[コラム]2022.8.27

【環境ペアリング02】彩:イロドリGarden Herb×埼玉雨キャン

クラフトビールにフードを合わせるフードペアリング。
ビールにちょっと組み合わせることで、おいしさがググっとアップします。

でもおいしさの相乗効果を引き出すモノって、食べ物だけじゃない。
天気だったり、店の雰囲気だったり、一緒に飲む人だったり、会話だったり。
どんな“環境”で飲むかでビールは感じ方が変わります。
当ビアジャーナリスト協会代表の藤原ヒロユキが、それを「環境ペアリング」と命名。
これを私はもっともっと追及していきたいと思います。

今回、環境ペアリングさせたのは埼玉県小川町にある麦雑穀工房マイクロブルワリーの「彩:IRODORI Garden Herb」と、雨天のキャンプです。

雨天時はキャンプを決行すべきか否か

キャンパーの永遠のテーマですね。
どんなに綿密なスケジュールを立てたとしても天候には逆らえません。
むしろ色んな顔をした自然を楽しむのがキャンプの醍醐味。

でも命が最優先。雨天時には川辺には近寄らないですし(急な増水の可能性あり)、未整備の山中は避けます(土砂崩れの可能性あり)。
地形や天気予報アプリをチェックしてキャンプをするか判断します。

今回は小雨の予報だったので決行。
麦雑穀工房マイクロブルワリーの隣町寄居にあるキャンプ場「KAYANO camp ground」に行ってきました。

車中泊キャンプはテント設営の手間が省けてラクチン。鍵をかけて眠れるので女性は安心だ

雨除け日除けの帆布製タープだけ張り、寝るときは車内としました。
車中泊は、雨の中でテントを組み立てて片づけなくて済みますし、帰宅後に乾かす手間も省けるのでお気に入りのスタイル。
急な大雨になっても車ですぐに逃げられるのもいいですよ。

雨キャンはキャンパーが少ないのもメリットのひとつですね。
タープと焚火台の設置後は、敷地内にある岩風呂に浸かったりハンモックでウトウトとしたりのんびりと過ごします。

時折太陽が顔を出し、葉っぱの水滴を輝かせキャンプ場に虹を架ける。移り変わる景色が楽しめるのもキャンプの醍醐味

雨音をBGMに、ハーバルかつ酸っぱいビールを

さて、こんな環境と合わせるビールとして私がチョイスしたのは麦雑穀工房マイクロブルワリー「彩:IRODORI Garden Herb」です。
ホップを一切使用せず、埼玉県産と自家栽培のハーブを風味付けに使用した「グルートビール」と呼ばれる特殊なスタイル。
ビールにホップを使用することが一般的になる16世紀ごろまで、ヨーロッパでは様々なハーブがビールに使用されていました。それらは一般的なビールと区別して「グルートビール」と呼ばれています。ホップが一般的になるとグルートビールは忘れ去れてしまいましたが、クラフトビールの世界的流行により味わいの多様性が認められ、歴史的なビールが見直されるようになりました。
こうして造られた「彩:IRODORI Garden Herb」は、つまり中世からタイムスリップしてきたビールですね。

「彩:IRODORI Garden Herb」にはしっとりとした天気がよく似合う

まずは、ひとくち。
ミントの爽やかさ、カモミールの甘い香り、ローズマリーのスパイシーさが感じられます。
そしてすっきりとして心地よい酸味。麦汁にはサワーモルトを30%近く使用しているのだとか。
ハーバルな香りと酸味に癒されます。

ビールに合わせるのは、濡れた地面の匂いや背後の森からやってくる草木の澄んだ香り。
そしてタープや木の葉に雨粒が弾けるポチポチという音。
雨の音は大好きです、「もう雨なんだからさぁ、頑張らなくてもいいんだよー」と言われているみたいで。
ゆるゆるとビールでも飲んで過ごしましょう。

耳や鼻、皮膚感覚を研ぎ澄まし、大自然と同期していきます。
中世の旅人たちも、雨の音と香りに包まれて、こんなハーバルなビールを飲んだのかしら。
雨キャンとビールは想像力を逞しくします。

焚火が加わればもう最高

埼玉県の四季をボトルに詰める麦雑穀工房

移設後の麦雑穀工房マイクロブルワリー外観。1階がブルワリー、2階がタップルーム、3階が事務所になっている:埼玉県小川町大塚88-6

麦雑穀工房マイクロブルワリーは、埼玉県小川町の自然をビールで表現する醸造所です。
創業当時からライ麦やヒエなどの雑穀を自家栽培し、それをビールに活用してきました。

現在ではハーブや果実を育てたり、今回宿泊したキャンプ場「KAYANO camp ground」の裏山にあるミカン農園を共同活用したり、四季折々の土地の恵みを存分にビールに活しています。

またナラの木でできたフーダーと呼ばれる縦型木樽での熟成に着手。日本ではまだ珍しい製法で、木樽に住む乳酸菌をもうまく取り入れたビールを造っています。まろやかな酸味やタンニンの渋みが感じられ奥行きのある味わい。この「NaRaシリーズ」は小川町でしか造ることができない唯一無二のビールです。

自家栽培の穀物や果実、ハーブなどの組み合わせた農家のビール「彩:IRODORIシリーズ」や、微生物と共生する長期熟成の妙「NaRaシリーズ」など、定番ビールや挑戦的なビールが楽しめるブルワリーです。

「彩:IRODORI Garden Herb」
醸造所:麦雑穀工房マイクロブルワリー
スタイル: セゾン
アルコール度数: 4.0%
URL:https://www.craft-beer.net/

KAYANO camp groundキャンプビアキャンプ環境ペアリング雨キャン麦雑穀工房マイクロブルワリー

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

(一社)日本ビアジャーナリスト協会 発信メディア一覧

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この記事を書いたひと

コウゴ アヤコ

ビアジャーナリスト

1978年東京生まれ。看護師を経て、旅するビアジャーナリストに転身。旅とビールを組み合わせた「旅ール(タビール)」をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ドイツビールに惚れこみ1年半ドイツで生活したことも。『ビール王国』(ワイン王国)、『ビールの図鑑』(マイナビ)、『BRUTUS』(マガジンハウス)など様々なメディアで執筆。

最近はキャンプとサウナにドハマり中。そこにもやはりビールは欠かせない。最高の「ビアキャンプ」&「ビアサウナ」を求めて、日本全国津々浦々旅をしている。

■執筆歴■
-海外生活情報誌ドイツニュースダイジェストで「旅ールのススメ」連載中
ビール小話 (ドイツニュースダイジェスト)2009~16年連載
-東海教育研究所かもめの本棚onlineにて「旅においしいビールあり」
-クラフトビールで乾杯!(日本トランスオーシャン航空機内誌Coralway2020年9.10月号特集)
-ビール王国(ワイン王国)
-ビールの図鑑・クラフトビールの図鑑(マイナビ)
-BRUTUS(マガジンハウス)
-an・an(マガジンハウス)
-CanCam(小学館)
-DIME(小学館)
-東京人(都市出版)
-るるぶキッチンmagazine 秋冬号(JTBパブリッシング)
など
■出演歴■
-アサデス。7(KBC九州朝日放送)
-KURASEEDS(J-WAVE81.3FM)
-食べて!歌って!まるごとユーロ!ドイツ語(NHKラジオ第2)
-トークイントーク(フレンズFM)
-売れ筋RANKING~クラフトビール(KTSライブニュース)
-よじごじDays(テレビ東京)
など

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