『和菓子』といただく風上麦酒・其の壱『無意識の承認』
(和菓子と合わせてみたい…)
風上麦酒製造のラベルを見て、第六感がそう叫んでいた。
ジャケ買いならぬ『ジャケ合わせ』もしくは『ジャケ・ペアリング』という所だろうか(流行ったらいいな)。
大きくカラスがプリントされたボトル。古風な…とも異なる素朴な体裁。
私はそこから、どこか懐かしい「おばあちゃん家」や掘り炬燵のある「お茶の間」で食べる『お茶菓子・和菓子』のイメージを受けたのだった。
だったら挑戦してみよう。この『ジャケ合わせ』からの食べ合わせを…。
■スパイス・ポーターとも言うべき創造的な『ポーター』
同所の田上達史(たのうえ さとし)代表が明言するように、ここで醸造されるビールたちは全て個性的な香味を持つ(すでに飲んだ方はご存じであろう)。
今回は定番3種を3部に分けて合わせていく。
まずは其の壱、「黒」こと『無意識の承認』だ。
丁字(クローヴ)と菩提樹(リンデン)を使用した、高アルコール・ポーター。注ぐ際に立ち上がるパワフルな香りからすでに興味をそそられる。
以下、感じた特徴をまとめてみた。
●クローヴのしっかりした香りをベースに、リンデン、深く吸い込んだその奥にカカオのアロマ
●黒色。一口飲むと麦芽の甘味を感じたのちにスパイシー、カカオが続く。
●ミディアムボディ。余韻には薬草やニッカに、ヴァイツェンのようなバナナやクローヴの印象が多層に混じり合う
さすが、ともいうべきキャラクターだが、その特出した香味にはどこか奥ゆかしさがあり、癖になるのがまた不思議だ。
■京都銘菓との香味豊かなセッション
これならば、と合わせてみたのは【八つ橋】だ。
共に口の中で合わせてみる。
薬草のようなビールの香りが、八つ橋のハッカの風味と絡み合う。『黒』のスパイスやローストの香味により甘味に奥行きが生まれ、八つ橋の食感も伴って甘いバナナを一緒に含んでいるようだ。
余韻に広がる香辛料の力強いフレーバーをしっかりと受け止めている。これは個人的にもオススメだ。
ペアリングを考える際、よく片方の「要素」を分解して、相方を考えていく。
今回はビールの特徴から、相性のよさそうな料理の特徴を類推した。
1.薬草の香味が合わさっても不自然でない
2.やや強めのボディや香味に負けない味の強さや舌触りを持つ
3.カカオやスパイスの香りで深みが増す「甘味」が主役の食べ物は?
という要領だ。
わらび餅に、きなこや黒糖をかけて…。すなわち山梨の代表銘菓『信玄餅』のようなものでもイケるのではと思っている。
明日は「黄」こと『慢性的賛歌(まんせいてきさんか)』にアプローチを試みる。
《Beer Profile》
商品名:無意識の承認(むいしきのしょうにん)
アルコール度数:9.0%
原材料:麦芽・ホップ・酵母・クローヴ・リンデン
【Next Number】
和菓子といただく風上麦酒・其の弐『慢性的賛歌』
https://www.jbja.jp/archives/15412
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