鉄ミス×ビール ~警部、今日の一杯はこちらです!【蒲田・羽田バル編】
みなさん、こんにちは。駆け出しビアジャーナリストのササオマドカです!「鉄ミス」こと「鉄道ミステリー」、中でも西村京太郎氏の十津川警部シリーズをこよなく愛しています。(2時間ドラマで高橋英樹さんや渡瀬恒彦さんが演じている、あの人です)
そんなミステリー&ビール好き人間が「十津川警部の片腕になりきりながら?作品に登場する現場を巡りつつビアスポットを訪ねる」という、十津川警部ファン垂涎(!?)のコラムをお届けします。
今回は、氏の鉄道ミステリー第1作『寝台特急殺人事件』より蒲田近辺を‘捜査’、捜査後のお疲れ様ビールとして、東京・大田区産のホップを使ったビールを飲める「羽田バル」にお邪魔します。
目次
十津川警部・トラベルミステリーの一作目『寝台特急殺人事件』
十津川警部と言えば、鉄道で日本全国時には海外まで縦横無尽に移動しているイメージですが、実は初登場は『赤い帆船』という海洋もの。そんな彼が鉄道で初めて活躍するのがこの『寝台特急殺人事件』です。
本作の舞台は、東京-西鹿児島間を結ぶブルートレイン「はやぶさ」。東京駅から乗車し西に向かっているはずの“謎の美女”が、なぜか「多摩川・六郷鉄橋下」で発見され、事件の幕開けとなります。
六郷土手駅~六郷土手、全てはここから始まった
事件の手掛かりは、現場にあり。何度も足を運べという捜査の基本「現場百篇」の心意気で、ササオ、早速、現場に急行します。さて場所は六郷鉄橋。
「幸い、多摩川は眼と鼻の先である。そこで、雨でも降らない限り、毎日釣りに出かけた。今日も、新井は、六郷鉄橋の下まで歩いて行き、岸辺の草むらに腰を下ろした。」「パトカーが到着したとき、近くのゴルフ場でプレイしていた連中まで、現場に集まって来ていた。」(西村京太郎 『寝台特急殺人事件』光文社カッパノベルス、改版2003年、P.45-P46)
まずは、第一発見者の新井氏の釣り場を求め、最寄り駅の京急本線六郷土手駅から多摩川へ向かいます。
JRの六郷鉄橋は日本初の鉄道橋であり、京急本線の鉄橋も並走。そのため。こちらは鉄道ファンにはたまらない写真スポットのよう。しかし!ササオにとっては橋よりも大切なものがある。それは、「六郷鉄橋の下にある岸辺で釣りの出来る草むら」 。が!新井氏がが腰を下ろしたであろう場所が見当たらない。
ピクニックに来ている家族連れ、サッカーや野球ではしゃぐ子供たちを横目にササオ、ひたすら川を目指して草むらを突っ切ります。一体現場はどこだ……現場への到着がかなわないまま、このコラムは始まりもしないで終わってしまうのか……と弱気になったその時!
かき分けられた、けもの道っぽいもの発見!!恐らくここが第一の現場で間違いないでしょう。
この日も近くには釣り人が。邪魔にならないよう現場を見回ります。冷静に考えると「第一京浜からここまで遺体が流れてくるだろうのか?」と若干の疑問も残りつつ、現場の確認は終了とし、このまま捜査本部へ向かうことにします。
西村京太郎氏の鉄道ミステリー「初の捜査本部」
今回の取り上げる作品の捜査本部は、蒲田警察署に設置。京急本線で京急蒲田駅へ出ます。
「蒲田署に捜査本部が設けられたのは午後一時ちょうどだった。」「十津川は、部屋に戻ると、亀井に声をかけ、すぐ、車で、蒲田署に向かった」(西村京太郎、前掲書P48,P57)
住宅街から公園のそばを通り、環状八号線(環八)方向へ。警部もきっと部下の亀井刑事(カメさん)と環八を車で飛ばしたに違いない。そんなことを考えているうちに蒲田警察署に到着しました。
捜査結果の報告や今後の捜査方針の検討など、日々、白熱した会議が行われているであろう、捜査本部。あちこち歩きまわって、聞き込みして、推理をしてもうまくいくとは限らない(そもそも、警部ってそんなに歩き回るのだろうかという疑問はひとまずおいておく)。苦労が絶えず、幾晩も眠れぬ夜を過ごしたかもしれないし、たまには仕事帰りに飲みたくなる日もあるかもしれない…。
そこで肉体的・精神的にもお疲れの十津川警部には、是が非ともこのササオが、蒲田警察署管内にあるビアスポットを案内せねばなるまい。警部はもちろん読者諸君をもぜひお誘いしたいのが、大田区産のビールが飲める蒲田ではちょっと珍しいお店 「羽田バル」。
蒲田警察署管内にあるクラフトビール「も」飲めるお店
蒲田警察署から羽田バルへ出向くには、JR蒲田駅方面へ、駅の反対側に出よう。
蒲田駅から歩くこと約5分。その道程には、立ち飲み屋、居酒屋、ダイニングバーと様々な飲食店が立ち並んでいる。バス通り沿いの建物の2階に、羽田バルを確認!特徴のあるはためくオレンジののぼりが目印だ。正面の階段を上がり、いざ店内へ。
店内は白を基調とし、ウッディ調の家具とグリーンもあり落ち着つきのある空間。ここ羽田バルは、大田区産ビールと地元大田区産野菜を使った料理や石窯で焼いた自家製ピザが楽しめるお店だ。
ちなみにおすすめで1番目に書いてあるフランクフルト。ササオ調べによると、元々店内で肉を手挽きして作っていたそうだが、どうしても手間がかかりすぎてしまう。そこで何か良い商品はないかと探し求めた結果、山形県長井市の草岡ハム製のフランクフルトに行き着いたとのこと。
さて、気になるビールだが、残念ながら現在コロナ禍のため店内では飲むことが出来ず。ササオ調べでは、現在、ボトルにてテイクアウト販売を行っているようだ。
……肝心のビールについてさらに調査を深めるべく、ササオは羽田バルの運営会社の代表取締役である、大屋幸子さんに聞き込みを開始した。
「蒲田なのに羽田バル」とは、これ如何に?
ササオ:羽田バル、(捜査や犯人の逃避行の)疲れを癒やしてくれるような、素敵なお店ですね。こちらはいつから営業を?
大屋:2016年5月なので、5年前からですね。
ササオ:蒲田は飲食店激戦区。店名は同じ大田区の地名でも「蒲田バル」ではなく、なぜ「羽田バル」なのでしょう?
大屋:店舗自体、元々は別の方が「羽田ブルワリー」の直営店として開業準備中でした。しかし、予定していた方が急遽都合がつかなくなったという話を、私がたまたま知人から聞いて、「じゃあ、私がやりましょうか」、と。
ササオ:( 随分思い切った行動力!)……つまり「羽田ブルワリー」の直営店のためにオープンしたが故に、「蒲田なのに羽田バル」だったんですね。
自白させるには●●ビール?!
ササオ:──ところで今回、十津川警部の片腕として現場を再検証しながら、ビールも楽しめる場所の調査をしています。そんなミステリー好きもしくはミステリーを読みながら飲むには堪えられないビールってありますか?
大屋:あ、それなら「大森貝塚エール」ですね! “土地繋がりの延長”ってことでも、『寝台特急殺人事件』今回の企画にぴったりだと思いますよ。大田区山王産のホップを使用していて、爽やかホップ香りとのどごしの良さが楽しめるビールです。これと合わせるのには、これまた地元羽田でとれたホンビノス貝の酒蒸しがおすすめですね
ササオ:飲んだら思わず気持ちが緩んじゃう、もしくはテンションが上がってしまうようなビールはどうでしょう。捜査後の一杯に最適とか、犯人ならば思わず自白したくなっちゃうような……。
大屋:『天空IPA』!飛行機がテイクオフするときの風を感じるような、天気のいい日に青空の下で飲みたくなるような華やかな香りのする、後味すっきりなビールです。これはちょっと珍しいんですけど、国産黒毛和牛の上ミノの唐揚げと合わせると最高ですよ。
ササオ:ミノの唐揚げ?!珍しいですね。それと開放感を感じさせるビールとの組み合わせ……あ、もう想像だけで気持ちが緩んできました(笑)
帰りに再び多摩川の現場付近へ。
事件のことはさておき、天気のいい日は、土手に座って風を感じながら飲むのもいいのかもしれないですね。
警部、今日の一杯はこちらです!
お店で飲むことはできないため、家飲み用にテイクアウト。テイクアウトしたビールは家で「寝台特急殺人事件」を読み返しながらゆっくり味わいました。
緊急事態宣言が明けたら、羽田バルへ再度お邪魔してお料理もビールも堪能したいですね。ただし、美味しいビールに気が緩みすぎて、余計なことをうっかり「自白」してしまわないように?!
さて、次の事件現場はいずこへに向かわねば……。
羽田バル
住所:東京都大田区西蒲田7-41-8 2F
アクセス:蒲田駅西口 徒歩5分、蒲田駅西口を降りて正面の並木道を300mほど進むと右手側、メガネストア隣の2F。
電話番号:03-6424-7716
営業時間:月~日、祝日、祝前日: 11:30~22:00 (料理L.O. 21:30)
定休日 不定休
席数:40席(全席禁煙)
Facebook
Instagram
系列店舗:HANEDA SKY BREWING
寝台特急(ブルートレイン)殺人事件
著 者:西村京太郎/著
シリーズ名:カッパ・ノベルス
出版社 :光文社
出版年 :1978
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。