【ビールを通して感じる韓国⑥】ソウルとその近郊でクラフトビールを飲む(2) アメイジングブルーイング(AMAZIING BREWING)@聖水洞
前回に引き続き、今回もソウルで飲めるクラフトビールを紹介したいと思います。
*前回の記事はこちら(【ビールを通して感じる韓国⑤】ソウルとその近郊でクラフトビールを飲む(1) 韓国伝統家屋が並ぶ益善洞へ)から…
今回ご紹介するのは、タップ数がソウル1だと思われるアメイジングブルーイング(AMAZING BREWING)のタップルームです。
アメイジングブルーイングがあるのは、ソウル東部の聖水洞(성수동・Seoungsu-dong)というエリアになります。
聖水洞エリアとは
ソウル東部の聖水洞は、旅行者にとってはあまり聞き馴染みのない名前かもしれません。
もともと靴工場や小さな町工場が立ち並ぶ平凡な地域だった聖水洞。ところが時代の流れとともに閉鎖する工場が増え、その古い空き物件をリノベーションして、若手デザイナーやアーティストたちが独特なカフェやギャラリーなどを営業しています。
また、世界のハイブランドや新しいローカルブランドの店なども集まり、今韓国で最も若者に人気のあるトレンディな地域とも言われているそうです。
当然脇道に現れたDiorの建物
地下鉄2号線の聖水駅には聖水洞の靴産業に関する展示もあり、今でもこのエリアにはあちこちにハンドメイドシューズのお店もあります。
かなりのスペースを取って靴について説明があります
アメイジングブルーイング(Amazing Brewing)
このエリアがまだそれほどメジャーになる前の2016年春にオープンしたのが、アメイジングブルーイングです。
私が訪問するのは2回目でしたが、前回はできてからそれほど時間が経っていない頃。時間の経過で記憶があいまいになっていたことだけでなく、地下鉄2号線聖水駅から歩くと途中の雰囲気が変わっていて「あれ、こんな感じだったっけ?」と感じながら少し遠回り。それでも歩いて10分ほどで到着しました。
賑やかなエリアから少し離れた場所にあり、ちょっと見つけにくいかもしれませんが、タップルームの前に小学校と幼稚園があるので目印になります。この周辺の雰囲気はあまり変わっていないように思いました。
門の中にはテラスがあり、その奥にタップルームの入り口があります。
以前は平日18時からの営業でしたが、今は1時間早くなって17時から(~24時)になっていました。休日は2時間早く開店するようです。
建物は1959年に建てられた工場として使われていた木造建築をリノベーションしています。
店内に案内されると、右手に数人座れるカウンター、左手にテーブル席。私はカウンターに座りました。
目の前にはビールを紹介する絵とタップがずらり。ちなみにタップ数は建物ができた1959年にちなんで59あるそうです。
カウンターに座って、ビールの絵をひとつひとつ眺めているだけでも楽しいです。
この日はサンプラーを注文してみました。100ml×8種類で28000ウォン(約2800円)です。
5種類は定番ビール5種類は固定で、これに好きなもの3つを選んでセットになります。
ビールの種類が多いので、この3つを選ぶだけでも迷います…
ビールメニューはとても丁寧ですが、ほぼ韓国語です。単独で頼むと250mlで6000ウォン(約600円)前後のものがほとんどでした。
迷いに迷って私がこの日サンプラーの選べる3種類として選んだのは、LAZY QUEEN(Hazy IPA・アルコール度数6.5%・IBU30)、MAD MONKEY(Weizen・アルコール度数4.5%・IBU9)、YEOW MU JANG(Amber Ale・アルコール度数5.2%・IBU35)の3種類でした。
ちなみに固定の5種のスタイルは、NEW ENGLAND IPA(アルコール度数6.5%・IBU40)、AMERICAN PALE ALE(アルコール度数4.5%・IBU29)、STOUT(アルコール度数8.5%・IBU53)、WEIZEN(アルコール度数5.5%・IBU9)、BROWN ALE(アルコール度数5.5%・IBU24)になっています。
料理は一番手頃だったチリコンカルネ(10000ウォン・約1000円)を注文してみました。出てきたのはこれ。かかっているソースの部分だけ想像していたので、ボリュームにびっくりでした。
他にもピザなどの料理も豊富にありました。複数人で行くと、食事も楽しめそうです。
お勧めしたい理由
ここまで書いてきたことの繰り返しになるところもありますが、アメイジングブルワリーを推薦したい理由を挙げていきたいと思います。
◎意外と行きやすい
地下鉄2号線の聖水駅やトゥッソム(Ttukseom)駅から歩いて10分もかからず行けます。地下鉄2号線は、漢江で分かれているソウルの南北の地域を結んでいる環状線で、滞在先がどこであっても使いやすい路線です。
周囲は落ち着いた雰囲気なので、たとえ観光地の喧騒に疲れていたとしても足をのばしてみる価値はあります。
◎ビールの種類が豊富で美味しい
私が訪問した日は自社のビールだけで40種類ほどありました。59あるというタップがすべて使われているわけではないようですが、それでも十分すぎる種類があります。
スタイルを絞っても選ぶのが大変なぐらいです。
それでいてこの日飲んだ中には、これはちょっと…と感じさせるものはありませんでした。
◎お店の方がとても感じがよい
一番の理由はこれです。「話しかけていいですか?」から始まり、カウンターでビールを注いでいる方と、出身地からビールのことまでいろいろと話をしました。(韓国では突然話しかけられることが多いので、こう前置きされることがかなり丁寧です。)
サンプラーを味わっていると「飲んだビールの中で一番良いと思うのと悪いと思うのは?」と聞かれ、「悪いのはなくて、一番良いのは迷うけれどヴァイツェン好きなのでMAD MONKEY」と答えると「じゃあこれ飲んでみて」とお米を使っている別のヴァイツェンをサービスで出してくれました。
RICE BLANC。アルコール度数5.0%、IBU 9.5。思いがけず3種類のヴァイツェンを味わうことができました。ちなみに彼にとっての一番は、英語ではFIRST LOVEと名付けられたサンプラー左上のNEW ENGLAND IPAだそうです。このビールは以前きた時も飲んだ記憶がある定番ビールです。
相手の様子を見ながら会話をしてくれるこの方だけでなく、フロアにいる店員さんも入ってきたお客さんに声をかけたり、注文に応じる姿などが、とても感じがよかったです。
タップルームのスペースも広めで入りやすく、ほっと安心できるような場所です。
ソウルのクラフトビールを飲むのは初めての方も、ある程度クラフトビールに通じている方でも、アメイジングブルーイングのタップルームは、どんな方でも安心して楽しめるところです。
韓国としては珍しく、カウンターでひとり飲みしている常連っぽい方も見かけました。
現地に行って、夜クラフトビールが飲みたいと思ったら…ひとりででもグループででも、ぜひ足を運んでみてくださいね。
◎アメイジングブルーイング所在地:서울특별시 성동구 성수일로4길4(4, Seongsuil-ro 4-gil, Seongdong-gu,Seoul)
*参考文献:「CRAFT BEER KOREA(KOREAN CRAFT BREWERY GUIDE BOOK 2018)」BEER POST PUBLISHING
*10ウォンを約1円として換算しています
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。