4人のブルワーがひとりの人生を描く!表現を味わうビール「ホッピンフレンズプロジェクト」
ひとりの人生ストーリーを掘り下げ、それをビールで表現する「ストーリーブルーイング」。そんなユニークな製法でビールを醸造するHOPPIN’ GARAGE(ホッピンガレージ)が2023年度ブランド方針説明会にて、新たな取り組みをすることを発表しました。
その名も「ホッピンフレンズプロジェクト」。ブルワーさんのアーティストとしての側面にスポットライトを当て、飲み手の想像力をかきたてるというまったく新しいプロジェクトです。
目次
ストリーブルーイングの進化!「ホッピンフレンズ」
HOPPIN’ GARAGE(ホッピンガレージ)はブランド開始から2年間で11の魅力的な人生ストーリーをビールにしてきました。魅力的な人と出会い、話を聞くことから始まるHOPPIN’ GARAGE(ホッピンガレージ)のビール造り。それが2023年度から「ホッピンフレンズプロジェクト」として大きく進化することになったのです。
「ホッピンフレンズプロジェクト」とは、HOPPIN’ GARAGE(ホッピンガレージ)の取り組みに共感する「友好ブルワー」さんたちが、ビールの主人公となる人の話を聞き、そのストーリーをビールで表現するというもの。
複数の人間が同じりんごを描いたとしても、2つとして同じ絵が出来上がらないように、同じストーリであったとしても「描き手」の表現の違いによって様々な味わいのビールが出来上がる……写実的なのか、抽象的なのか、どこに注目をして、どこを重点的に描くのか。ブルワーさんのアーティストとしての表現を通じ、主人公の人生ストーリーを様々な角度から味わうことができるというプロジェクトなのです。
第一弾の主人公は「三田のガウディ」建築家・岡啓輔さん
「ホッピンフレンズプロジェクト」第一弾の主人公となったのは、建築家・岡啓輔さん。東京三田の「蟻鱒鳶ル」(アリマストンビル)と名付けた自宅を17年以上かけてセルフビルドしている方で、三田のガウディと呼ばれています。
そんな岡さんのストーリーを聞いてビールを醸造した「ホッピンフレンズ」は、ヘリオス酒造菊池ブルワー、六甲ビール景山ブルワー、わくわく手づくりファーム川北大久保ブルワー、そしてサッポロビール西尾ブルワー。
即興で建築を重ね、見るものの心を奪うアート建築を自力で作り上げ続ける岡さん。そんな彼の人生ストーリーを4人のブルワーさん達はどのようにビールで表現したのか。出来上がったビールのテイスティングレポートを含め、ご紹介していきたいと思います。
4つのビールで味わう「建築家・岡啓輔さん」と「蟻鱒鳶ル」
サッポロビール西尾ブルワー「蟻鱒鳶ール(アリマストンビール)」
サッポロビールの西尾ブルワーが造ったのは、「蟻鱒鳶ール(アリマストンビール)」。
「常識にとらわれない岡さんの姿を見て、弊社として初めての製法に挑戦。創造力と想像力、 物づくりの悦びが込められています」
そんな思いを込めて醸造したのは、常温で飲むことを想定したカリフォルニアコモン。なんと通常低温で発酵させるラガー酵母を エール並みの高温で発酵させる製法を採用しており、高温発酵による深いコクと鮮烈な苦味、ラガービール特有のキレを楽しむことができるビールです。
「初めての製法に挑戦」という言葉に胸躍らせながらグラスに注ぐと、なんとも美しい琥珀色。一口飲めば苦みとホップの香り、そしてモルトのあまみが絶妙に広がります。ゆっくりと広がる深みとコクの余韻はじんわりと長め。そこにはたしかに未知のものへのわくわくや、物づくりの悦びが溶け込んでおり、それらを何度も確かめるように飲みたくなる味わいでした。
わくわく手づくりファーム川北大久保ブルワー「バベるビール」
石川県にあるわくわく手づくりファーム川北の大久保ブルワーが造ったのは、「バベるビール」。
岡さんがイチから「蟻鱒鳶ル」を建てるように、麦の栽培から醸造まで、イチからビールをつくりました。「つくる」よろこびに満ちたビール。
そんな思いで醸造したのは、焙煎モルト香るブラウンエール。わくわく手づくりファーム川北の特徴である、自家栽培の麦芽を使用したモルティ―さと、ホップ由来の土や草さ感じるビールです。
自分たちで麦を育て、その麦を麦芽にするということがどれだけ大変な道のりであったか……わくわく手づくりファーム川北さんの歴史に想いを馳せ、そしてそこに建築家岡さんの「蟻鱒鳶ル」を重ねていざ試飲。柔らかなカラメル香の後、酸味がまっすぐに流れ込んできます。そして続くのはモルティさとアーシーなアロマ。「イチから生み出す」ということをこういう風に表現したのか!ととても興味深い1本でした。
六甲ビール景山ブルワー「TINY HAZY IPA」
兵庫県にある六甲ビールの景山ブルワーが醸造したのは「TINY HAZY IPA」。
着工から17年経った現在も未完のビルを造り続ける建築家 岡さんの挑戦的な姿勢をレシピに重ね合わせました。
そんな思いで醸造したのは、「Citra」「Mosaic」をメインホップとし、 合計8種類のホップを使用したHAZY IPA。 度数3.5%でありながらも、ホップ由来の力強いジューシーなアロマを楽しめる本格派低アルコールIPAです。
挑戦的な姿勢を、8種のホップでどのように表現したのだろうか……いろいろと想像を膨らませながら缶を開けると、一気に広がるホップの香り!苦味が先行してすうっと入ってくるのですが、息をついた瞬間にオレンジやグレープフルーツのようなフレッシュな柑橘感が広がります。軽やかでありつつも、くっきりと苦く余韻も長いので飲み応え十分。これは確かに挑戦する強い背中を感じる、そう思わせてくれる1本でした。
ヘリオス酒造菊池ブルワー「RCスタウト」
沖縄、そして岩手に醸造所を持つヘリオス酒造(今回のビールは岩手で醸造)の菊池ブルワーが醸造したのは「RCスタウト」。
蟻鱒鳶ルの建築期間・コンクリートの強さ・長期間の耐久性と、アルコールの高さ・ボディの強さ・長期熟成を重ね合わせました。
そんな思いで醸造したのは、度数9%のインペリアルスタウト! 2年以上も熟成させた超長期熟成ビールであり、今回しか味わえない円熟の極みを迎えたスペシャルな1本です。
説明を聞いただけでよだれがでそうなこのビール。グラスに注ぐとコーヒーやチョコレートのような甘みある焙煎香が広がります。すするように一口飲むと、脳天がしびれるような衝撃。深い!あまい!そして複雑!!!喉を滑り落ちていく間に様々な表情を見せてくれ、目を離すことができないような味わいのインペリアルスタウトでした。
酔いと共に感じたのは、実際には見たことがない「蟻鱒鳶ル」のコンクリートの質感や温度。ひんやりとした、でも厚みあるそれらに手を当てながら飲むようなその感覚はとても不思議な体験でした。
想像力を刺激してくれるビール「ホッピンフレンズプロジェクト」
4本のビールを飲み終わると、建築家・岡啓輔さんのストーリーに色が着いたように感じました。実際にはお会いしたこともない岡さんの息遣いや、見たこともない「蟻鱒鳶ル」の存在感。それらがブルワーさんの描いた4枚の絵によって、一気に目の前に広がったような気がしたのです。
自分の知らなかった世界を見せてくれ、そして想像力を刺激してくれる「ホッピンフレンズプロジェクト」のビール。それは大人にとって大切な「わくわく」をたっぷりと提供してくれる存在でした。
今回ご紹介した4種のビールが入った「ホッピンフレンズセット第一弾 建築家 岡 啓輔セット」は現在発売中。
建築家・岡啓輔さんを筆頭に、2023年は新たに6つの魅力的な人生ストーリーがラインナップされています。コピーライターの石井つよシさんやゲーム「刀剣乱舞ONLINE」ライセンス担当のOK間(おけはざま)さん、リボンに命を吹き込むアーティストRibbonesia(リボネシア)さんなど、個性豊かな方々のビールが予定されているのです。
今後HOPPIN’ GARAGE(ホッピンガレージ)では、Pop-UpストアPop-Upバーキッチンカー展開などを行い、商品を1本から手に取れる場所を増やしていくとのこと。ビールによって描かれた絵を通じ、どんな魅力的な人々と出会えるか、いまから楽しみですね。
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