[イベント]2022.1.10

サントリー国内酒類事業2022年事業方針 2022年1月6日於サントリーホール

ビールに愛された皆さまへ

ビアジャーナリストとしてサントリーの事業方針説明会に参加してきたのでリポート致します。
2022年1月6日、東京で珍しく雪が降り積もったあの日です。ニュースリリースだけでは伝わらない、生の声で印象に残った部分をお伝えしたいと思います。

会場となったサントリーホールのエントランス

サントリー国内酒類事業2022年事業方針

2021年度の酒類事業市場全般と比較したサントリー全体の売り上げは、ビールの缶が126%と大きく上回り、業界内では「勝ち組」という印象の数字を全面に出しています。これはすごいことですね。

単位
ビール類:数量、そのほか:金額
市場前比(%) サントリー前比(%)
酒類計 98 102
ビール缶 113 126
新ジャンル缶 89 89
ビール類業務用計 77 75
RTD 105 111
ウイスキー類 101 104
ワイン 95 100
ノンアル 111 114

2022年7月1日 新生「サントリー株式会社」設立

消費者・市場の非連続な変化を速やかにとらえ、酒類事業一体となりスピードを持って、推進する組織体制へ変革

サントリーBWS(株)およびサントリービール(株)、サントリースピリッツ(株)、サントリーワインインターナショナル(株)、サントリー酒類(株)の5社を経営統合し、新「サントリー株式会社」を設立します。新会社は、ビール事業、スピリッツ事業、ワイン事業、および営業で構成される予定です。具体的な組織体制などについては決定次第、またお知らせするということです。

ただ、記者による質疑応答の際に、こんなやりとりもありました。

2009年(平成21年)2月16日に、サントリーホールディングス株式会社を株式移転で設立、サントリー株式会社が吸収分割と新設分割を行い、サントリー酒類株式会社(サントリービール株式会社が2014年10月1日よりビール事業を分社化)、ワイン事業会社、飲料・食品事業会社、健康食品事業会社など、持株会社制に移行した経緯について詳しく覚えている記者から、以前も一つのサントリー㈱からスピード感や推進する体制にするために分割したがそれはどういう位置づけになるのか、と質問がありました。
それに対して、サントリーホールディングス代表取締役副社長 鳥井信宏 氏は、「製造から販売までの一貫した体制が取りづらいと、各社の社長それぞれに同じように感じていた。去年、まるまる一年議論を交わして、グローバルになる前の酒類に重きを置いていた頃のサントリー株式会社と同じようなことになると。しかし、先祖返りというわけではなく、新しいサントリー株式会社になります」と返答。

また、会社が統合されることにより、従業員の異動なども出来るようになり、それまでワイン事業の会社の所属であればワイン以外の仕事に就くことはできなかったが、それ以外の酒類の製造に携わりたいと希望したときや人事異動の必要性が生じたときなどに、ビールやスピリッツといった別事業の部署に異動することが可能になるのです。

樽詰商品の展開

2022年は業務用市場の回復元年という位置づけとし、サントリーらしい”お酒の価値”をお客様にお届けし市場を活性化することを目指しているそうです。
2020年度は、コロナ前の2019年比で58%と大きく下落、2021年にいたっては19年比45%と落ち込みます。まん延防止措置法・緊急事態宣言と立て続けに主要都市の飲食店の営業時間の短縮や酒類提供の制限がかかり、大手他社に比べて、料飲店に重きをおいて事業活動を展開していたサントリーにとっては大きな痛手となりました。

業務用2022年方針

”飲用時品質活動”に加え、新商品も投入し活性化 新需要創造にも積極的に挑戦し回復に貢献

<飲用時品質>とは、サントリーが長く続けている料飲店へのサービングや機材管理の指導にあたります。「達人の店」「神泡サーバーの店」の看板やタペストリーなどを見たことがあると思います。

ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム、パーフェクトサントリービール(糖質ゼロのビール)、オールフリーの樽詰の商品の全国展開が始まります。
それぞれ、エリア販売・テスト販売で需要の傾向を分析してきて、「想った以上に、必要としてくれて喜んでくれるお客様が大勢いることが判った」と、サントリービール株式会社代表取締役社長の西田英一郎氏はしっかりした手ごたえを感じています。ニーズについても、強い自信を持っていると断言していました。

たしかに、アルコール提供に制限が掛かっていた時期に、行きつけの焼鳥屋や立ち食い寿司のお店でノンアルコールビールの提供がありました。ただし、瓶での提供はまだよかったのですが、缶での提供だと何となく気持ちがしらけてしまうことがあったのです。
あとは、様々な理由でノンアルコールにしたい時があると思いますが、そんなときにも助かります。ジョッキや専用グラスで出してもらえるようになったら、少し気分が上がってくるような気もしますね。(中身は変わらないのに不思議なことですが)

また、糖質ゼロのパーフェクトサントリービールが樽詰で飲める機会があったら、きっと注文すると思います。これは待ち遠しいですね。

パーフェクトサントリービールの樽詰の取り扱いの目標件数は、2022年末で1000店舗での展開、としているそうですが、サントリーBWS 株式会社 取締役副社長山田賢治氏からは、「営業としては4500店、もしくはあと一桁増やすぐらいの意気込みで臨んでいる」と力強い声も聞くことができました。

ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム 無濾過

ザ・プレミアム・モルツの最高峰であるマスターズドリーム〈無濾過〉が、2022年4月5日に新発売。税別260円は高価格帯での展開になり、家庭でのプレミアムなビールでの「日常生活のハレ需要」しかもその中での「大ハレ需要」に応える。

もともと、ギフト限定商品で限られたユーザーのみが特別感のある商品として入手可能でしたが、ザ・プレミアム・モルツのブランドとしての幅を広げ、価値を高める戦略で大きな役割を担うビールとなります。

2022年サントリービール販売計画

2022年販売計画(万c/s) 前年比(%)
事業計 6300 103
家庭用(缶) 5500 100
ビール 1022 110
ザ・プレミアム・モルツ ブランド(ギフト含む) 570 100
パーフェクトサントリービール 300 151
金麦ブランド 3400 100
オールフリーブランド 863 103
業務用(瓶・樽) 800 131

 

大きく伸ばしている業務用について、質疑応答でも質問が上がりました。
「コロナ前の水準に近づけようとしているようだが、どのような考えで数字を戻すのか」という質問に、西田社長が答えています。

19年と比較すると6割から7割程度の数字になっています。
それでも、市場が徐々に回復傾向にあることと感染防止対策をしっかり行っていくことに加え、3回目のワクチン接種なども7割程度に進んでくることを見越している。新製品の展開で伸ばしていくことが1つ。我々が一番大きく数字を割ることになったのが東京・大阪のマーケットと、チェーン商店のマーケット。回復傾向の中で、他社より大きなダメージを受けた裏返しで、そこが今度は伸ばしていける。

話題に出ていないビールについても

質疑応答では、記者の興味のあるビールについても質問が飛びました。

東京クラフトの今後の展開について

年々、ファンが増えてきて売り上げも伸ばしている。様々なビールを創ることで醸造家の技術力を発揮できる商品になっている。その土俵のお客様に喜んでいただくというスタンスで続けていくそうです。

ザ・モルツの社内での位置づけは

西田社長がビール事業に参入した際に、売り出しをした張本人とご自身で言うほどなので、「とても愛着があり可愛くてしょうがないブランド」。数値的には伸びが無いが、業務用での取り扱い店舗も多く、大切にしていきたいブランドという位置づけ、と答えがありました。

 

2022年事業計画に関するニュースリリース

2022年 サントリービール(株)事業方針 2022年1月6日 ニュースリリース サントリー (suntory.co.jp)

「ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム〈無濾過〉」新発売 2022年1月6日 ニュースリリース サントリー (suntory.co.jp)

料飲店限定”本格ビールのうまさの糖質ゼロ”「パーフェクトサントリービール樽詰」新発売 2022年1月6日 ニュースリリース サントリー (suntory.co.jp)

料飲店限定「ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム5L樽」全国発売 2022年1月6日 ニュースリリース サントリー (suntory.co.jp)

新たな国内酒類事業組織について 2021年12月1日 ニュースリリース サントリー (suntory.co.jp)

組織変更と役員人事のお知らせ (suntory.co.jp)

 

<2022年1月11日記事修正>
パーフェクトサントリービール、オールフリーの飲食店での5リットル樽での商品提供について、生ビールの扱いではないので「樽生」という表記は誤りでした。「樽詰」と修正しております。また、鳥井副社長のお名前に誤記がございました。併せて修正しております。ご迷惑をおかけいたしました。

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

MJ

ビアジャーナリスト/Youtube JBJA Channelプロデューサー

ビールと昆虫とリコーダーと天然石が大好きです。JBJAではイベントサポートやBJAチューターも楽しんで取り組んでおります。人に寄り添う記事作成を心がけ、JBJA公式動画サイトJBJAchannelではMCを担当しております。
JBJA公式動画サイト:YouTube JBJAチャンネル

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