宅ビアさんの今宵飯(13)~ ブルーチーズに合うビアソースはどちらか? ~ 独歩ピーチ ピルス VS Timmermans Pêche
お家でビールを楽しむ「宅ビア」の皆様を応援しようと、ビールと小料理をペアリングする本連載。
今回は、最近気になっていた議題を…。
それは
【ブルーチーズと合うビアスタイルは何か?】
という問いである。
一口ブルーチーズと言っても種類は様々だが、着目すべき特徴としては
1. ねっとり濃厚な口当たり
2. 強めの塩味と青カビ由来のピリリとした辛味
3. 青カビ特有の強い芳香
で皆様と認識は違わないと思う。その強い個性で好き嫌いが分かれるのもそうだが、それにどうビールを合わせるかが難しい所だ。
ブルーチーズのクセを抑えるのに「ハチミツ」を付けるという方法があるのはご存知だと思う。
そこで今回はそれをヒントにこちらの二つのビールで実験してみた。
「 独歩 ピーチピルス 」と 「 Timmermans Pêche(ティママン ペシェ) 」である。こちらをそれぞれソースにしてかけてみる、という提案だ。
どちらも桃を副原料としているが、前者はクリーンで甘い桃の風味が余韻まで広がる。後者は甘味の中にも酸味や奥行きを感じる味わいだ。これらがブルーチーズと合うのか、そしてどちらがよりマリアージュするのか…
ちなみにその「ペシェソース」は簡単。キッチンドリンカーを演じながらも作ることができる。
まずは、グラニュー糖に微量の水を加え、火にかける。
グラニュー糖が溶け、泡が大きくぶつぶつしてきたら、ビールを加えて…
水分をある程度飛ばしたら完成だ。
それでは、ブルーチーズにかけて食べてみよう。バケットにチーズを塗って、ソースとともに一口。
まずは「独歩 ピーチピルス」から。
ソース自体もモモの甘味をストレートに感じ、砂糖にモモの香りが乗っているような感覚だ。
チーズの塩味と辛味はソースの甘味で、かつチーズの香りはモモの香りで「軽減」された(塩味で甘味が強化され相対的に甘く感じた)。ソースの下地のおかげでビールも抵抗なく入る。「チーズを包む感覚」、とでも言うのだろうか?バケットにソースがしみるとシリアルのようで、お菓子に近い食べ心地だ。
お次は「ティママン ペシェ」を。
ソースは甘味の中に酸味が効いていて、モモの香りも熟したような丸みのある印象を受ける。
食べ合わせた感覚は、チーズを包むというよりは、「交わっている」に近い。ソースやビールの甘酸味がチーズの塩味のカドを落としながら、辛味をなだめる。ビールを口に通した後もチーズの発酵した風味は穏やかに持続しているが、中でも発酵「臭」とも取れるチーズの独特の風味はかなり抑えられた。ランビックのイースティな風味、モモや他のエステルの香りに絡み合い、よりビールと料理の一体感を感じることができた。
結論として、個人的には「ティママン ペシェ」がより良き友。ブルーチーズをなだめながらもその独特の余韻を楽しめる魅力がある。例えるならば、「独歩 ピーチピルス」とはジャムをパンに塗って食べるような、「ティママン ペシェ」とは果実を練り込んだパンを食べるの感覚でよりまとまりを感じた。逆に言えば、ブルーチーズの風味が少し苦手なら、よりストレートにチーズの味を覆いこむ「独歩 ピーチピルス」のソースと共に召し上がるのがおススメだ。
ペアリングという科学と官能を併せ持つ世界は、本当に奥が深いと思わせる実験だ。
よって言葉では表現しきれない部分は…ぜひ皆様も試してみてほしい。
お読みいただいた皆様に感謝を込めて。
-Beer profile-
商品名 : 独歩 ピーチピルス
生産国 : 日本
醸造元 : 宮下酒造株式会社
アルコール度数 : 5.0%
原材料 : 麦芽(使用率50%以上)・ホップ・ピーチ果汁・香料
-Beer profile-
商品名 : Timmermans Pêche
生産国 : ベルギー
醸造元 : ティママン醸造所
アルコール度数 : 4.0%
原材料 : 麦芽・ホップ・小麦・糖類・着色料(カラメル)・酸化防止剤(ビタミンC)・ピーチ果汁、香料
【レシピはこちら】
ブルーチーズのペシェソース添え
【材料(1食分)】
・ブルーチーズ 25g程度
※今回は「ゴルゴンゾーラ ピカンテ(製造者:株式会社東京デーリー)」を使用。
・バケット 適宜
・フルーツビール 10cc
・グラニュー糖 10g
※分量は目安です。お好みでご調整ください
【作り方】
1. グラニュー糖と少量の水を火にかける。泡がぶくぶくしだしたら、フルーツビールを加え再度煮詰める
2. 少し粘度が出てきたら火を止め、適度に冷ます
3. 用意しておいたチーズとバケットとともに召し上がる
【Back Number】
宅ビアさんの今宵飯(12)~ よなよなエール × シシャモのコンフィ ~
https://www.jbja.jp/archives/13024
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※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。