【ビールを通して感じる韓国】3年前に登場したビール「TERRA」が大人気!
韓国のお酒といえば焼酎やマッコリを思い出す方も多いでしょうが、それは過去の話。50年前はマッコリの消費量がお酒全体の70%を超え、続いて焼酎となっていました。しかし現在はトップはビールで、少なくともお酒の消費量の50%以上を占めています。
私は以前から現地へ年数回通い、街で飲まれているビールや売っているビールの変化、クラフトビールが広がっていく様子を体感してきました。
期間がかなり開いてしまいましたが、今月ようやく4年ぶりに韓国・釜山を訪問することができました。そこでビールに関して、久しぶりに見てきたものや感じてきたことなどを報告していきます。
2022年11月1日から、日本から韓国へのビザなし入国が再開されました。ただし、入国には電子渡航認証(K-ETA)を通じた旅行許可が必要なので、72時間前までに申請しておかなくてはなりません。
また海外から韓国に入国するすべての人に対して行われていた入国後1日目のPCR義務検査は、10月1日から中止されています。
なお必須ではありませんが、入国前に「検疫情報事前入力システム(Q-code)」の入力を済ませておくと、入国の際にかなりスムーズです。
今回の話に入る前に、まず韓国ビールの概要について押さえておきたいと思います。
韓国ビールの大手メーカー
韓国の大手のビールメーカーは現在以下の3社あり、うち1社は2010年代半ばの新規参入です。
大手のビールメーカーが販売しているビール
・OBビール
前身は1933年創業の昭和麒麟麦酒。現在の代表銘柄はCASS。ほかにOBビール、Cafriなどの銘柄を造ってきました。サントリーのプレミアムモルツなど海外ビールブランドの提携販売、クラフトビールや発泡酒なども手掛けています。
・ハイト真露
2006年にハイトビールが真露を買収したことで生まれた会社。真露の前身は1924年創業の真泉醸造商会でスタートは焼酎醸造、ハイトの前身は1933年に設立された朝鮮ビール株式会社です。
現在、2019年に発売されたTERRAが大ヒット中。TERRAについては後半で詳しく書きたいと思います。ほかに、hite、Maxなどの商品を造ってきました。
・ロッテチルソン飲料
創業は1950年の総合飲料メーカーで、コーヒーやお茶などを手掛けてきました。2014年に初のビールKloudを造り、ビール市場に参入。Kloudはかつての「味が薄い韓国ビール」というイメージを覆すことにもなった商品のひとつです。
韓国のビール事情はどう変わってきたのか
・2000年代まで
ビールの消費量を一気に増加させたきっかけは、1988年のソウルオリンピックです。その後1997年のIMF通貨危機による落ち込みはあったものの、2002年の日韓共催ワールドカップの頃には人気を盛り返しました。
ただこの頃はビールの種類も少なく、美味しいビールを買うというよりも珍しさでお土産に買っていました。割れないので、日本ではあまりないペットボトル入りのビールを買ってくることもありました。
ビールの消費量が増えたとはいえ、この頃現地の方と一緒に食事をしているときに「ビールを飲むのは十数年ぶり」と言われたことも記憶にあります。
・2010年代以降
2010年代に入ると、韓国のビール事情も大きく変化していきます。
変化のひとつは、輸入ビールが増え、日本のビールも大人気になったことです。この頃、スーパーに行くと日本でおなじみのビールをはじめ、いろいろな国のビールを見かけるようになりました。私も、韓国ビールに加えて、日本でよりも安く買えるドイツビールなどを見つけて、お土産に買ってくることが多くなりました。
街では、日本のビールを取り扱っているお店も見かけます
また、小規模醸造所の設置基準が緩和されたことにより、クラフトビールも広がりました。2010年代後半は、クラフトビールの直営店を訪問したり、現地のビールフェスティバルに行って韓国各地で造られているクラフトビールを飲むという楽しみ方もできるようになりました。今ほどではありませんが、少しづつスーパーやコンビニでクラフトビールも買えるようになりました。
輸入ビールやクラフトビールの影響を受けて、韓国の大手ビールメーカーも2010年代半ばには、今までのビールとひと味違う苦みやコクのある銘柄を発売しています。
こうやって振り返ってみると、規模等に違いはあっても、日本の流れと共通点もかなりあるように思います。
TERRAが大人気に
今回の旅で、大手のビールメーカーが造っているビールで一番大きな変化と感じたのは、TERRAの登場とその浸透ぶりでした。
ハイト真露からTERRAが発売されたのは2019年で3年前。最近の韓国ドラマには間接広告としてよく出てきたりしていて、「新しい緑の缶のビール」と話題にもなっていたようです。でも、最近の韓国ドラマはほとんど見ない私は、TERRAを見るのは今回が初めてで、そしてその浸透ぶりに驚かされました。ちなみに、瓶も緑色です。
街中で見かけるビールの宣伝の多くがTERRAだっただけでなく、お店の中の冷蔵庫にスタンバイしていたビールもほとんどがTERRA。そして大韓航空の機内食やラウンジで提供されているビールもTERRAに変わっていました。
街中の状況はあくまでも釜山を歩いての感想なので首都ソウルなどではまた違うのかもしれませんが、地域差があるかもしれないことを考慮しても、かなりTERRAの人気が高いことがうかがえます。
街で見かけたTERRAの宣伝
機内食とともに提供されるのもTERRA
ラウンジに用意されていた韓国ビールもTERRAでした
では、現在韓国で大人気のTERRAはどんなビールのでしょうか?
製造:ハイト真露
アルコール度数:4.5%
原材料:麦芽(オーストラリア)、スターチ(ロシア、ハンガリー、セルビア等)、ホップ(ドイツ)など
「空気がキレイな国ランキングNo.1のオーストラリアで育った麦芽と発酵工程でしか得られないリアル炭酸を100%使い、泡は綿密で、炭酸は長持ちします。」というのが宣伝文句です。
飲んでみると、炭酸が若干強めで苦みは軽めでのど越しはスッキリ。それでいて、程よいホップの香りと温度によっては麦芽の甘みも十分感じます。美味しく飲み続けられるビールだと思います。
日本でも購入は可能なので、気になる方は一度飲んでみてはいかがでしょうか? ただし、350mlの1本が400円台程度と現地で買うのに比べると倍近い値段になってしまうので、可能ならばいつか現地でその地の雰囲気を感じながら飲むことをおすすめします。
次回は、釜山で飲めるクラフトビールについて書いていこうと思います。
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。