[イベント]2011.6.22

ベルギービールのカタカナ表記(2)

ベルギービールのカタカナ表記(1)の続きです。
今回は具体的な例(自社の直輸入商品で)を挙げてご紹介します。

■Brugse Zot⇒ブルッグス・ゾット

現地ではブルッフュスまたはブルッフスのように発音します。(そのように聞こえます)
ただこのgがくせもので音声学的には摩擦音という発音になります。
「ブルッフュス」とも「ブルッフス」とも「ブルックス」とも「ブルッグス」とも聞こえますし、地域によってもその発音の仕方に差があるため、カタカナ表記を決めるのに大変苦労しました。
Brugseは「Bruggeの」という意味ですが、この地名も日本人には現地発音の「ブルッヘ(これも単なる”ヘ”という発音ではありません)」ではなく、「ブルージュ」として知られていることを考え、発音の似ている「ブルッグス」という表記にしました。

■Slaghmuylder⇒スラッグムルダー

これも上記のブルッグス・ゾットと似ています。
現地ではスラッフムルダー、スラッフミュルダー、スラッグムルダー、スラッグミュルダーのように発音します。(そのように聞こえます)
日本人の発音のしやすい、スラッグムルダーを採用しました。

■De Ryck⇒デ・ライク

現地では「ドゥ・レイク」のような発音をします。
私もベルギーでは「ドゥ・レイク」と言っています。
ただこの醸造所は、多くのベルギービールファンが読んでいると思われる、「マイケル・ジャクソンの地ビールの世界」のゴールデン・エールの項に登場しており、すでに「デ・ライク」と和訳されていることから、整合性があってわかりやすいのでは、という意図からあえて「デ・ライク」という表記にしました。

■Dubbel・Tripel⇒ダブル・トリプル

これもベルギービールにはよく使われていますね。
現地では「ドゥベル」「トリペル」のように発音します。
ただ「ドゥベル」の発音について、日本人にはbとvの発音の仕方に区別が無いため、ベルギービールの銘柄にもある「Duvel」と混同しやすいこと、またこれまで輸入されているベルギービールには「ダブル」「トリプル」という表記がつけられすでに定着していると考えられることから、当社でも「ダブル」「トリプル」という表記にしました。

なかなか面白くないですか?
このお話は次回でおしまいにしたいと思います。

オランダ語フラマン語ベルギービール

※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。

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この記事を書いたひと

三輪 一記

一般財団法人 日本ベルギービール・プロフェッショナル協会 代表理事

1967年、名古屋市生まれ。
1990年、関西大学商学部卒業。26歳のときにベルギービールと出会い、以来ベルギービールを愛し、仕事でというよりライフワークとしてベルギービール普及に情熱を傾け、毎年ベルギーを訪れている。
2001年よりベルギービールに関する講座、セミナー活動をスタート。
2008年より愛知大学、愛知淑徳大学等でベルギービール講座開講。
「ベルギービールを通じて日本とベルギーの架け橋に」というコンセプトのもと、
講演やセミナーにも積極的に取り組んでいる。
共著に『ベルギービール大全』(三輪一記+石黒謙吾/アートン)、
『ベルギービール大全<新>』(三輪一記+石黒謙吾/アスペクト)。
一般財団法人 日本ベルギービール・プロフェッショナル協会 代表理事。

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