枕草子的ビール考:春はヴァイツェン
■「やっぱり春は、ヴァイツェンよね」
先日、満開の桜を眺めていた友人がこんなことを口にした。
「ねぇ、春だからヴァイツェン飲もうよ!」
そうしよう、そうしようとすんなり同意したものの、ふと不思議に思った。なぜ春「だから」ヴァイツェンなのだ?
そのこことについて聞いてみると、「春の気温・湿度的にヴァイツェンの喉越しが合う感じがしたの。それと…冬だと気温が低いせいか、ヴァイツェンの甘味や風味が薄れるような気がして…」との答えが返ってきた。
調べてみると、確かに春限定のヴァイツェンとして販売しているクラフトビールメーカーもいくつかある。「やっぱり春はヴァイツェンだよね」というコメントも少なくない。
ヴァイツェンが持つバナナのような甘い香り、苦みが少なくとろりとした口あたり、小麦の風味がほんのり感じられる優しい感じ。ヴァイツェンそのものが、命が芽生えほころぶ春の陽気を思わせるのかもしれない。
■季節の「よい」ビールに想いめぐらせる
さて、清少納言の枕草子・第一段では、「季節ごとに趣のある(よい)時間帯」について語られている。思いっきり要約するとこうなった。
春はあけぼの。
夏はよる。
秋は夕暮。
冬はつとめて(早朝)。
がよいのだと。
では、これをビールに当てはめてみると、「季節ごとに趣のある(よい)ビアスタイル」は以下のようになるのではないか。
春はヴァイツェン。
夏はピルス。
秋はメルツェン。
冬はボック。
枕草子は、「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく、山ぎはすこしあかりて…」と続いていく。では枕草子的ビールの場合は? 続きはうんうん唸りつつ、おいおい考えてみよう…。■
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