「うまいビールが飲みたい!」はこうして生まれた くっくショーへイインタビュー
2022年3月22日に全国発売になった当協会ビアジャーナリスト くっくショーヘイさんの初著書「うまいビールが飲みたい! 最高の一杯を見つけるためのメソッド(以下、うまいビールが飲みたい!)」は、もう読まれたでしょうか。
「これまで学んで実践してきたことを詰め込んだ本」という同書は、どんな本なのか? そして、どんな経緯で出版に至り、どんな思いで執筆したのでしょうか。著者であるくっくショーヘイさんに話を聞きました。
知るだけじゃなく試したくなる実践本
「うまいビールが飲みたい!」を読んでみて思ったのは、ビールを楽しみ尽くす実践本です。冒頭で記した通り、くっくショーヘイさんがこれまでのビール人生で経験してきたことが書かれていて、試したくなる内容になっています。
内容は、ビールを造るための原料や醸造方法にはじまり、歴史、実践しやすいペアリング、ビールを購入してから飲むまでの保存方法など多岐に渡ります。
情報が豊富なので、「逆に多すぎて混乱してしまいそう」と思っている方、心配無用です。「あなたにとっての『ビールのソムリエ』が、この本です」と言うように、セクションごとに調べることができるようになっているので自分が知りたいことだけ取り出すことができる便利な構成になっています。
また、専門書というと難しい単語が出てくることも多いです。しかし、この本では専門用語を噛み砕いて表現したり、イメージで表現したりしています。「どんなビールを選べば良いのか、どんな風に楽しめば良いのか。クラフトビールを知らない人にも分かりやすく伝わるよう努めました」と、これからビールに詳しくなって楽しみたいという方にぴったりの本になっています。
こうと書くとビギナー向けの本なのかというとそうではありません。表現は優しく、わかりやすくなっていますが、各所にマニア心をくすぐる深い内容がちりばめられています。そのため、内容に強弱がついていて、読んでいて飽きない本です。
自分の経験を伝えて、クラフトビールの魅力をもっと知ってほしい
「うまいビールが飲みたい!」は、株式会社リトルモアから出版。どんな経緯で出版に至ったのかを聞いてみました。
「これまで協会のウェブページやほかの媒体で、少しでもクラフトビールを飲んでくれる人を増やしたい思いで記事を書いています。その経験をまとめたい思いと、コロナ禍で厳しいクラフトビール業界を応援したい気持ちから出版をしたいと思いました。今回は、自分で企画書を書いて出版社にプレゼンをさせてもらい出版が決まりました」
「もっとクラフトビールの魅力を知って楽しんでほしい」。出版が決まり、クラフトビールの魅力を伝えるための構成を編集やデザインの担当者と時間をかけて思案。「読んでいると知らないうちに『ビールのことをもっと知りたい』。そう思える内容になっています」と話します。
ビールのことを知らない人を取り込むという点で、担当編集者さんが想定する読者のイメージに近かったことも大きかったと言います。「本に載せる内容を提案している中で、ビギナー目線でビールに関心をもつ提案をいただけたことは大きかったと思います。詳しい人だと知らないうちにマニアックな情報に偏りがちです。興味を持ってもらうことを目的にした本を書く上で、そのような視点から意見をもらえたのは良かったです」と振り返ります。
だが、出版が決まり発売に至るまでは簡単ではなかったと言います。
「今回、掲載したペアリングは、すべて試食をして決めました。試食は、他の仕事を終えた後に試したので時間がかかりましたし、深夜帯ということで体力的にもしんどかったですね。それと、本を読んだら実際に飲んでほしいので、できる限り各地で購入しやすい銘柄を選ぶのに苦労しました」
これまで5000銘柄以上を飲んできたからこそ知っている素晴らしいビールたち。しかし、限りある紙面の中で選択するのは難しかったと話してくれました。
実際に本を読んでいただけると分かると思いますが、ビールと料理の組み合わせはコンビニエンスストアやスーパーで販売しているものばかりです。「料理をつくるとなるとハードルが高くなります。『やってみたい!』と思えるよう、買ってくるだけで試すことができる簡単なペアリングを提案しています」と理由を語ります。
今回、発売までに2年の時間を要した同書。「書いているうちに、『これも伝えたい』というものが増えてしまいました。担当編集者さんは苦労されたと思います。本当、感謝の気持ちでいっぱいです」と、発売までのエピソードも教えてくれました。
掲載するペアリングの内容は、「今までに培ってきた組み合わせを載せているものもありますし、色々な提案をするために試食して決めたものもあります」と組み合わせのヒントは、近所のコンビニエンスストアの商品を見ながら考えたと言います。
好評な感想。この本を通じて一緒にクラフトビールの深みにハマりましょう!
発売から1か月が経過。くっくショーヘイさんの元にも本を読んだ人からの感想が届いていると言います。今の思いと今後について聞いてみました。
「おかげさまでAmazonのビール本ランキングで1位にもなりました。購入した人からも『情報量がとても多くて、この1冊でビールのことが理解できる』と言ってくれたり、各書店様からも『良い意味で沼に引き込まれる本ですね』という声をいただいています。それぐらいわかりやすい内容と捉えられていて嬉しいです」
そして、これからについては、「次、出版をする機会がいただけるならビールのキャラクター化やイラストがメインの本も面白いかなと思っています。視覚から理解を深める効果って大きいと思います。ビジュアル面から分かりやすく伝えたいですね」と、次回作への意欲をみせます。
最後にビールファンに向けてメッセージをいただきました。
「ビールに興味を抱いた人の『もっと知りたい』と思う気持ちをくすぐるのが『うまいビールが飲みたい!』です。誰かとビールを飲む時に話せる雑学を披露できるくらいに読めて詳しくなれる1冊です。読んで、飲んで、ビールの世界のさらなる深みを一緒に楽しみましょう。読んだらAmazonのサイトをはじめ、レビューを書いてもらえると嬉しいです(笑)」
暑くなるこれからの時期。「うまいビールが飲みたい!」を読んで、もっと豊かなビールライフを過ごしてください。
うまいビールが飲みたい! 最高の一杯を見つけるためのメゾット
著者:くっくショーヘイ
発行所:株式会社リトルモア
https://open.spotify.com/episode/54RYnKC3YcOlWzWjFq7uXK?si=dq7E9N_bT7C4A6QNXsR7TA
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