[新商品情報]2024.12.27

マンガ「今日もビールでがんばらない」第1巻が発売&インタビューレポート

2024年5月24日から秋田書店が運営するWebマンガサイト「チャンピオンクロス」にて連載が始まった、
『今日もビールでがんばらない 〜ユイとケイのカンパイリセット〜』の単行本第1巻が12月19日に発売されました。
(以下画像はすべて原作者、阿羅本氏提供)

左:別府ケイ 右:ユイ・阿羅本(アラモード)が数々の店舗を飲み周ります!

 

アルコールを題材したマンガはいくつかありますが、ビールはまだまだ多いとは言えず、ビール好きには待望の存在です。
そこで、原作者の阿羅本景さんにインタビューを行いました。
そこでのやりとりを交えつつ、作品を実際に読んでみた感想をレポートしていきたいと思います。

『今日もビールでがんばらない』は、『はるかリセット』のスピンオフ

―:阿羅本さん、まずは初めて触れる読者の方もいらっしゃるかと思いますので、スピンオフ元の「はるかリセット」との関係性について簡単に解説をお願いします。

阿羅本:母体となった野上武志さんによる『はるかリセット』とスピンオフである『カンパイリセット』は、同じキャラクターが行き来するシェアワールド的な作品であります。
これは、『はるかリセット』に私が取材協力した際に生まれたキャラクターである「ユイ・阿羅本(アラモード)」を主役格にして、新たにビールの漫画を立ち上げたという流れがあるのですが、細かい整合性などは気にせずに、楽しい日常を模索する漫画として両作品を楽しんでいただければと考えております。

 

阿羅本さんを擬人化したかのようなキャラクター、ユイは作家でありながら漫画家の別府ケイを頻繁にビールに誘い、交流を深めていきます。

一人で煮詰まっているところに、飲みに誘ってくれる友人がいるのは嬉しいもの

 

―:発売から一週間が経ちましたが、反響はいかがでしょうか。

阿羅本: 都内のビール好きの方々以外でも、母体となった作品「はるかリセット」の読者の方もお買い上げいただいたようで、クラフトビール専門ではない方々にもお読みいただけてると感じております。
「ビールを飲む人ではないのですが、作品を楽しんでいます」という感想をいただくこともあり、原作者としては感謝はしきりでございます。

 

事実、チャンピオンクロスの方でもハートの総数が26000以上、星の総数も7000以上付いていたところ。
Amazonのレビューも4.9と好調なスタートを切っています。

 

一飲み手から制作者側へ

―:どういった経緯でこちらのコミックスを手掛けることになったのでしょうか。

阿羅本: 作家業のかたわらクラフトビールを趣味として飲み歩いておりまして、その経験からクラフトビールの登場するライトノベル『エクストラ・フォーリン・エールワイフ』(LINEノベル)や、クラフトビール紹介ムック『クラフトビール読本』(刊:ホビージャパン)を執筆させて頂きました。
そして新たに「クラフトビールで漫画を書こう」と思い『今日もビールでがんばらない』の企画・原作担当として活動を始め、秋田書店のチャンピオンクロス様にて連載で掲載頂くことになりました。

 

『クラフトビール読本』は阿羅本さんも大ファンである静岡県のWest Coast Brewingについてまとめられた本なので、West Coast Brewingファンの皆様には馴染みがあるかもしれません。

『クラフトビール読本』(出版:ホビージャパン)

 

―: 登場人物は女性が多いですが、ターゲット層など何か狙いがあるのでしょうか。

阿羅本:クラフトビールは男性がメインの傾向があるアルコールカルチャーですが、その一方で華やかで洗練されたイメージから女性でも好きで飲む、という方がたくさんいらっしゃいます。
そこで、女子二人の飲み歩きというポップなスタイルは「その両方の読者層に受け入れられるのではないのか?」という狙いがありました。

また母体となった作品『はるかリセット』は登場キャラクターは基本全員女性にする、という世界観があるので、スピンオフでもある当作はキャラクターが女性化している、作品スタイルの統一感のため、ということもあります。

登場キャラクターがビールを飲んだときに見せる蠱惑的な表情も、味への想像が膨らむ見どころの一つ

 

阿羅本さんの言葉通り、第1巻の主要キャラクターはほぼ女性で、皆一様に表情がとてもイキイキしているのが特徴的。
確かにビールはまだまだ男性が飲むイメージが強いので、登場人物が女性であるほうが相性が良いかもしれません。

波に乗ったり、ハチミツにまみれたりと度肝を抜くリアクションにも見ごたえを感じました

 

―: 実際の取材での苦労、または載せられなかったこぼれ話などはございますか。

阿羅本: 舞台となるお店は私は一度は行ったことがあるお店なので、その記憶だけを頼りに書こうとするとなにかシャンとしない。なのでその都度、取材で感触を確かめ直さないとモノになりません。実際に足と肝臓を用いて書いている漫画であることは、楽しくも大変であります。

載せられなかったエピソードといえば、第3話の新宿エールを見下ろすTOHOシネマ歌舞伎町のの等身大ゴジラヘッドですね。
版権にかかってしまうので描写NGになった・・・などがあります。

 

新宿に行かれた方であれば誰もが知る、あの場所が登場しています

フィクションという注意書きはあるものの、クラフトビール好きなら聞いたことがある店舗が多数登場しています。
もちろん、私も実際に飲みに行った店舗も。
知っている店舗は流石!と思われるチョイスですし、行ったことがある店舗には新たな発見があり再度訪問してみたくなりました。
というのも、読んでいて見入るほど、内装も外装もよく描き込まれているのです。
もちろん、ビールのラベルも。
実際に取材に行かれたという証左にもなっていますし、ビール愛が伝わってきます。
素晴らしい洞察力です。

 

紙媒体ならではの追加要素も

一読者の感想として、フードとペアリングについて特集された回が用意されている点や、
「クラフトビールは安くない」というセリフや、日本酒の酒類製造免許が降りにくい現状への言及など、日本のアルコール業界の良いところだけを紹介するわけではない姿勢に好感が持てました。

加えて、紙媒体ならではの魅力に「ユイ・阿羅本のなぜなにクラフトビール」というコラムが3つとあとがきが挿入されており、クラフトビールへの知見が広がることが挙げられます。

最後に作品自体は電子媒体で公開されているので、試し読みをしてから単行本を購入することができるのが有り難いのですが、
個人的には第1話「あなたとビールを好きになれそう?」の31Pにあるユイの言葉に、ハッとさせられました。
そこにあったのは、私自身、自分が活動している意味を代弁してくれたかのような一言です。おそらくマンガを通して阿羅本さんが伝えたいメッセージはこの一言に集約されているのでは、と私は見ました。

 

クラフトビールに最近興味を持ったけれど、どれから始めてみればいいかわからない。
そんな方には特にピッタリではないかと思います。
主人公が女性なので女性の方も入りやすいのではないでしょうか。
あなたもいっしょに、がんばらないカンパイ、してみませんか。

 

阿羅本さん、お忙しい中インタビューにご協力くださり有り難うございました。

 

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今日もビールでがんばらない~ユイとケイのカンパイリセット~

◆原作:阿羅本景

◆漫画:別所ユウイチ

◆発行所:株式会社秋田書店

◆掲載サイト:チャンピオンクロス

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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

1 Dozen(わんだーす)

ビアジャーナリスト/ビアジャッジ/ミュージックコーディネーター

一本のビールとの出会いから人生が狂い、世界中のビールを飲み比べるようになる。
ビール嫌いを克服できた自分と同じように、
ビールが苦手な人をこの世界から救うために活動を決意。
麦とホップと酵母と音楽と狂気を武器に独自の視点で執筆することを誓う。

■IBC、JGBA参加ビアジャッジ、びあけん2級所持。ビールセミナー開催、ビールメーカー官能チェック案件経験あり
■調理師免許所持
■年間レビュー400銘柄以上継続
海外生活、旅行経験から国内クラフトビールだけでなく世界のビール事情にも知識あり
様々な音楽、世界の料理にも広く触れており、
過去には飲食店へのBGMプレイリスト提供やビールのペアリングイベントも実施
知識を活かしビールと音楽や料理をペアリングするシリーズをjbja公式X(旧twitter)などにて定期連載中

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