【手軽に牛料理のペアリング】コンビーフを使ったリエットと英国ビールと。 「宅ビアさん」の今宵飯(17)
■昔ながらの変わらない伝統技法を守る醸造所。
お家でビールを楽しむ「宅ビアさん」へ美味しいひとときを。
お手軽に作れるペアリングをご紹介する本連載。
本日のビールはイギリス北部ヨークシャー・タドキャスターに位置する「Samuel Smith Brewery(サミエル スミス ブルワリー)」が造る、「Samuel Smith NUT BROWN ALE(サミエル スミス ナッツ ブラウンエール)」です(以下、ナッツ ブラウン エール)。
同ブルワリーは古い醸造所の建物を現役で使用しています。同所HPによれば、ヨークシャーでは最も古い醸造所なんだとか。仕込み水も1758年から使われている井戸からくみ上げており、地上から85フィート(約25メートル)下の地下水を用いています。伝統的な造り方を忠実に守りつつも、有機栽培原料を使ったビールの醸造などラインナップも充実。日本では2-3種類ほどしか見かけませんが、フルーツビールやサイダーも造っています。
同所のもう一つのこだわりとして、エールやスタウトは全て【stone Yorkshire squares】という発酵システムを採用しているところ。分厚い粘板岩(スレート)でできた解放型の発酵槽があり、それと19世紀からずっと使ってきた酵母が組み合わさることでビールにより力強い味わいを与えることができるそう。
その中でもナッツ ブラウン エールは同地方の伝統的なスタイルでもある「イングリッシュ・ブラウンエール」。
カカオやナッツの油を抽出したような、赤ワインのディーゼル香にも近い優雅なアロマ。ライトブラウンの液を一口入れると麦芽の香ばしい味わいの後に、次第にホップの苦味が開花。余韻には樹木や枯葉のようなアーシーな一面ものぞかせます。
■赤ワインというキーワードから牛肉を使います。
今宵飯の第1回にて、「シーチキンのリエット」をご紹介しました(-こちらを参照-)。でもこれくらい深い風味をもつのなら、シーチキンじゃ物足りません。
そこで本日は、「コンビーフ」を使ったリエットです。
以下、作り方。
【材料(1人前)】
・コンビーフ 100g
・牛脂 5g
・塩 1g(コンビーフの塩味に合わせて調整)
・砂糖 少々(コンビーフの塩味に合わせて調整)
・黒コショウ 少々
・おろしニンニク 2g
・ナツメグ(or クミン 等) 少々
・オリーブオイル 10cc
・赤ワイン 60cc
・バケット お好みで
■やや癖のあるコンビーフの味わいもまとめあげます。
バケットに塗って口に運んでみましょう。噛むほどにしっかりとした牛の味わいを感じます。パサパサした食感はなく、コンビーフ自体にも味がもともと入っているため統一感のある全体印象です。
口の中でナッツブラウンエールとも合わせてみます。赤ワインにも似たモルトのカカオ・オイリーな香りが牛肉の臭みを緩和します。重すぎない飲み口とモルトの甘味がリエットの油分と塩味とバランスを取りながら、飲み込んだ後の余韻には牛の力強いテイストを再度味わうことができます。コンビーフのややクセのある風味に負けない香りの強さを持ちながら、うしの旨味を引き立てるペアリングです。
《Beer Profile》
商品名:Samuel Smith NUT BROWN ALE
生産国:イギリス
輸入者および取引先:日本ビール株式会社
アルコール度数:5.0%
原材料:大麦麦芽・酵母・サトウキビ糖・ホップ・ローストバーレイ(同所HP参照)
Samuel Smith’s Brewery HP
http://www.samuelsmithsbrewery.co.uk/site/
《”佐藤翔平”Back Number》
【白ビール蒸しがあるなら…】茶ビール蒸しもアリじゃない!?「宅ビアさん」の今宵飯(16)
《参考URL》
日本ビール株式会社
http://www.nipponbeer.jp/
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。