コロナ禍の挑戦『浜松クラフトビールアドベンチャー』開催の道のり
コロナ禍のイベント開催は、行政からの要請や規制、感染状況や周囲の様子をみながらの答えがない手探りの日々。イベント企画者にとっても、開催の是非やそのスタイルなど、様々な苦難・試行錯誤が続いています。
静岡県浜松市で毎年開催されていたビールフェスティバルについて、2021年コロナ禍での開催に至る様子をレポートします。
2020年のオンライン配信フェスを経て
コロナ禍のイベント開催について浜松クラフトビールフェス実行委員会の伊藤さん、高林さんからお話を伺いました。
昨年(2020年)は、リアルイベントにかわるオンライン飲み会を企画したそうです。
地元の人気パーソナリティを呼んで、ブルワリーの姿をネットを通じて届けるコンテンツは好評でしたが、1日限りのイベントではビールの消費や視聴者には限りがありました。
その反省をもとに、今年の開催について協議をスタートさせたものの、コロナ感染の拡大による緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の施行、イベント規制など日々状況が変化する毎日。
「2021年の開催をどのように進めるのか?」答えを出すことは容易ではありませんでした。
※『浜松クラフトビールフェス』これまでの歩みについてはこちら
新しい試みとフレキシブルな体制づくり
そんな中でも、ワクチン接種がはじまり、単なる自粛を続けるのではない『コロナ禍でのイベント運営』や『アフターコロナに向けての行動』が各地ではじまります。
浜松クラフトビールフェス実行委員会でも、どのようなカタチでイベントを行うかについて前向きな相談が行われ、従来の「フェス=お祭り」色を薄めて感染拡大防止に留意しつつ、街や店に人が戻ることに期待した内容を構想します。
地元飲食店向けクラフトビール試飲会の様子
そうして生まれたのが、思い思いのスタイルでクラフトビールを楽しむキャンペーン『浜松クラフトビールアドベンチャー』です。
先行き不透明なコロナ感染状況を考慮し、特定の場所に大勢集まるフェスではなく、過度に集まりすぎずクラフトビールを楽しめるコンテンツを、ある程度の期間を通じて行う予定を立てました。
街中の飲食店で色々なクラフトビールを飲めるように、酒販店協力のもと『飲食店向けのクラフトビール試飲会』を事前に催し、お店の料理に合わせたビールをメニューに加えて貰う取り組みや、昨年からの学びを活かして、オンラインイベントについては生放送から収録に変更して予算を調整するなど、飲食店もブルワリーも過度な負担にならない仕組みづくりに知恵を絞ります。
日常の延長にあるクラフトビール企画を提案
イベントの準備を進める最中、イベントを開催する静岡県浜松市にもまん延防止等重点措置、そして緊急事態宣言が発令されます。
「既に仕入れたビールや、告知を開始して参加者が集まり出している企画をどうするのか?」
タイムリーに判断することは容易ではありませんが、感染防止を優先して、部分的に中止を選択したコンテンツもあります。
当初予定していたイベントの開催期間についても、時期をずらし、緊急事態宣言が解除されたことを受けて新たにパンフレットを刷りなおしました。
ECサイトと酒販店でのビール販売もキャンペーン期間を通じて4,000本を突破し、緊急事態宣言解除後さらに数字を伸ばしています。
解除後すぐに、街や飲食店に人が今まで通り戻ることはありませんが、『音楽LIVE×ビール』『ブルワリー見学』『ランニング×ビール』などいろいろな切り口を用意してキャンペーンを再開させています。
再びビアフェスで乾杯できる未来に向けて
単年で見れば、これまでと比べ大成功とは言えない状況でも実行委員の皆さんは前向きです。
各地のブルワリーとの関係をしっかりと繋ぎ続け、リアルイベントが出来なくても、浜松クラフトビールフェスを途切れさせないことを目標に、運営に臨んでいます。コロナ禍を経て、EC販売の拡大やオンラインでの発信ノウハウ、新たなコンテンツが充実したことも今後に向けた明るい話題です。
ビアフェスが浜松に戻ってくる未来を常にイメージしつづけた2021年のスピンオフ企画『浜松クラフトビールアドベンチャー』も閉幕まで残りわずか。来年どんな姿を見せてくれるのか楽しみに、今年の様子を覗いてみて下さい。
リンク:
浜松クラフトビールフェス・スピンアウト企画【浜松クラフトビールアドベンチャー】
https://craftbeer-adventure.net/
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。