【新連載】Beer & Life Style 〜Fashion編〜「ビールとボーダーシャツのペアリング」
ビールのペアリングはフードだけではない。
様々な要素との関係でビールの楽しみ方はさらに広がっていく。
「あの曲を聴きながら飲んだビールは最高だった」「夕陽を眺めながら飲んだビールの味が忘れられない」なんて経験、お持ちだろう。
どんな装い=ファッションでどんなビールを飲むか……。
ビールとファッションのペアリングで、さらなるビールライフを楽しんでみよう。
というわけで、新たに「Beer & Life Style〜Fashion編〜」なる連載を始めたいと思う。
1990年代に、雑誌「Begin」で「いきすぎ君の肖像」という連載を描いていた私の感性で、ファッションとビールの相性を紹介していくという企画である。
IVY、トラッド、サーファールック、ヘビーデューティー、渋カジなんてのが青春だった世代には懐かしく、若い世代には一周まわって新発見になるやもしれない。
ご期待いただきたい!!!
第1回目は【ビールとボーダーシャツ】のペアリングである。
【10月】リラックス効果抜群! ホップの効いたビールとボーダーシャツ
目次
衣替えの季節に重宝なボーダーシャツ。
10月は衣替えの季節。
衣替えは中国で始まった習慣で、日本では平安時代に宮中行事としてすでに取り入れられていたといわれている。制服のある企業や学校では、この時期から装いが変わるわけだ。
もちろん、私服も秋冬仕様にするため、クローゼットの中身を入れ替えることになる。
とは言え、まだまだ暑い日や寒い日が目まぐるしく変わり、1日の中でも気温が極端に変化することがある。
朝はちょっと寒かったので羽織ってきた上着が、昼間は邪魔になってしょうがないなんてことがある。もちろんその逆もしかりだ。
そんな季節に重宝するのが、長袖のボーダーシャツである。
ボーダーシャツといえば漁師と水兵。
ボーダーシャツは元々はバスク地方(フランスとスペインの国境の北部地区)の漁師が16世紀頃から着ていたものが原型で、1858年にフランス海軍の制服に採用された。目立つので、海に落ちても発見されやすいというのが理由である。
1913年にはココ・シャネルがリゾートをテーマにした作品に取り入れたことで、一気に人気が跳ね上がった。
その後は、ピカソやアンディ・ウォーホール、楳図かずお、ウォーリーといった有名人が好んで着たことで世間に広がる。
ん? ウォーリーって誰だっけ? って、ほら、ウォーリーを探せのウォーリーである。
もうひとつのボーダーシャツは囚人服。
そしてもうひとつ、ボーダー柄といえばアメリカの(昔の)囚人服だ。
現在はオレンジ色になったが、横縞の服を着せられた囚人が出てくる映画やアニメは今でも見かける。
[ハロウィン コスプレ 囚人服]で検索するとボーダー柄の衣装が山ほど出てくる。
昔の囚人服が縞だったのは脱獄しても目立ってすぐに見つけることができるという理由である。
発見されやすいというのは、水兵がボーダーを着ていた理由と同じだ。
水兵や囚人がボーダーシャツを着る理由は。
しかし、水兵や囚人がボーダー柄を着る理由は他にもあるのでは? と私は思っている。
それは「ボーダーを着ると心が穏やかになるのでは?」と。
船や監獄でみんなのストレスがたまってイライラし、規律を守らなくなったり仲間割れをおこしたりすると大変なことになる。
閉ざされた空間だけに、これはヤバイ。なんとかみんな穏やかでいて欲しい。
全員が同じ服を着ているという事は、全員が同じ柄を見続けているという事で、その柄が、見ているだけでイライラするようであれば……。暴動勃発だ。
だから、船長や看守は必死で探したんじゃないだろうか? 優しい気持ちになる柄を。
それが【ボーダー】だったのだ。
ボーダーは心を落ち着かせる!
もちろんこれは、心理学的根拠のない個人的な思い込みの説だが……。苦笑
2乗の効果で完全リラックス。
ボーダーシャツの他に、心を穏やかにするもの、気持ちを落ちつかせるもの、リラックス効果があるものは……?
それがホップだ! ホップは人をリラックスさせる。
これは私の思い込みではなく、科学的にも証明されている。
ってことは、ボーダーシャツを着ながらホップの効いたビールを飲めば、リラックスの2乗となる。ボーダーシャツとホップで完全リラックス! である。
錨マークのビールで海気分を上げろ。
ボーダーシャツを着ると気分が落ち着くという仮説もさることながら、やはりボーダーシャツといえば”海気分”である。マリンリゾート感が漂う。
さらに、ビールのラベルに錨のマークがあれば気分上々間違いなしだ。
ボーダーシャツとペアリングしたいビールを紹介しよう。
アンカーブルーイング リバティエール
サンフランシスコのアンカーブルーイング社のアメリカンスタイルペールエール。
19世紀中頃、西海岸で起こったゴールドラッシュの時期に生まれたスチームビールを踏襲し続けたアンカーブルーイングが1960年代中頃に倒産の危機にさらされる。
それを救ったのがフリッツ・メイタッグ。アンカー社を買い取り、V字回復させた。
この成功がアメリカン・クラフトビール・ムーブメントとなり、さらに世界に広がっていったのだ。
私は「クラフトビール文化はアンカー社から始まった」と言い切りたい。アンカーこそクラフトビールの先駆者である。
フラッグシップは【スチームビール】だが、ホップの効能を楽しみたければ【リバティーエール】がおすすめだ。
テイスティングレポート:
フローラルでシトラスな香りが広がり、口に含むとホップの苦味が印象的。
苦味を受けるモルトの甘味も追いかけてきて、バランスよくまとまる。
後口にはしっかりとした苦味が残り心地よい。
柿田川ブリューイング 沼津クラフト バイカモIPA
2016年10月に沼津市に誕生した柿田川ブリューイングのコンセプトは「SLOW BEER SLOW LIFE ゆとりあるビールでゆとりある人生を」。
オーナーブルワーは、イギリス生活でビール文化に目覚めた片岡哲也氏。静岡県のベアードブルーイングで醸造を学び、流行りのスタイルにとらわれることなく上質なビールを造る醸造家として人気が高い。
定番ビールのひとつである【バイカモIPA】はモルトのカラメル感とホップの苦味が融合した味わいだ。
テイスティングレポート:
カラメルの甘い香りと味わいがホップの魅力と調和。アフターテイストにはしっかりとしたホップの苦味が残り、余韻となり長く続く。雑味のない苦味が、「さらにもう一口飲みたい」という衝動を掻き立て、あなたはグラスに手を伸ばすこととなる。
おまけ:ボーダーシャツは和製英語。
ところで、ボーダーシャツは和製英語なので、海外では通じない。
ボーダーは[国境]という意味で使われるように[境目]や[縁:ふち]なので、海外のブティックで「ボーダーシャツありますか?」と訊くと満面の笑みを浮かべた店員が[縁取りのあるシャツ]を持って現れるだろう。
海外では、バスクシャツもしくはストライプドシャツとかホリゾンタル・ストライプスなんて呼ばれている。
《今回紹介したファッションアイテム》
セントジェームス ボーダーシャツ
L.L.Bean トートバッグ
リーガル コインローファー
カシオ スポーツギア(※生産完了)
キタムラ
フクゾー
コンバース
では、また!季節が変わる頃に、、、
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。