[テイスティング]2015.8.6

Beer Joint ~Cheers for Tomorrow~ つい目で追ってしまうような水色とは。

Beer Joint ~Cheers for Tomorrow~「つい目で追ってしまうような水色とは。」

「夏服を着た女たち」という短編小説がある。

ニューヨーク・ブルックリン生まれの作家アーウィン・ショー(1913~1984)の作品で、「ニューヨーカー短編集1」(早川書房)に常盤新平の翻訳でおさめられている。この短編集を手にしたのは、まだ学生の頃。洗練されたイメージに押しつぶされそうになりながら、いくつかの物語をよんだ。

休日、ワシントン・スクエアに来た夫婦が、午前の早い時間お酒を飲んでいる。

夫は、ニューヨークの街を華やかに歩いている女性たちをつい目で追ってしまう、しかもそのことが大好きだと言う。妻は、その夫を泣きながら責める。

その妻の後ろ姿を、「なんて素敵な脚なんだろう」と夫はじっと見つめている。

「夏服を着た女たち」は実際には登場しないのだが、爽やかなタイトルからうかがい知れない人間模様がさっぱりと描かれていた。

そのショーが生まれた地にあるブルックリン・ブリュワリーの「サマーエール」。

ブリティッシュモルトがパンのようなほのかな甘味を生み出し、アメリカとドイツのホップが早朝開いたばかりの花のようなアロマと清涼感を感じさせ、バーベキューやビーチなど、暑い夏の一コマにピッタリなのである。

何より、青空のなか真っ赤な太陽が輝くようなこのラベルに、つい手がのびてしまう。

この短編が書かれた時にはまだブルックリン・ブリュワリーは存在していない。

もちろんショーがこのサマーエールを知る由もないが、彼女たちが着ていた夏服はこんな透けるような水色だったのかもしれない。つい目で追ってしまうような。

 

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~Cheers for Tomorrow~明日への乾杯

ブルックリン・サマーエール/Brooklyn Summer Ale

醸造所:ブルックリン・ブリュワリー(アメリカ合衆国)/Brooklyn Brewery

スタイル: サニーペールエール

アルコール度数:5.0%

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

松下 奈津子

ビアジャーナリスト

アメリカンクラフトビールの素晴らしさに出会い、さらにビール熱がたかまる。もっとたくさんの方々に「ビールの魅力」を知ってもらえるよう日々奮闘中。恐竜とローリングストーンズも大好き。大阪、福岡そして最近関東圏に引越して、活動範囲もさらに広がる!

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