Beerに惹かれたものたち 1人目 シニア・ビアジャッジ佐藤翔平
ここ数年、クラフトビール人気の高まりとともにビール業界で活躍する人が増えてきている。ブルワー以外にもビールの魅力を広めようと日々活動している人たちがいる。そのような人にスポットを当てていく「Beerに惹かれた者たち」1人目はシニア・ビアジャッジ、ビアソムリエそして、ビアジャーナリストとしてペアリングの魅力を伝えている佐藤翔平氏にスポットを当てていく。
ビールとの出会い
「飲食業界へ就職を決めたときにワインや日本酒より種類が少なくて楽だろうと。安易なビール入門でした。しかし、いざビールに触れてみると、その豊富さに驚きました」と佐藤氏にビールとの出会いを訊ねるとこのような答えが返ってきた。
と同時に「明確な味わいの多種多様さに惹かれました」とビールがもつ奥深さと魅力を感じることにもなった。
はじめはビアスタイルやどの銘柄が有名なのかもわからず、ビールを知るためにとりあえず書店で購入した本を片手にビアバーや酒屋を巡り、探求の日々を送った。
そして、ビアパブ ベアレン材木町店で運命の1本に出会う。それがドゥシャス デ ブルゴーニュだ。「その上品な香りと甘酸っぱい優美な味わいに、私の中の『ビール=苦いもの』という壁が吹っ飛ばされました」
そこからは持ち前の好奇心もあり、まだ味わわぬビールを求めて、現在も探求の日々を送っている。
ペアリングからビールの魅力を伝えていく
佐藤氏が行っている活動の1つにペアリングがある。なぜ、ペアリングに関心をもったのかを訊いてみると「単純に食べるのが好きだから」ということが前提にあるという。そこにどうしたら多彩なビールに興味をもってもらうか。そのために自分が提供できる価値は何かを考えた末、自分が他の人と差別化して提供できることが料理だった。
そして、家でも楽しみたいと思える美味しさや楽しみ方を飲み手が知っていることが大前提とも思うようになった。
「ビールの良さ自体を伝えるのはもちろんですが、食事や晩酌においてもこんな美味しい組み合わせや楽しみ方があると伝えていくことも普及の近道になるんじゃないかなと。それが私にとってのペアリングだと考えています。なので、私のペアリング記事は、家でもやりたいと思えるレベルを想定しています」料理人の顔をもつ佐藤氏だからこそビールと料理が創りだす相乗効果を伝えることができる。これこそが彼の武器なのだ。
責任をもつために取得したビアジャッジ
佐藤氏は今春、ビアジャッジを取得したが、これについては次のように語ってくれた。
「個人ブログであれば、好き勝手書いても問題は少ないとは思います。しかし、ビアジャーナリストとしても記事を書く以上、読者はある程度の信用をもって記事を読むと思います。不適切と思われる内容が、『あの人が書いているから』、『ここに載っているから』こういった理由で信じられるのは嫌です。特に私たちの一言で、ブルワーさんの一生を左右するかもしれないですから。ビアジャッジ取得はけじめでもあります」
責任をもつ。そのためには客観的な視点をもつ技術が必要と考えるようになる。そこで、取り組んだことがビアジャッジの取得だった。佐藤氏はティスティングやペアリングは官能的で明確な解答がないからこそ、少しでも一般解に近づけること。または表現の仕方に注意を払っていると信念を語ってくれた。
ビールを的確に表現すること。それはビールを楽しんでもらう人たちへの愛を感じた。そして、これからもビールの魅力を伝えていくため、探求する日々が続いていく。ビール業界でますます期待のかかる1人だ。佐藤氏が提案するペアリングの世界をぜひ体験してほしい。
★佐藤氏ペアリングイベント情報
次回、4/29開催予定 第5回ペアリングラボ~ボックで心身ともに深々からぽかぽか陽気に~
※追記 記事公開後、佐藤氏よりイベントが諸事情により中止のご報告がございました。申し訳ございません。
◆佐藤翔平氏プロフィール
飲食店勤務の傍らティスティングを行い、その記録は650を超える(2016年3月現在)。日本地ビール協会(JBCA)認定シニア・ビアジャッジ、及びジャパンビアソムリエ協会(JBSA)認定ビアソムリエでもある。ペアリング大好き。「正しく、気取らず、実になる」をモットーに記事を執筆中。
●日本ビアジャーナリスト協会 佐藤翔平氏記事一覧
https://www.jbja.jp/archives/author/sato
●Beer365記事一覧
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。