
その門をくぐった瞬間から、異国情緒溢れる世界観に埋没することができる。
「鹿鳴館など明治の文明開化時の洋館と、アラビア装飾を融合した創りにしています。人々が集い、お酒を飲みながら文化的な話をする『大人の社交場』としての雰囲気づくりを大切にしています。(田中)」
なぜ世界観を大切にするのか?ヒントは母体である「株式会社FAR EAST」の企業理念にある。
同社は輸入貿易事業を主に手掛けていて、中東や地中海地域を中心にドライフルーツやナッツ、スパイスなどを世界各地から仕入れている。これらはレストランでの食事はもちろん、「FAR EAST BAZAAR」という自社店舗での販売も行っている。その企業理念には、「Cultural ー文化的であることー」「Natural,Organic,Safe,Fair -ナチュラル・オーガニック・安全・公平であること-」「Sustainable -持続可能であること-」「Valuable -価値を保つこと-」「Satisfactory -満たされること-」の5つが掲げられている。
「お客様に異文化を感じてもらうためにも、私たちが一番大事にしているのが「物事の起源にさかのぼること」です。皆様のまだ知らない、けれど脈々と続いてきた世界各地の文化を伝えるために、料理、空間、サービスにおいて世界観を色濃く出しています。
また食材はできる限りオーガニックや体にいいもの、地場の飯能産のものを積極的に取り入れています(田中)。」
特に、店名にもある「CARVAAN(カールヴァーン)」とは古代ペルシャ語で隊商(キャラバン)の意味。彼らははるか遠くのBAZAAR(バザール)を目指して旅をし、その先々で異文化と触れ合い、新しい発見や価値観、人の活気や出会いに感化されていくのだが、そんな「【非日常】をお客様にも追体験していただく」のがこのレストランというわけだ。
素材にこだわるのも、空間づくりを大切にするのも、現実を離れ「文化」に浸っていただくために欠かせないことなのだ。
■ 自社輸入食材をふんだんに使った料理をビールと共に
2人の日本人シェフが作る料理は地中海・アラビアのエッセンスに旨みと繊細さを加え、CARVAANでしか味わえない特別な料理に仕上げている。アラビア料理ということもあり、イスラム教徒の方々が喫食できるよう「HALAL(ハラル)」の認証を取得している肉を使い、「VEGAN(ヴィ―ガン)」「(VEGE)ベジー」に対応したメニューもある徹底ぶりだ。
まず頂くべきは「アラビアンプレート(2000円)」。地中海・アラビア諸国の前菜‘メゼ’の盛り合わせは、様々な現地の料理を味わえるということだけあり人気の商品だ。
内容は非常にバラエティに富んでいる。
- ムハンマラ:シリア・アシッポのパプリカとくるみのペースト。
- タブーリ:パセリと挽き割り小麦ブルグル、トマトで作るレバノン定番のサラダ。
- ムタバル:香草と焼き茄子のペースト。
- オリーブ:地中海(エジプト・アレキサンドリア)のオリーブ・マリネ。スペイン・アンダルシアのドライトマトのマリネ。オレンジマスタードソース。
- ファラフェル:ひよこ豆のコロッケ(香草とひよこ豆で作るレバノンの素揚げ料理)。デーツとギリシャヨーグルトのディップ。
- フムス:アラビア料理に欠かせないひよこ豆のペースト。
それぞれちぎった平焼きのパン(アラビアン・ブレッド)につけて食べるのが現地流だ。恋人や友人とつつきながら、会話も弾みそうな逸品だ。
合わせたのは「カールヴァーン・ベルジャンホワイト」。
エジプト産コリアンダーと飯能産の柚子ピールを使用した小麦ビール。柚子ピールはワタ付きとなしで香りや苦味が違うため、2種類を製造し時期や料理に合わせて配合を変えているこだわりがある。
コリアンダーのエキゾチックな香りが料理の香辛料を引き立て、余韻の柚子の風味や酸味が口内をさっぱりさせてくれる。はじめからこの組み合わせは反則級の美味しさだ。
もう一つ、ビールと合わせるならとおススメ頂いたのは「仔羊肉のソーセージ“メルゲーズ”(850円)」。
ピリリと辛いラム肉のソーセージ。後引きの良いクセになる辛さがたまらない。
合わせたのは季節限定の「インペリアル・スタウト」。エジプトのオアシスで実るデーツの果汁を加えたリッチな味わいの黒ビールは、18世紀末イギリスからロシアの女帝エカテリーナ2世に献上されたビールを再現している。
ビールの芳醇な甘味とカカオのような香ばしさ、それにデーツの奥ゆかいアロマが辛味をやさしく包みこむ、素晴らしいペアリングを堪能できる。
地中海・アラビア料理といっても、南は北アフリカ(チュニジア・エジプト・モロッコ)、東はギリシャ・レバノン・トルコと様々な国々が包括される。
紹介した他にも「タジン」「バスティラ」「ムサカ」といった、種類にとんだ伝統料理を常時提供している。
■ 起源を辿るビールづくり。「カルチャー」の発信
細部のこだわり。それはビール造りにおいても変わらない。
「アラビアンライム・エール」をはじめとしたレギュラー4種と、シーズンに合わせた4種を通年で醸造するCARVAANブルワリー。そのビール造りはCultural&Classy をテーマとしている。
原料には自社輸入の香辛料などが使用されているが、それらをただ使うだけで終わらないのがCARVAAN流、そしてブルーマスターである「木村 栄」さんの流儀だ。
「原料となるモルトはベルギー最古の精麦会社から、ホップも上質なヨーロッパホップを直輸入しています。(木村)」
現地の品質の良い商品を扱えるのはもちろん、新種ホップなど日本国内ではあまり流通していないものも仕入れられるのが強みという。
「我々ができることは良い材料をつくるのではなく、良い原料を仕入れてくること。そこからまずは良質な「麦汁」をつくることです。特にビールは美味しいものは初めから美味しくて、不味いものから美味しいものは絶対につくれない。クリーンな麦汁をつくることを醸造における何よりのテーマとしています。(木村)」
「現地の食材を使い模倣する」のが目的ではなく、表現するために必要不可欠ということだ。但し、ビールの大半を占める仕込み水は、飯能の水を水質調整せずに使用するこだわりがある(目指す味わいに近づけるため行うのが一般的。手を加えない分、他の原料の使用方法や醸造プロセスには緻密な計算が隠されているのは言うまでもない)。
「私の感覚では、単純に液体が文化でなく、空間や食、ペアリングなどと合わせて文化となると思っています。そこに『飯能でやる意味』を宿らせたい。あくまで官能としての部分をクラシックと融合させるんです。(木村)」
メソポタミアを源流とする世界のビールの歴史を掘り起こし、そこにオリジナルを加えてここでしか味わいない空間を創出するのだ。その為には全てに「なぜ?」や「ストーリー」が秘められていると木村は考え「コンセプトシート」を書くという。醸造にはこれを用いた社内プレゼンが必要となる。文化的側面や原料のストーリー、どんなシチュエーションで飲んでほしいか、などを書き連ねていく。そしてそれは接客スタッフにも共有される。
提供されるソフトを通じて味わうのは、彼らのエッセンスが加わった「カルチャー」そのものと言えるだろう。
■ 現在の形を変えて広がる「文化」の伝承
伝えていく「カルチャー」は、何も一つだけではない。
同レストランでは世界の芸能と食を伝える文化的なイベントも積極的に行っており、その国や地域に所縁のある料理やビールを限定で提供し、「世界の文化の語り手」としての側面も持ち合わせている。
今年12月には「CHRISTMAS SPECIAL JAZZ LIVE」(2020年は12/19,20)を開催。
北欧のクリスマス料理と共に「フィンランドスタイル・サハティ」などのヒストリカルなビールづくりにも挑戦しているそうだ。
他にも日本文化とのフュージョン、CARVAANならではの試みとして「Arabian Osechi(アラビアン ~お節~)」も販売するなど、「伝える」ということに妥協しない精神に驚くばかりである(2021年分は好評につき完売)。
「季節感はもちろん、常に新しい発見があるようにと心がけています。これからも価値や文化を伝えることを使命として、皆様のご来店をお待ちしております。(田中)」
「今後はボトルだけでなく樽生ビールの外販や店舗展開、それに合わせた工場の拡張も予定しています。外販にあたっては扱ってくれる方たちにCARVAANの世界観を知ってもらい、共感して提供して頂けたら嬉しいです。これからもビールを含めた「コト」を皆様に味わっていただけたらと思っています(木村)。」
私はすっかりこの世界の魅力に憑りつかれてしまった。
そして、、読み終えたあなたもそう思うなら、すでに「CARVAAN(隊商)」の一員だ。
次はあなたが「体験」し「伝える」番になることを、私はひそかに願っている。
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CARVAAN BREWERY & RESTAURANT
〒357-0065
埼玉県飯能市大河原32−1
Tel : 042-973-7000
Facebook : https://m.facebook.com/carvaanofficial/
Instagram : https://www.instagram.com/carvaan_official/
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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。