【環境ペアリング05】 Abukuma GREEN×ホップ風呂
クラフトビールにフードを合わせるフードペアリング。
ビールにちょっと組み合わせることで、おいしさがググっとアップします。
でもおいしさの相乗効果を引き出すモノって、食べ物だけじゃない。
天気だったり、店の雰囲気だったり、一緒に飲む人だったり、会話だったり。
どんな“環境”で飲むかでビールは感じ方が変わります。
当ビアジャーナリスト協会代表の藤原ヒロユキが、それを「環境ペアリング」と命名。
これを私はもっともっと追及していきたいと思います。
今回、環境ペアリングさせたのは福島県田村市にあるクラフトビール醸造所「ホップガーデンブルワリー」のフレッシュホップビールAbukuma GREENと、“全身で味わう”ホップ風呂です。
大自然のど真ん中で、畑からのビールづくり
ベアリングの舞台となるホップガーデンブルワリーは、福島県田村市の公共施設グリーンパーク都路内にあり、阿武隈高原のほぼ中央に位置します。
いわき駅から車を走らせること70分、郡山駅からは50分。森の中のゲートをくぐり、細い道をぐんぐん上がっていくと整備されたなだらかな丘陵が目の前に広がります。
広い敷地内には、ビール醸造所やタップルーム、パンの工房、ビールの原料であるホップ畑と小麦大麦の農園、キャンプ場やスポーツ広場が点在。
ビール好きとしては、ブルワリーと同じ敷地でビールの原材料が育てられ、タンクの隣にあるタップルームで飲めるという地産地消にトキメキを感じてしまいます。
さらにビール醸造の際に出た麦芽カスは栄養たっぷりの肥料として畑にまかれ、次の作物を大きく育てます。このサスティナブルな自然の循環がたまらなく好きなのです。
フレッシュホップのお風呂に入る贅沢時間
ホップジャンキーならば一度は体験したい「ホップ風呂」。
はい、ここで味わえます。それも収穫したてをすぐに冷凍した生ホップ(フレッシュホップ)で!
産地だからこそ味わえる究極の贅沢ですよね。
時間の予約は当日でOK。フロントで予約の名前を告げるとホップが詰まった布袋を渡されます。
さっそく体を洗ってから、ホップ袋と共にお湯に飛び込みましょう。
お湯に漬けてちょっと揉んでいると…ホップのグラッシーな香りが大爆発!
湯気と共に浴室いっぱいに広がります。んーーーーーーたまらん!
ぬるめのお湯にゆったりと浸かる私とホップ。これってドライホッピングかしら!?
全身にホップの香りをまとう幸福感。もうニンマリ、頬が緩みっぱなしです。
ホップは西洋では養生にも使用されているハーブ。
リラックス効果や不眠の解消、中性脂肪値や血糖の上昇を抑える効果もあります。
また女性ホルモン様物質であるフィストロゲンが含まれており女性の魅力度アップ、男性には育毛作用があるとかないとか…
清々しい香りにすっかり癒されてしまいました。
タップルームで外からも中からもホップに包まれる
ホップの香りを全身にまとったら、次は隣のブルワリー棟に移動しましょう。
扉を開けると、正面に貯蔵タンクがドーンとお出迎えしてくれます。
タップルームは右の扉の先。ボトルは7種類ほどで、土日祝日には3種類の樽生が頂けます。
(平日はボトルのみの販売)
早速、お勧めされたAbukuma Greenを注文。敷地内や委託している田村市の農場で取れた新鮮なホップを直ちに冷凍保存し、ビールに使用したフレッシュホップIPAです。それも毎回1種類のホップしか使わないというシングルホップビール。
マニアの心をつかんでいます。
今回はウィラメットというあまりに聞き慣れないホップですが、アメリカで多く栽培されていた品種。
みずみずしいホップの香りに、生のホップを齧ったときのような驚きと感動があふれてきました。
ホップの香りや味が主役になるよう、麦芽の風味は寄り添う程度の穏やかさ。
麦のキャンパスに生き生きと描かれたウィラメットホップの優雅な香りと牧草のようなグラッシーさ、飲み込んだ後はペッパーのようなスパイシーさも顔を出しました。
ホップガーデンブルワリーでは自然の循環・地球・宇宙の成り立ちである陰陽五行になぞらえてビールを造っています。スタイルの異なる「陰・陽・木・火・土・金・水」7種類の定番・準定番をベースに、地域の農産物などを使った季節商品が頂けます。
息を吸っても吐いてもホップの香り。
外からも中からもホップでととのいました。自然の循環にアリガトウ…合掌
まだまだ終わらないホップジャパンの楽しみ方
ととのった後はキャンプサイトでボトルビールを飲みながらのBBQ。
日が落ちると、空いっぱいに星々が輝きます。
阿武隈高原は福島県内でもとりわけ澄み切った美しい空気のため、「天体観測の宝庫」ともいわれており、美しい星空を眺めながらうっとりとできます。
ホップの葉が生い茂る初夏、土と緑の香りに包まれて見上げる星空はさぞかし素敵でしょう。
この大自然を活かし星空とビールを楽しむ「星空観望会」や、「ホップの摘み取り体験会」などのイベントも開催されています。
この場所を運営するのは、株式会社ホップジャパン。
クラフトビールを軸にして地域で循環する持続可能な産業をつくることを目標に活動しています。
地元で栽培されたホップをふんだんに使ったビールを造ることで、1次産業から6次産業化に1つの地域で連鎖させ、「人」×「もの」×「こと」を繋ぎ沢山の笑顔を生むことが彼らのミッション。
自然を活かした体験会やキャンプ場の運営で遠方からも人を呼び込み、地域の産業や雇用を増やすことで、人々が生き生きと暮らしていける循環型のコミュニティを目指しているのです。
ホップジャパンの今後の展望を、スタッフの橋本大輝さんに聞いてみました。
「モルトカスや食べ残しを再利用した野菜畑や畜産、ミード(蜂蜜酒)づくりも計画しています。ヤギを飼いアイスやチーズなどの加工品、またそれを活用したレストランなどができればいいですね。施設内で作物の循環に挑戦していきたいです」とのこと。
橋本さんはキャンプもお好きなのだとか。
大自然の中でビールをたっぷり飲んで、星を眺めながら焚火をして、テントで眠り、翌朝清々しい空気の中で目覚める。この飲兵衛循環もいいですよね。
とはいえ、「グリーンパーク都路まで行くのは遠いよー」という方に朗報!
ビールはWEBショップから購入できますよ。(冷凍生ホップも!)
そして、2023年4月28日に、JRいわき駅の商業施設S-PAL内に直営のビアバー「ホップジャパンTapRoomいわき」がオープンしました。
醸造所直送のフレッシュなビールが飲める上に、ハンドポンプで特別なリアルエールも飲めるのだとか!
この夏は、素敵な環境ペアリングを見付けに旅をされてはいかがでしょうか。
ホップガーデンブルワリー
福島県田村市都路町岩井沢北向185-6
グリーンパーク都路内
https://hopjapan.com/park/
「Abukuma GREEN」
醸造所:ホップガーデンブルワリー
スタイル: フレッシュホップIPA(シングルホップシリーズ)
アルコール度数: 6.0%
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。