スターバックス創業者によるレッドフック「ESB」―ビアレポート(95)
コーヒーも好きな私です。
コーヒーの世界では、「サードウェーブ」という波がアメリカから日本に入ってきています。詳しく書くのは控えますが、「サードウェーブ」はシングルオリジンや浅煎りといった特徴があり、使っている豆の品種の特徴がわかりやすくなっているのです。ビールでもシングルホップのビールがあったりしますが、飲み比べるとホップの特徴がわかりやすいですよね。
さて、今回はアメリカのレッドフック「ESB」です。
レッドフックは1981年創業のシアトルにある醸造所。マイクロブルワリーとしては、アメリカでも早い時期の創業です。大手ビールとの差別化が受け入れられ、レッドフックは順調に生産量を伸ばしていきますが、工場を拡張しても拡張してもあまりの人気に生産量が追いつかなくなり、1994年からはアンハイザー・ブッシュと業務提携するまでに。そこからレッドフックのビールはアメリカ全土で売られるようになっていきました。
ちなみに、レッドフックの創業者2人のうちの1人はゴードン・バウカーという人物。この人物は「スターバックスコーヒー」の共同創業者でもあります。ちょっと冒頭のコーヒーの話に戻りますが、「サードウェーブ」というからには「ファーストウェーブ」「セカンドウェーブ」という波もありました。その「セカンドウェーブ」とはエスプレッソやカフェラテを特徴とする、「スターバックスコーヒー」に代表されるようないわゆるシアトル系コーヒーの波ですね。レッドフックはそのつながりを生かして「スターバックスコーヒー」の豆を使ったスタウトを造っていたこともあります。
レッドフックの「ESB」は、イギリスの伝統的なESB(Extra Special Bitter)スタイル。やさしい口当たりでカラメルモルトの甘味が感じられます。「Bitter」とは言うものの、IBUは28で甘味もあり、IPAのようなガツンとくる苦味ではありません。落ち着いてゆっくり飲みたくなるビールです。
なお、ゴードン・バウカーについてもうひとつ付け加えると、彼は「シアトル・ウィークリー」という新聞の創業にも関わっています。新聞はともかく、ビール、コーヒーにつきましてはいつも大変お世話になっております。
【BEER DATA】
ESB
生産地:アメリカ
醸造所:レッドフックブリュワリー
スタイル:ESB
アルコール度数:5.8%
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。