日本クラフトビール業界団体連絡協議会が発足!~ 日本のクラフトビールの発展を目指して ~
突然ですが4月23日といえば何の日だと思いますか?
それは今から約500年前の1516年4月23日、バイエルン国王ウィルヘルム4世が「ビール純粋令」を発布し、ビールの原材料が定められた大切な日です。それにちなみ日本では1999年に「地ビールの日」として制定されています。その記念すべき日に日本のクラフトビール界にとっての新たな動きが始動します!それは・・・
目次
日本クラフトビール業界団体連絡協議会(クラビ連)の発足。
その記者発表が22日、東京都墨田区両国にある「麦酒倶楽部 ポパイ」にて行われました。
登壇者は、
日本地ビール協会 山本祐輔理事長
全国地ビール醸造者協議会 田村源太郎会長
日本ビアジャーナリスト協会 藤原ヒロユキ代表
でした。
日本クラフトビール業界団体連絡協議会とは?
日本地ビール協会、全国地ビール醸造者協議会、そして日本ビアジャーナリスト協会の3団体が協働して、日本のビール文化を確固たるものにするために活動し、業界発展を目指します。その主な目的・活動内容は・・・
・業界のコミュニケーションハブとなる
・品質向上のための知見を共有する
・クラフトビールの環境を整え、市場規模を拡大する
・醸造所の経営基盤の改善・強化(酒税減税などの訴え)
・ビール文化の啓蒙・広報活動
の5つとなります。
ではなぜ、このような協議会が発足することになったのでしょうか?それには今の日本のクラフトビール業界を取り巻く環境が影響しています。
日本クラフトビール業界の現状
・コロナ禍によるビール業界の業績悪化
2020年1月に国内で初の陽性者が確認され、4月に緊急事態宣言が発令されたことで、飲食店を中心とした国内市場が急速に縮小し、厳しい状況となりました。
・クラフトビールシェアの伸び悩み
1994年に酒税法が改正され、1995年に地ビールが誕生し、日本のクラフトビールの歴史が27年目を迎えているにも関わらず、ビールと発泡酒の出荷量に占める近年のクラフトビールのシェア率はわずか1.2%。一方でアメリカは約14%、オーストラリアは約10%であることから、いかに非常に低い数字出るかということは一目瞭然です。
そして、主要国でシェア率の推移を比較しても、アメリカやオーストラリアが順調に伸ばしており、アジア各国も2010年代に入ってから急激に伸びているに対し、日本は伸び悩んでいるのが現状です。
ではもう少し深堀りして、その伸び悩みの原因はどこにあるんでしょうか?
伸び悩みの原因
1つ目は認知低の問題。まだまだ知られていない、飲んだことがない人が多く、またビールの付加価値(ストーリー)が飲み手に伝わっていないというのが認知の低迷に寄与しています。
2つ目は経営基盤の問題。小規模生産であることや輸送や管理コスト高、故に大手ビールに比べての販売価格設定が高い傾向にあり、消費者が手を出しづらい環境であることがあります。投資の観点からしても参入が難しいと言われています。
3つ目は収益性の問題。小規模事業者にとって酒税の負担は大きく、ビールは原材料費率なども高い為、なかなか利益を出しづらいという傾向があります。
そして4つ目は技術習得の場の問題。一部の大学にしか学ぶ場所がなく、また醸造免許取得後にやっと研修する機会が与えられるという現状も、なかなか作り手の技術習得や育成が進まないという要因の一つです。
そこで、日本クラフトビール業界団体連絡協議会の発足です!
これまで独自でこれらの課題解決に取り組んでいた3つの団体が一枚岩になって解決へ取り組んでいこう!ということになったわけです。その取り組みを積み重ねていくことで、日本のクラフトビールシェア率をアップさせ、そしてその先に日本のクラフトビール業界を発展させていくことを目指していきます。
ビアEXPO 2025の開催
クラビ連が取り組む課題解決の方法の1つとして発表されたのが「ビアEXPO 2025」です!
これは、
・ビアフェス
・ビアカンファレンス
・アワード
・サプライヤー展示会
を一同に網羅した、ビール特化型のイベントです!名前からしてワクワクしますね!
開催は3年後の2025年4月23日(予定)、これはクラフトビールが日本で誕生してちょうど30周年の年となります。
詳細はまだまだ未定ですが、前年から一年かけて既存のイベントなどと連携をして助走をつけていき、2025年に集大成を作っていこうという計画となっています。これから3年かけてじっくりと内容を組み立てていくとのこと。クラフトビール誕生30周年記念イベントとしていったいどんなイベントになるのか、今からとても楽しみですね!
最後に・・・
私個人、ここ近年でブルワリーの数は圧倒的な速さで増えている印象です。その割には27年かけてやっとの1.2%のシェア率、そして伸び悩み・・・つまりそれは消費ユーザーが増えているわけではなく、少ないパイの奪い合いと捉えることもできるのではないでしょうか?
だからこそ、その3団体が「日本クラフトビール業界団体連絡協議会」として集結し一枚岩で取り組むことで、その3年後の「ビアEXPO 2025」の開催をきっかけとして、クラフトビールの認知アップ、消費量アップ、それに並行してビールの品質のアップやブルワリーの収益性のアップなど・・・それらの集約として消費シェア率のアップに繋がっていくことでしょう。
登壇者の方々が何度も口にされた「一枚岩で取り組む!」という力強い言葉が、この協議会発足に至った決意の表れではないでしょうか?
私たち「日本ビアジャーナリスト協会」も参加団体の1つとしてこれからもがんばっていきますので、皆様もご協力お願いします!
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。