【ビールのある風景in岩手⑮】~発酵はおいしくて楽しい~ 陸前高田市に出来た「発酵パークCAMOCY(カモシー)」でクラフトビールの醸造が始まります!
岩手県陸前高田市
岩手県陸前高田市は県の東南端に位置し、現在の人口は約19,000人。隣接する大船渡市や宮城県気仙沼市などとともに三陸海岸の一部を形成しています。海洋の影響と地理的条件から、四季を通じて比較的温暖な気候です。
東日本大震災前は市を流れる気仙川によって形成された平野部低地に中心市街地が広がっていましたが、津波により壊滅状態になってしまったため大規模な土地かさ上げが実施され、今なお様々な工事が続いています。市役所や県立病院といった主要施設は高台に移転しましたが、平野部の中心市街地には2017年4月大型複合商業施設のアバッセたかたがオープンしたのを皮切りに、新たな店舗も建てられるようになりました。昨年4月には市民文化会館「奇跡の一本松ホール」も完成。現在は市立博物館も建設中です。
海岸沿いに広がっていた高田松原にあった1本の松が津波に耐えて残り、「奇跡の一本松」として全国的に注目され枯死後も保存されています。その一帯は高田松原津波復興祈念公園として整備中で、国営追悼・祈念施設、東日本大震災津波伝承館と道の駅高田松原が、2019年9月先行オープンしています。
発酵パークCAMOCY(カモシー)
この陸前高田市に、昨年12月17日に発酵をテーマとした複合施設「発酵パークCAMOCY(カモシー)」がオープンしました。
施設の場所は、陸前高田市今泉地区。今泉という地名の通り、地下水がこんこんと湧き出ていたこの地では江戸の時代から醸造業が盛んでした。
麹を発酵させ、酒や醤油をつくることを「醸す」といいます。楽しい雰囲気を醸し出す。明るい気分を醸し出すというようにも使われますが、醸造においてとても重要なこの「醸す」ということばから、施設を「CAMOCY(カモシー)」と名付けました。 ~株式会社醸(カモシー)のお知らせより引用~
CAMOCYは木材を多く使った温もりを感じる建物です。施設内の中央にはフードコートのように共同のテーブルがあり、発酵食の食堂やお惣菜、パンやチョコレートといった発酵を利用したものを中心に店舗が並んでいます。
その中に、岩手沿岸初のクラフトビール醸造所「陸前高田マイクロブルワリー」もあります。
陸前高田マイクロブルワリー
発酵タンクは搬入されていますがビールの醸造はこれから。現在は3種類のゲストビールの提供を行っています。私が訪問したときにつながっていたのは、三陸ビール「恋するセゾン」、遠野醸造「三陸ジンジャーゴールデン」、そしてBLACK TIDE BREWINGの「KESEMOI」。いずれも近隣地域のクラフトビールで、これを同じ場所で飲めるだけでも十分価値があります。
さらにここで提供されているカレー(この日はカルピスチキンカレーでした)もとても美味しいです。
店主で醸造を担当している熊谷さんは、地元で「カレーとてづくりおやつフライパン」というお店を営業していて、数年前には県内のブルワリーの協力で「りんごエールりくぜんたかた」というクラフトビールも造られています。
岩手県沿岸では珍しくりんご栽培が行われている陸前高田。自家醸造ではりんごをはじめ、地元の三陸ジンジャーやいちごなどを使ったビールも造っていきたいとのことです。4つの発酵タンクで、これからどんなビールが造られていくか楽しみですね。
自家醸造のビールの提供は3月下旬から4月頃に開始予定とのこと。陸前高田に桜が咲く頃に、今度は自家醸造ビールを飲みに再訪問したいと思います。この続きはその時に・・・
◎陸前高田マイクロブルワリー
岩手県陸前高田市気仙町74-1 陸前高田発酵パークCAMOCY内
070-4283-0852
営業時間11時~19時(火曜定休)
(現在プレオープン期間につき、今後営業時間が変更になる可能性があります)
※今回訪問するにあたり、ビールを飲むために車ではなく公共交通機関を利用しました。
バス高速輸送システム (BRT) にJR大船渡線気仙沼駅から乗車、奇跡の一本松駅まで約35分。そこからCAMOCYまでは歩いて20分弱で到着します。
訪問される際には、ぜひ今の陸前高田を感じながら歩いてみてください。
*川の向こう側に見えるのがCAMOCYです
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。