ホップとオオカミとの関係は?「ルプルス・オペラ」―ビアレポート(131)
トゲのない私です。
ビールを購入する際、ラベルもそうなのですが、名前にも惹かれて買ってしまうことがあります。純粋に名前が気に入って買うこともありますが、「この名前はいいネタになりそうだから『ビアレポート』に書けそうだな」と打算的な考えで買ってしまうことも。
で、今回ご紹介するビールは打算的なほうでして……。ベルギーのトロワ・フールケ醸造所「ルプルス・オペラ」です。
まず、「ルプルス」ってのは確かホップの学名ではなかったかな、と。そして、オペラの表記が「HOPERA」となっていて、ホップを意識していそうだな、と。これならホップのことに絡めて書けそうだ、と。率直に申し上げまして、打算です。すみません。
「ルプルス」はトロワ・フールケ醸造所のメインブランドで、「ルプルス・ブロンド」「ルプルス・イベルナテュス」といった種類があります。そのルプルスという名前は、やはりホップの学名から付けられていました。
ホップの学名は「Humulus lupulus」。
「Humulus」はホップが属するカラハナソウ属の属名で、それに「lupulus」が付くとホップになります。では、その「lupulus」はどういう意味かというと、ラテン語でオオカミのこと。
おっ、と思いますよね。このラベルに描かれているのはオオカミ。関連ありそうです。
ホップは蔓性の植物で、他の植物などに巻きついて上まで伸びていきます。その様を見て、ホップが他の植物に巻き付いて絞め殺してしまうのでは、と思われたようです。まるでオオカミが羊を襲うように。というような話がホップに関する英語の論文にちょこちょこ出てきます(読むのは骨が折れます)。
実際、ホップの蔓にはトゲのようなものがあり、それをひっかけて他の植物などに巻き付いていきます。このトゲのようなものがなかなか痛いので、「wolf among weeds」(雑草の中のオオカミ)という言い方も。ホップにオオカミと付けたのもわかるような気がします。
この「ルプルス」というブランドに統一して描かれているのが、オオカミとホップ。ホップに力を入れているということが伝わってきます。また、醸造所がある地域にはオオカミが住んでいたという話もあるので、ブランド名に使っているようです。
で、飲んでみました。グラスからは、まろやかで角のないオレンジアロマ。やや強めのカーボネーションに、柑橘系の酸味と苦味が感じられます。甘味は軽めなのですっきり。4種類のホップを使っていて、そのうちの1種類でドライホッピングをしています。
ちなみに、ホップは中国語で「啤酒花」。ビールに使う花ってことですね。また、日本語の漢字で書くと「勿布」だそうです。当て字ですね。
【BEER DATA】
ルプルス・オペラ
生産地:ベルギー
醸造所:トロワ・フールケ
スタイル:ベルジャン・ペールエール
アルコール度数:6%
※記事に掲載されている内容は取材当時の最新情報です。情報は取材先の都合で、予告なしに変更される場合がありますのでくれぐれも最新情報をご確認いただきますようお願い申し上げます。