【SORACHI1984には●●注ぎ!】【グラス×注ぎ方×温度】がさらなる世界を切り拓く
造り手として、注ぎ手として、「ビールを一番おいしい状態で飲んでほしい」という思いは共通するところであろう。
その「双方」が納得する、商品のポテンシャルを最大限に引き出した味わいを表現できたら、それは最高の一杯になるのではないだろうか?
今回、「SORACHI1984」を題材に味わいの引き出し方を追求する研究会がサッポロビール株式会社・本社にて執り行われた!!
目次
■グラスの形状や温度・ビールの注ぎ方を変えて検証!
「注ぎ」の研究といえばこの方、麦酒大学(中野)の「山本 祥三」さんのご協力を得て、同社のSORACHI1984ブリューイングデザイナー「新井 健司」さん主導のもとに検証行われた。
今回はどのような流れで開催に至ったのだろうか?
「SORACHI1984」はその味わいもグラスも特徴的です。一度「麦酒大学」でも検証させていただき、「専用グラス」での理想の味わいを引き出す注ぎ方はこれだ!と感じたものを皆様も同様に感じるのか実験してみたかったんです。」(新井)
「お店によってグラスが専用グラスでない場合もありますよね?それで理想の「SORACHI1984」を提供するには何が正解なんだろう、その味わいに近づけるために何ができるだろう?というのを解き明かしてみたかったというところもあります。」(山本)
美味しいビールを届けたい!そんな飽くなき探求心と(ビールを愛する者達の)好奇心を感じられずにはいられません!!
注ぎ分けは下記のように検証された。
■グラスの形状による味の違い■
- プラカップ
- SORACHI1984専用グラス
- ワイングラス
- ジョッキ
■注ぎ分け■
- 麦酒大学注ぎ(優しく液体を注ぎ、泡付け機能でクリーミーな泡付け。瞬冷サーバーで注ぐ際に推奨されているオーソドックスな注ぎに一番近い)
- 一度注ぎ(泡を作りながら一度で注ぎきる注ぎ方)
- 爽快注ぎ(麦酒大学注ぎをしたところに、液体を再度落とし呼び泡を形成する方法)
■グラス温度■
- グラスは常温のまま
- 氷水で1分ほどグラスを冷やす
※サッポロビール(株)の社員の皆様を中心に、15名弱で検証。
※ビールサーバーは一般的な「瞬冷式サーバー」を使用
サッポロビール社員の皆さまを中心に、条件ごとに感想を列挙していった。
どれが一番おいしいと感じた方が多かったか?新井さん・山本さん両名が「SORACHI1984」に合っている!と思われた注ぎはどれだったか、はたまた自身ならどの注ぎ方が一番好みだろうか、、、?ぜひ想像しながら読んでいただきたい。
■全然違う!一番理想に近いのは「氷水で冷やした爽快注ぎ」
■グラスによる味の違い(注ぎはすべて麦酒大学注ぎ)■
●プラカップ(口径大きめ、角ばった、やや開いた形状)
マイルドな炭酸と余韻の酸味。香りは最初華やか(レモングラス・白桃など)だが、やはり炭酸が飛びやすいのか時間経過とともにフラットな印象。
●SORACHI1984専用グラス(口径小さめ、くびれのある流線形、底部もやや丸みのある加工)
プラカップよりホップの華やかな香り。麦芽由来も含め全体的にフレイバーが強く、えぐみや渋みも出れおらず、爽快なのどごしも長く楽しめる。
●ワイングラス(口径大きめ、丸みのある底部と形状)
モルト香がやや強まった印象。注がれてすぐでも穏やかめな炭酸感、まろやかなフレイバー。グラス底が丸いからか(注いだ際の衝撃が少ないからか)、えぐみは感じられず優しい甘味。
●ジョッキ(タンブラー)(やや広めの口径、容量多め、やや開いた形状)
香りは非常に穏やかで、開ききっていない印象。味わいもニュートラルな印象で、①~④の中で一番特徴を感じなかった(そういう意味ではするするのどを通る)。グラス側面を沿わせるようにしてビールに衝撃がなるべく加わらないように注いだことで炭酸ガスや香り成分が多く揮散しなかった&グラス形状から香りを取りにくいという部分もある。
総じて、「SORACHI1984」グラスが「ソラチエース」ホップの華やかな香りや味わいを強く感じた。実際に杯を重ねてもおいしいと感じる方が多かった。
■注ぎ分け(すべて「SORACHI1984」グラス)■
●麦酒大学注ぎ(優しく液体を注ぎ、泡付け機能でクリーミーな泡付け。瞬冷サーバーで注ぐ際に推奨されているオーソドックスな注ぎに一番近い)
プラカップよりホップの華やかな香り。麦芽由来も含め全体的にフレーバーが強く、爽快なのどごしも長く楽しめる。しばらくたっても味がフラットにならない。
●一度注ぎ(泡を作りながら一度で注ぎきる注ぎ方)
泡立ち・持ちは麦酒大学注ぎより控えめ。泡の粒も大きい。シトラスやグリーンの中にもカラメルなどを想起させるような芳醇なモルトのアロマとフレーバー。炭酸も程よく抜け、甘味と苦みの振れ幅もあり、不思議と口をつけてしまう。
●爽快注ぎ(麦酒大学注ぎをしたところに、液体を再度落とし呼び泡を形成する方法)
泡の粒は麦酒大学注ぎより大きめだが持ちは良い。モルトとホップの香りを両方感じる(但し、強くはない)。苦みの余韻が強く、シャープな爽快感。「麦酒大学注ぎ」と「一度注ぎ」の中間的な印象。
総じて、ひと口の量が少なく、じっくり1杯を飲む方は「麦酒大学注ぎ」が楽しめると思った。逆に、「一度注ぎ」は香りこそ落ち着いた雰囲気があるものの、甘味→苦みの行ったり来たりが心地よく、早いペースでビールがなくなるため、最初の一杯やにぎやかな場での乾杯に合いそうな味わいと感じた。
個人的には「爽快注ぎ」はどっちつかずな印象だったのだが、、、この後の「グラス温度」の違いで化けることになる。
■グラス温度の違い■
●グラスは常温のまま(一度注ぎ)
泡立ち・持ちは麦酒大学注ぎより控えめ。泡の粒も大きい。シトラスやグリーンの中にもカラメルなどを想起させるような芳醇なモルトのアロマとフレーバー。炭酸も程よく抜け、甘味と苦みの振れ幅もあり、不思議と口をつけてしまう。
●氷水で1分ほどグラスを冷やす(一度注ぎ)
常温に比べると、のどごしは良いものの、甘味・苦みを含めフレーバー全体が感じにくく、麦やホップの香りも非常に弱かった。
冷やしすぎもよくないのか、、、とも感じつつ、最後にいただいたのが「爽快注ぎ」の組み合わせ。
なんとこれがとてつもなく美味い!!
「ソラチエース」ホップ由来のレモングラスやヒノキ、白桃といった華やかな香りの奥から麦芽の香りも開いてきた。味わいも同様なのだが、炭酸の程よい強さも相まって余韻は非常に爽快かつクリーン。嫌な後味の苦みや渋みもなく、注ぎの奥深さに思わず唸ってしまった、、。
新井氏・山本氏が事前に行った実験でも「特にSORACHI1984の理想に近い」と感じたのはこの「グラスをしっかり氷水で冷やした爽快注ぎ」だったそうだ。
※あくまでSORACHI1984 ブリューイングデザイナーの見解です。
もちろん、人によって味覚・嗜好は異なり、銘柄によっても最適解はきっと異なってくるだろう。上記の注ぎを自宅で正確に再現するには難しいのだが、少しでも同社チームの探求心とビールの楽しみ方の幅を感じて頂けたら嬉しい限りである。
取材協力:サッポロビール株式会社、麦酒大学
↓実際の「注ぎ方」については、ぜひ現地で体感してみてください↓
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麦酒大学(ビールだいがく)
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※注ぎによる味わいの変化についてはこちらなどもご参照ください。
【前編】美味しいビールの条件-注ぎの極意-
【実験】【注ぎ分け】は回転数で味が変化するのか、それは本当に伝わるのか!?
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。