Beer&Life Style Fashion編 ビールとポロシャツのペアリング
ビールのペアリングはフードだけではない。
どんな装い=ファッションで、どんなビールを飲むか……。
それが「ビールとファッションのペアリング」である。
IVY、渋カジなんてのが青春だった世代には懐かしく、若い世代には新発見になる企画。
第11回目は【ビールとポロシャツ】のペアリングだ。
ポロシャツを着たらセゾン
目次
ポロシャツを持ってない人っている?
ポロシャツって「あまり着ませんね」って人でも、1着ぐらいは持っているアイテムだと思う。
スポーツチームのユニフォームだったり、イベントのスタッフ用として支給されたりしたものがどこかにあるに違いない。(そんなのはとっとと廃棄した! という、筋金入りのポロシャツ嫌いの方はこの先は読まないで良いだろう。笑)
ポロシャツはダサい?
誰しも持っているポロシャツだが、反面「扱いづらいファッションアイテム」と思われているふしもある。
なぜならば、「ポロシャツ」を検索するとかなりの確率で「ダサい」という言葉が連なって出てくるからだ。
その理由は
・ガキっぽい=制服っぽい。
・オヤジっぽい=ゴルフウェアっぽい。
といったものだ。
ガキっぽいとオヤジっぽいという相反するダサさを指摘されると、もーどーすれば良いのか悩んでしまうところだが、そこをどのように乗り越えて着こなすかが腕の見せどころなのである。
ポロシャツの起源はポロではなくテニスだった。
ポロシャツの起源は、「ポロ競技で着用するシャツ」だと思っていたのだが、調べてみるとそうではなかった。
1920年代、紳士淑女のスポーツとされていたテニスでは白い”襟付きシャツ”を着てプレーすることが義務付けられていた。
当時、白い襟付きのシャツといえば正装用の物が多かったが、「これじゃー、プレーしづらいよぉ」と、ポロ競技で着用されていたニットの丸首シャツに襟を付けて着用する選手が現れた。
ちなみにその選手の一人が、ルネ・ラコステで、彼はウエアの販売も手がけ、この「襟付きニットシャツ」は人気アイテムとなった。
で、これを見たポロ競技者達が「じゃ、俺達も襟を付けようぜ」となり、ポロシャツと呼ばれるようになったとのことだ。
オヤジ臭さ=ゴルフウェアっぽさを消す方法として、テニスやポロといったアクティブ&爽やか系スポーツの雰囲気を取り入れると良い。
マリンスポーツの雰囲気を出すのも妙案だ。
ロンドンのサブカルで人気のポロシャツ。
ダサいと言われがちなガキっぽさ=制服っぽさを消す方法は、優等生ではなく「ちょっと本流から外した」感じでまとめたい。
そこで、参考にしたいのがロンドンで流行したモッズ・ファッションだ。
映画「さらば青春の光」でモッズ族が着ていたフレッド・ペリーのポロシャツを選んでみよう。
イギリス、ストックポートに生まれたフレドリック(愛称はフレッド)・ペリーは卓球とテニスの名プレーヤーだった。
卓球では世界チャンピオン、テニスではウィンブルドンを3度制し、デビスカップのキャプテンを務めたが、綿紡績工の息子で、テニスは公営コートで独学で身につけたという庶民派だったことからサブカルチャーを愛する階層の共感を呼んだ。
また、夜通しクラブで踊るのにニットのポロシャツが適しているという理由もあり、 モッズやパンク、スキンズといった連中がこぞってフレッド・ペリーのポロシャツを着るようになった。
でも、やっぱりポロシャツはポロっぽく。
なぜ、テニスシャツやクラブダンスシャツという名で広まらなかったのか不思議なのだが、もはや全世界的にポロシャツはポロのシャツとして定着している。
しかし、この「ポロ」という競技を、実際に観たことがある日本人はどのくらいいるのだろう? ましてや、プレーしたことのある人は?
ネットで「日本 ポロ 競技人口」と検索すると「3人」と出た。
本当か? 2016年の資料とのことなので現在は状況が変わっているのか……。
ポロ競技自体は今回の主旨とは外れているので、それ以上のことは調べなかったが、一般社団法人日本ポロ協会という団体がある。2022年4月に法人情報が更新されているので、興味のある人はFBをチェックして欲しい。
しかし、なぜポロは日本ではあまり馴染みがないスポーツなのだろうか?
それにはいくつかの理由があった。
まずは競技場の広さ。
300ヤードx160ヤード、おおよそ270mx150mである。サッカー場の9倍だ。それも芝生で。
サッカー場を1つ作るのも大変な日本で、その9倍って!
もちろん、それは競技場の広さでしかなく、周りに余裕も必要だろうし、ロッカールームとか馬を繋いでおくところとか、なんかとてつもなく広い場所がないと作れない気がする。
調べてみると、北海道安平町にポログランドができたと聞いたので、その広大な場所を一度訪れ、この目で見てみたいものだ。
さらに、馬を用意するのも大変である。
1チームは4人で構成されているが、ルール上1人最低でも2頭の馬を用意しなければならない。が、実際には1人4頭以上用意するのが当たり前とのことなので、少なくとも16頭、本気でやるならそれ以上の頭数が必要となる。
そしてなによりも、巧みな乗馬の技術が求められる。
馬に乗って全速力で駆けながらホッケーみたいに球を打ち合うのだから。
海外の試合を、You Tubeでいくつか観てみた。
試合1(YouTubeへ遷移します)
試合2(YouTubeへ遷移します)
試合3(YouTubeへ遷移します)
う〜む、これはかなりハードルが高い。特に日本では。
でもやっぱり、ポロシャツって言うだけあってポロには関連づけたいよなぁ〜。
ポロ競技なら『ゴルフオヤジ臭』も薄まるに違いないし。
これって偏見?苦笑
ポロのマークはラルフローレンだけではない。
日本でポロと言えばポロ・ラルフローレンが有名だが、USポロアッスンやビバリーヒルズポロクラブ、U.S.グランドポロエキップメント&アパレルといったブランドもポロ競技をロゴにしている。
USポロアッスンは1890年に設立された全米ポロ協会のオフィシャルブランドで、ポロ・ラルフローレンは1967年にニューヨークでネクタイブランドとしてスタート、ビバリーヒルズポロクラブは1982年にカリフォルニアの大学生2人が始めたアパレルメーカーである。
あえてUSポロアッスンやビバリーヒルズポロクラブを着て、他人から「それって、ラルフローレンのパチモン?」と言われたいと思うのは、へそ曲がりってやつだろうか? 笑
ポロにセゾン
ポロシャツはポロというスポーツのイメージが色濃いだけにやはり『馬』のイメージを大切にしたい。
さらに、クラブでのダンスにしろ、屋外でのテニスやポロ競技にしろ、『汗をかくシチュエーション』が似合うウエアである。
そんなポロシャツに、どんなビールを合わせるか?
答えは、セゾンである。
セゾンと呼ばれるビールは、ベルギーの農家が各家庭で自家醸造していたものが起源だ。
寒い冬の時期に仕込み、暑い夏の農作業の合間や昼食時に飲むためのビールである。
当時は生水が危険だったため、煮沸工程があり、防腐効果のあるホップを使ったビールが安全な飲み物だった。
味わいは、もともと各家庭によって差があったので現在も幅はあるが、総じて、発酵度が高くドライで、心地よい酸味があり、スパイシーで、フルーティー、レザーライク(革っぽさ)、そしてホースィ(馬っぽさ)といった香りを探し出すことができる。
そう、馬っぽさだ。笑
ポロシャツには『汗をかく農作業の合間に飲む、馬っぽい香りのビール』=セゾンがお似合いなのである。
セゾン デュポン
デュポン醸造所は、ベルギー南西部エノー州(エイノー州とも表記される)にある。
穀倉地域であるエノー州は農家が多く、セゾンビール発祥の地と言われる。
デュポン醸造所は1844年からセゾンを中心に、古くから伝わる技術を大切にしたビールを造り続けている。
セゾン デュポンはデュポン醸造所を代表する銘柄である。
藤原ヒロユキ テイスティングレポート
杏色がかったゴールドに、しっかりとした泡がたち長く持続する。
フルーティでスパイシーな香りにホップの爽やかなアロマが重なり、そこに農家の納屋や馬の厩舎、天日干しされた稲わらといった野性味溢れるフレーバーを見つけ出すことができ、「あぁ、セゾンだなぁ〜」と頬が緩むこととなる。ヨーグルトのようなほのかな酸味も探し出せ、心地よい。
魚介類、チキン、チーズ、柑橘系デザートに合わせたい。
それでは、Cheers!
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。