山陰クラフトビール2 この本で山陰のすべてがわかる
日本で人口が1番少ない鳥取県と2番目に少ない島根県がある山陰地方。第1次地ビールブーム時代8つのブルワリーがあった同地域は、ブーム終息、久米桜麦酒(ブランド名:大山Gビール)と島根ビール株式会社(ブランド名:松江ビアへるん)の2つまで減ってしまった。
そんな山陰地方だが、2015年12月に免許が交付された石見麦酒以降、2022年6月までに14まで増えている。
しかし、熱心なビールファンでなければ山陰地方の新規ブルワリーを把握している人は少ないだろう。
ビアエッセイストの矢野竜広さんは、「今の山陰地方の盛り上がりを伝えたい」と、2019年に「山陰クラフトビール」を執筆し発売。それから3年経ち、さらに盛り上がりをみせる同地方のブルワリーを紹介すべく「山陰クラフトビール2」を2022年7月22日に発売する。
今回は矢野さんに「山陰クラフトビール2」への思いを聞いていく。
「山陰こそビールの最前線」を知ってほしい
鳥取県在住の矢野さん。実は山陰地方出身ではない。東京で生まれ育った人である。2013年に鳥取に移住した後に、ライターとして活動をしながら様々なビールイベントを企画して開催している。
「山陰クラフトビール」のはじまりは、2017年に鳥取県大山町で開催したビールのテイスティングイベント。参加者の中に出版社の編集者がいたことだ。
編集者が山陰のビールに興味をもち、今井出版に企画書を書いて提案したが、当時は4つのブルワリーしかなかったため出版には至らなかった。その後、2019年に7つまで増えたことで企画が動き出し出版が決まった。
最初は山陰に特化したビール本を出版できるのか半信半疑だったという矢野さん。この本を通してどんなことを伝えたいのだろうか。
「山陰は辺境のイメージがありますが、ビールに関しては新しいことにチャレンジするブルワリーが多いです。今回、前書きのところでも『山陰こそビールの最前線である』と言い切っています。ホットなエリアだということを山陰地方や全国のビールファンに伝えたいです」
東京から仙台以上の距離を自ら車で移動して取材へ
ここ2〜3年の新規参入も多い山陰地方。その最新情報をこの本から知ることができるのだが、具体的にどんな情報が掲載されているのだろうか。
「ビールの紹介を中心に、ブルワリー設立の経緯や醸造哲学、ブルワーの来歴やこだわり、さらに山陰のビールを取り扱うお店やイベント紹介など幅広く紹介しています」
クラフトビールに関心を持ちはじめた人でも解説を通じて山陰のクラフトビールシーンがイメージしやすく、知識も身につく内容になっている。
今回、出版するにあたり現地を訪問して話を聞いている。鳥取県と島根県は左右に長く、鳥取県の東端から島根県の西端までは約320kmある。これは東京から直線で結ぶと仙台よりも長い距離。「移動が大変でした」と取材時の苦労を話す。
リモートワークが日常になった現在、オンラインで取材を行うことも可能なはず。しかし、矢野さんは可能な限り対面での取材を心がけている。その理由について「私自身が移住者ということもあり、山陰地方の様々な街や観光地を知るためにも自分の足で現地へ赴くことを大事にしています」と教えてくれた。
取材を通じて、「ビールで季節を表現する」を標榜してビール造りをする大山Gビールや新しい醸造法や醸造設備を独自で開発して、販売も手掛けている石見麦酒、シニアが活躍する場としてのブルワリーを探求する高津川リバービアなど、改めて他の地域に負けない個性を発揮しているブルワリーがあることがわかったと言う。
「『山陰のブルワリーをいくつ挙げられますか?』と質問されたら、「大山Gビールと松江ビアへるん」で終わってしまう人が多いのではないでしょうか。でも現在、14社もあるのです」。この本を読んで山陰のブルワリーの知識を増やして現地にビールを飲みに来てほしいと矢野さんは語る。
こうした地域のブルワリーに特化した紹介本は珍しいです。熱心なビールファンにとっても貴重な情報源となる本だと思います。発売は7月22日(金)。この夏のビア旅のお供にいかがでしょうか。
山陰クラフトビール2
発売日:2022年07月22日(金)
著者/編集:矢野竜広
出版社:今井出版
価格:1430円(税込)
※2022.7.21 画像を追加しました。
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。