ワールドビアカップ2016受賞者の声 【前編】
現地時間5月6日にワールドビアカップ(以下、WBC)2016が開催されました。既報の通り、日本からは9つのブルワリーが賞を受賞いたしました。
今回、前後編に分けて受賞の声をお届けいたします!
目次
ハーブ&スパイス部門 金賞 桜満開ラガー/シャトーカミヤ牛久ブルワリー
ビール造りを始めて間もなく、何か面白い素材を使ったビールを造れないかと、色々なアイデアを上司に提案しました。その中で、当時「桜の葉っぱ」を使ったビールは見たことがなく、新商品として個性的で良いではないか!ということで2011年より商品化に向けて検討を始めました。桜葉の素材やベースとなるビールのスタイルなど様々な条件で試作し、まるで桜餅のような香りの現在の商品に至り、2012年春 新商品として発売開始したのが「桜満開ラガー」です。今では桜の名所でもあるシャトーカミヤにふさわしい、人気の季節限定商品となりました。
今回、World Beer Cup 2016において、世界中から129ものエントリーがあったカテゴリーで金賞をいただけたことはとてもうれしく思っています。それだけでなく、日本特有の「桜葉の塩漬け」といった素材を使い、日本人の私たちにしか成しえない風味、バランス、センスが評価され、海外のジャッジの方々にも美味しいと思っていただけたことが、何よりもうれしく感動しました。
今後も「牛久」らしさを大事に、美味して楽しい、自分たちもお客様も感動できるビールを造り続けたいと思います。是非、たくさんのお客様にシャトーカミヤに遊びに来ていただけると嬉しいです。
【牛久ブルワリー 角井智行様、佐藤様】
セッションビール部門 銅賞 ゴールデンドラゴン/伊勢角屋麦酒
今回我々はビール造りの方向性の確認、またクラフトビールの盛り上がりを肌で感じるべくこのWBCに合わせて渡米させていただきました。
各社4品出品なので弊社は、ペールエール、ブラウンエール、ゴールデンドラゴン、ヒメホワイトの4点を出店させて戴きました。微かな希望を胸に抱きながらceremonyに臨みました。運良くGolden Dragonが Category:15 Session Beer で Bronze入賞させていただきました。
出品カテゴリーになると、息を飲みながらモニターを凝視していると弊社の文字が、、、。
両手を天に突き上げながら、大声で『オォーーーーー』っと叫んでしまいました(笑)
今迄の苦悩・苦労が一瞬頭をよぎりましたが、日本に残してきたスタッフの喜ぶ顔を思い浮かべながら、心地良い真っ白な気持ちで壇上に立たせて戴きました。
これも少数のスタッフ各々が頑張ってくれたお陰です。そして、会社としてそんな苦労・努力・ビールのレベルが上がった事を認めてもらい今回研修として、WBCの会場 フィラデルフィア、San Diego、オレゴン州 ポートランドを視察させて戴きました。社長に感謝しています。
追いつけ追い越せという心意気で醸造させていただいてますが、今回研修に行かさせていただいて思った事は、造るscene・飲むscene 本当に楽しんでるな! 『取り敢えずビール』じゃ無い。そのsceneにあった想いでビールと向き合ってるな! そう、『もっと楽しみながら造り・もっと楽しみながら飲む 』そんなクラフトの輪を広げていければと思います。
今後も引き続き宜しくお願い致します。
【伊勢角屋麦酒 Head Brewer 出口善一様】
エクスペリメンタルビール部門 金賞 有馬ジャパンエール/小西KONISHIビール
この度の受賞で小西酒造株式会社が醸造する「KONISHIビール」は、インターナショナルビアアワード(イギリス)、ヨーロピアンビアスター(ドイツ)、ワールドビアカップ(アメリカ)、これら世界3大ビールコンテスト金賞受賞(グランドスラム)を達成することが出来ました。これは「KONISHIビール」の品質が、世界に認められた証であり、大変光栄に思っております。
このビールを販売している有馬温泉は伝説では神代の時代から続いているという日本を代表する温泉です。歴史ある地にふさわしいビールとして、KONISHIビールの本業である日本酒の技術を基に醸造しました。日本酒とビールはユーラシア大陸の東西の全く異なる地域から発生したアルコール飲料ですが、発酵という点から考えれば驚くほど互換性のある技術です。洋の東西を問わずアルコール飲料を楽しみたいという人の心理、またそれを作り出す職人の考えは同じです。そこで日本酒とビールの融合的な飲み物を造りたいと考えました。
日本のクラフトビールは1990年代の規制緩和から始まっております。初期には欧米技術者から教わった通りに造っていたビールも、20年間欧米の技術を基に各社が創意工夫を重ね、一定の評価をされるレベルに高まっていると思います。
創業当初のKONISHIビールは、ベルギービールの醸造技術が基本となっていました。有馬麦酒ジャパンエールは、「和」をテーマとして、日本酒とベルギービールの技術や思想両方を取り入れて開発されました。
自動温度調節による機械的な温度制御による発酵では無く、仕込み毎の状態を見極め、技術と経験により酵母がより良く発酵できる環境で醸造しています。さらに六甲長尾山系の伏流水と酒造好適米山田錦を使って、清酒酵母と清酒技術をもって醸した「ふくよか」な香りの中に爽やかな風味をプラスしています。
今回このような栄誉ある賞を頂いたことに感謝申し上げます。特に今回はエクスぺリメンタルビール部門「実験的」つまり「新たなチャレンジをしているビール」に対する評価として、日本発のカテゴリーであるジャパンエールに対して評価を頂いたのではないかと考えています。
これもひとえに皆様方のご支援の賜物と感謝申し上げますと共に、これからも今まで以上にお客様にご満足いただける商品づくりを目指してスタッフ一同精進してまいります。
今後とも皆さま方のご支援のほど宜しくお願い申し上げます。
【小西酒造 クラフトビール事業部 辻巌様】
エクスペリメンタルビール部門 銅賞 オイスタースタウト/いわて蔵ビール
今回、2008年から久々(8年ぶり)にワールドビアカップ受賞をいただきました。これも多くのいわて蔵ビールを支えていただいているファンの皆様はじめ、支えてくれる多くの人のおかげだと思います。ありがとうございます。
今回も受賞したのも「牡蠣のスタウト」です。これが受賞したことにメダルの色以上に嬉しく興奮しました。というのも、いわて蔵ビールを通して地域の素晴らしさを伝え、岩手や一関に関心を持っていただくことが私たちの目的だからです。
私たちの牡蠣のスタウトは隣町の陸前高田広田湾の牡蠣を使用しています。牡蠣を養殖している漁師さんに電話すると、プリプリの三年物の採りたての牡蠣が届けられます。その牡蠣の身も殻も使用しておいしい黒ビールを醸造します。広田湾の牡蠣養殖は、山の植樹から行うことから始めています。豊かな森を形成することが豊かな海をつくり、美味しい牡蠣を育ててくれます。震災で一時壊滅的な状態だった陸前高田の牡蠣の養殖も徐々に復興しています。そしてまた美しい森と海が見えてきます。そんな牡蠣を使用しているので他の地域では出せない味ができるのだと思います。
開発当初(2004年)は、漁師さんたちにも何をつくるの?みたいな感じでした。でも今回の受賞でその方々も喜んでお祝いのメッセージをいただいたのがとてもうれしいです。本当はこちらが先にありがとうを伝えなければいけなかったのですが・・・
今回の受賞をきっかけに、ビールだけでなく岩手の自然や環境を見にきていただければ嬉しく思います。
ビール醸造というのは、単に醗酵技術だけでなく、ビールを生み出す環境にも大きく影響されます。ビールの大半を占める水、水は豊かな山と川からできてきます。
そして今回の受賞は、私たちのビールはたんなるいわて蔵ビールだけでなく岩手の自然も含めて認められたのではないかなぁと勝手に解釈し、スタッフ一同喜んでいました。
いわて蔵ビールはまだまだ道の途中ですが、この賞が私とスタッフと地域の人の力、支えになったのは確かです。そして、最後にお伝えしたいのは、この20年間ビール醸造を継続して行うことが苦難だった時期が何度もありましたが、常に前を向いて進めることが出来ております。これは、提供する飲食店様、酒販店様、飲んでいただけるファンの皆様の支えによるところが大きいです。本当にありがとうございます。
これからも何卒宜しくお願いします。本当にありがとうございます。
【いわて蔵ビール 佐藤航様 後藤孝紀様】
前回よりも日本のブルワリーの受賞数も増えてきています。世界で評価されるのはとても喜ばしいですね。
今後も美味しいビールを醸造していただき、さらに受賞されるブルワリーが増えていってほしいと思います。
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。