【注】見たら『常陸野ブルーイング・ラボ Tokyo Station』に行きたくなる取材レポ。
(ついに東京駅構内に、クラフトビールメーカーの直営店ができた!!)
時代の変化と、同社が築いてきた礎の分厚さを感じながら、しみじみと外観を眺めていた。
12/1(木)、木内酒造合資会社が『常陸野ブルーイング・ラボ Tokyo Station』をオープンしたのだ。
可愛らしいフクロウのラベルでおなじみの『常陸野ネストビール』ブランドを展開する同社の直営2号店。東京駅・八重洲中央口に位置するレストランエリア、「GRANROOF(グランルーフ)」の2Fに店舗を構える。
立ち席合わせて20席ほど。11時から夜の23時まで営業している。駅改札外にあるため、電車の乗り継ぎはもちろん、目前のバス停での待ち時間やランチなどマルチに利用できるのも魅力だ。
今回の取材では、その中でも「Tokyo Station」らしい魅せ方を大きく2つ、感じ取ることができた。
1つは「ショールーム」らしさ。
スタイリッシュな店内はそうだが、同社のグッズが壁一面に陳列、販売されているのが目に飛び込む。
『今回こちらに出店した理由として、【2020年のオリンピックに向けて、世界に日本の、わが社のビールを発信する】というコンセプトがありました。日本の方も含め、ここで木内を知ってファンになり、クラフトビールの良さを広めていって頂けたらなと考えています。』(同店スタッフより)
まさに「常陸野サポーター」になりたくなるような素敵な演出だ。
2つ目は、「カスクエール」。直営店ではここでしか味わえない…。付け加えれば、日本全国を見てもごく少数の店舗でしか提供していない、国内ではまだまだレアな飲み方だ。
———-
※カスクエールとは樽(カスク)の中で二次発酵をさせるタイプのビールのことを指します。
酵母(イースト)が生きていて、コンディショニング(発酵による風味の熟成)が続く生きたビールです。
(同店Facebookページより)
———-
通常の炭酸ガスで押し出す提供の仕方とは異なり、「グラビティ」=自重によってサービングされる。樽内の発酵でできた自然の炭酸ガスによる、ピリピリしない、柔らかい発泡が特徴的だ。
そのスムーズな口当たりも相まって、注文する方が多いという。
『2号店は、この【カスク・エール】によって、ラボらしさを表現しています。特にこのラボを通して、日本人らしさや日本文化、強いては「日本の職人が丁寧に造っている」ということを、「木内にしかできないアプローチ」で伝えていきたいという思いがあります。』(同スタッフ)
準備が整い次第、全タップのうち2つを「ランドル(※2)」使用にする計画もあるという。
常陸野クオリティが織りなす「突き抜けた」表現方法が詰まっているのだ。
では、その思いを口でも味わってみようと思う。
タップはカスクも合わせて全14タップ。直営店共通の「Bin’s Food(瓶に入ったタパス)」ももちろん販売している。
今回注文したのは「本日のティスティングセット(3種類)(¥980)」と、「賀正エール2017(Cask Ver.)(¥680)」×「常陸鯖サンド(¥600)」の食べ合わせだ。
「クラフトビールが初めて…という方は、ぜひテイスティングセットも。」とまずおススメしてくださった。
今回は「ホワイトエール」・「セゾン ドゥ ジャポン」「スイートスタウト」の3種を頂いた。
順に、商品の説明と感想をまとめる。
———-
ホワイトエール(Belgian White : ABV 5.5%)(写真・右)
コリアンダー、オレンジピール、ナツメグ等を加えたホワイトビール。
甘くジューシーな夏ミカンのような味わいに、スパイスがほんのりと香る。ライトな飲み口で苦み控えめ、かつ甘すぎず、いつまでも飲みたいビール。
———-
セゾン ドゥ ジャポン(Saison : ABV 5.5%)(中)
ベルギーの伝統的なスタイルに米麹とちょっぴり柚子を加えリメイク。
柚子を感じるフルーティーに、ミントやハッカのような清涼な香りがちらり。甘味と苦味がしっかりめだが、爽やかな炭酸もあり飲みやすい。飲み終わりにバナナのような吟醸香のニュアンスもあり華やか。
———-
スイートスタウト(Sweet Stout : ABV 4.0%)(左)
ロースト麦芽をふんだんに使用しながら、ほのかな甘みも感じる黒ビール。
香ばしい味わいと香りの中に、ミルクのような甘く柔らかい香りを含み、見た目ほど苦味は強くない。炭酸も控えめで、非常にきれいで上品な印象。黒なのにするするのど奥に落ちていく感触がたまらない。
———-
つづいて、「賀正エール2017(Cask Ver.)」と「常陸鯖サンド」。
———-
賀正エール2017(Cask ver.)(Herb・Spice Beer : ABV 8.0%)
最高級麦芽に5種類のハーブとスパイスを加えて造ったプレミアムビール。
甘く煮詰めたマーマレードジャムのような、柑橘の香りと後を引くスパイス香。口当たりは優しく、ややとろみも感じる甘味だが、その後の苦味とアルコールの辛味で不思議と飲める。余韻のカラメルやブランデーのような風味も相まって、この時期には嬉しいからだが温まるような一杯。
———-
常陸サバサンド
茨城県産のサバを燻製し、オリジナルビネガーでマリネしたものをザワークラウトと共にサンドした、一号店でも人気の商品。
焼いた鯖の香ばしい香りとマスタード、ビネガーの酸味香によだれが止まらない!!かぶりつけば肉厚のサバの旨味、ほのかに香るスモーク…それを惜しませるようにキャベツの酸味がまとめ上げる。美味い!!に一言。
賀正エールと合わせると…
鯖サンドの酸味の刺激を、ビールの濃厚な甘みが包み込む。ビールを飲み込んだ後に、ぶわっと口内に広がる吟醸香に似た香りや梨などの完熟した香りがたまらない…。お互いの熟成した風味が同調しつつ、しっかりその中にサバの旨味を感じる素晴らしいペアリングであった。
———-
『「セゾン ドゥ ジャポン」の柑橘の風味とも合いますよ。』と最後に店長から皆様に一言頂き、満足してお店を後にした。
このフクロウのマークを初めて目にした方にも、飲み手の方にもこの上ない吉報だ。
ふらっと寄れる最高のひと時が東京駅で待っている。
ただし、私からも一言。ここにくればいつの間にか「常陸野サポーター」になっているに違いないという事だ。
-Shop Infomation-
常陸野ブルーイング・ラボ Tokyo Station
東京都千代田区丸の内1-9-1 東京駅グランルーフ2F
Tel : 03-6551-2515
営業時間 : 11:00~23:00(L.O. 22:30)
HP : http://www.kodawari.cc/?jp_home/products/nestbeer.html
Facebook : https://www.facebook.com/nestbeer/
(※1)ベンディングを含め、「カスクエールの仕組み」の詳細については、私の別記事に記載のものをご参照頂きたい。
https://www.jbja.jp/archives/14488 に記載。
(※2)ホップフィルターのこと。樽とサーバーの間につなぐ。そこにホップや果実を入れ、ビールを通すことで味わいを強めたり、異なる風味を付けるすることができる。
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。