チェコホップ協会ROSA氏インタビューvol.2 チェコのホップ 栽培から輸出
2013年11月12日、チェコのホップ協会代表であるZdeněk Rosa氏にインタビューいたしました。今回はvol.2として、チェコでのホップの栽培から輸出までの流れについてヒアリングしたことをご紹介します。
<vol.2 チェコのザーツホップ 栽培から輸出>
― 栽培〜収穫
ホップは多年草で、1株で15年から20年は毎年成長し収穫することができます。ホップを栽培するのに適した場所は、種類にもよりますが、周辺に川や小さな谷があるような、なだらかな丘陵地帯が育成に適しているとのことです。ホップの味や香り、オイルのバリエーションは、ホップ品種の違いによるものだけではなく、育つ土地の環境(気候や地形、土壌など)が大きく作用しています。
ホップは種類にもよりますが、およそ3mから7mぐらいの高さまで成長します。ザーツホップは比較的収穫の早い種類で、7月に花が咲き始め、8月の上旬に毬花ができます。そこから約3週間、香りやオイルが成熟するのを待って、8月下旬にいよいよ収穫となります。ちなみに、日本で代表的なホップ品種信州早生などの、東北や北海道での収穫タイミングとほぼ同時期です。
収穫は人手も使いますが、機械を使って収穫します。収穫したホップは、すぐに55〜80℃の低温で8時間ほど乾燥させます。乾燥後、挽いてプレス(ペレット状)し、冷蔵で保管します。
― 品質保証から輸出へ
ホップは農家からCHMELAŘSTVÍという会社に集められ、そこで品種、品質、量などを検査しデータ化して登録し、CISTA(Central Institute for Supervising and testing in Agriculture)とEUのPDO(Protected Disignation of Origin)の保証を取得してマークを貼付し、保証書が添付され、晴れて商品となります。(前回レポート参照 https://www.jbja.jp/archives/7460)
日本のホップ輸入量の約3割がチェコ産(2012年実績)です。
チェコのホップ農家や醸造所が、何杯でも飲み飽きないビールを飲んでほしいという思いを込め育ててきたというザーツホップ。アルファ酸とベータ酸のバランスの良いこのホップは、“ビールと言えば、あの味”と多くの日本人が連想する美味しさの、ひとつの源になっていると言えます。それは、こうしたブランドと品質の管理の歴史に支えられているのだということを伺うことができました。
次回は、近年の栽培状況と今後の品種開発についてレポートします。
チェコホップ協会ROSA氏インタビューvol.1はこちら
チェコホップ協会ROSA氏インタビューvol.3はこちら
☆当日一緒に取材いたしましたビアジャーナリスト奥村 剛さんによる、インタビュー動画もぜひご覧ください。→https://www.jbja.jp/archives/7536
ビアジャーナリスト二期生 宮原佐研子
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。